「未解決事件 File.05 ロッキード事件」の続き

NHKで2夜連続で放送されていた「NHKスペシャル」の「未解決事件 File.05 ロッキード事件」の第3部「日米の巨大な闇 40年目のスクープ」を見ました。ドキュメンタリーのみの第3部の特集も、良かったです。

100人近くの関係者に取材をしたということだったので、番組の登場したのはそのごく一部の方だったのだろうと思います。右翼活動家の児玉誉士夫に近しい存在だったという日吉修二さんという大株主?の方(7月11日に亡くなったそうです)が段ボール箱5箱分の資料を命令に従って焼いたとか、福田太郎さんが領収書を焼いたとかで、証拠隠滅が行われて、重要な資料の一部は失われているようでした。

丸紅の大久保利春さんの直属の部下だったという坂篁一さんという方が、ロッキード社の当時の社長のコーチャンに田中角栄に5億円を渡すことを提案したのは自分だと話していました。田中角栄元首相の側近だったという石井一さんという方は、5億円はP3Cを日本に導入するための裏金だったということを話していました。

第1部や第2部でも言われていたことですが、田中角栄政権の前の、佐藤栄作政権の頃は米ソ冷戦やベトナム戦争の起きていた時代でした。政府内では「自主防衛」ということが言われていて、中曽根康弘さんなどが中心となって、対潜哨戒機の国産化を計画していたそうです。しかし、それにはお金がかかり過ぎるという話も出ていて、そのことを知ったニクソン大統領政権の国防長官のメルビン・レアードさんは、対潜哨戒機を輸入したりその研究費をアメリカ政府に支払ったほうが安く済むということを日本政府に持ち掛けていたそうです。大蔵省は輸入に賛成していたということでした。

ニクソン大統領の下で安全保障の担当をしていたリチャード・アレンさんという方にも取材をしていたのですが、ニクソン大統領の地盤はロッキード社のあったカリフォルニア州だったそうです。1972年の8月末のハワイで行われた日米首脳会議では、P3Cだけではなく、グラマン社のE2Cという早期警戒機も売ろうとしていたということでした(E2Cの航空機の上部には大きな円盤のようなものが付いていたのですが、アンテナでしょうか)。ロッキード社の代理店は丸紅でしたが、グラマン社の当時の代理店は日商岩井(現・双日)だったそうです。「ロッキード事件」は1976年の事件でしたが、その後の1979年頃には、あるいは同時進行していたのかもしれませんが、「ダグラス・グラマン事件」という日米の戦闘機に関する汚職事件があったそうです。

ハワイで田中角栄首相とニクソン大統領との日米首脳会談の行われた約1か月後の10月には、対潜哨戒機の国産化計画は白紙となったそうです。1979年、ダグラス・グラマン事件についても捜査が行われていた頃、グラマン社に日本の政府高官への「政治献金」を勧めたという、島田三敬さんという日商岩井の航空機部門の方が遺書を残して自殺をしたそうで、そのことから捜査は行き詰ってしまったということのようでした。

番組では、三木武夫内閣で内閣官房副長官を務めていた元首相の海部俊樹さんも取材していました(元首相の海部さんについては、うろ覚えでもあるのですが、私には、優しい人というか、良い政治家だったというような印象があります)。海部さんは今は85歳なのだそうです。ロッキード事件の解明に力を入れようとしていた三木首相のことで、自民党内では「三木降ろし」が始まっていて、海部さんは、誰からだとは言っていなかったのですが、そこまでやらなくていい、外国(アメリカ)の資料までもらって国内の悪を公表する必要はない、指揮権を使って捜査を止めるようにすればいい、というようなことを言われたこともあるそうです。軍用機まで関わることになると事件の質が変わるのだそうで、海部さんは、ロッキード事件(ダグラス・グラマン事件もでしょうか)の真相について、我々の手の及ばないところにあった、と話していました。

ジェームズ・ホジソンさんという元駐日大使の方は、ニクソン政権の労働長官でもあり、ロッキード社の元副社長でもあったそうです。1976年の2月9日(事件発覚から3日後)には、今ワシントンで情報を止めることができれば日本の政治家数人が逮捕されるだけで済む、P3Cのことは極力目立たないようにしていくことが重要だという趣旨のことが言われていたそうです。三木武夫首相とは別のルートから、政府高官の名前の入った資料の提出を遅らせてほしいということも言われていたのだそうです。そして、4月の10日に日本の検察が受け取ったアメリカからの資料には、P3C関連のものが抜かれていたということのようでした。その結果、日米の安全保障上の関係は破綻することなく、1977年にはP3Cが正式に自衛隊に導入されたということでした。今のところ約100機が導入されていて、そのための総額1兆円がアメリカ政府に支払われているそうです。

番組によると、ロッキード・マーティン社は、まもなくP3Cの製造を終えて新型のものを作るそうです。担当者の方は、日本が世界最大のP3C保有国になると話していました。

リチャード・アレンさんは、田中角栄元首相の性格を、日本語で言うと「したたか者」、タフガイだったと話していました。ロッキード事件については、私たちの懐を痛めることなく日本のお金で私たちの軍事力を強化できる、私たちの望み通り日本の軍事力を強化できる、と話していました。

「魑魅魍魎」とメモに書き、魑魅魍魎とは化け物のことだと話していた坂篁一さんの、おばけにはおばけのお菓子が必要、という言葉が、私には分かるような分からないような感じだったのですが、でも、(政策などの)決まりかけの時期が一番怖いというのは、そうかもしれないなと、何となく思いました。

日本は海に囲まれた島国なので、国防のためには確かに対潜哨戒機(潜水艦を見つける航空機)は必要なのかもしれませんが、それを取り入れるためにどうして巨額の裏金(あるいは政治献金)が必要なのかということが、私にはよく分からなく思えます。

私は、暴力的なものや縦社会的なものが苦手だということもあり、任侠ものの映画などは見たことはないのですが(日本テレビの「ごくせん」は好きで見ていました)、清水次郎長や黒駒勝蔵や国定忠治のような、時代劇に登場するような昔の任侠の方たちの話を聞くのは好きです。ただ、任侠の方もヤクザの方も暴力団の方も「裏社会」の存在ということになっているように思いますし、普段はその方たちの存在を身近に感じるということはありません。でも、今回の「未解決事件」の「ロッキード事件」の特集を見ていて、「裏社会」の動きは「表社会」にもとても影響があるのだということが少し分かったような気がします。

今も続いているロッキード事件やダグラス・グラマン事件の真相の問題は、“政治と金”と軍需産業と、暴力団関連の裏社会の問題のために、深過ぎる闇になっているようでした。一般市民の一視聴者の私には、元首相の海部さん以上に、「手の及ばないところ」の問題なのだろうなと思いました。世の中には本当に私の知らないことが多いのだということを、また改めて思いました。

ともかく、今回の「未解決事件」も良い特集でした。「浮かび上がってきたのは、真実を隠していく国家の姿だった」という、最後のナレーションの言葉も、良かったです。

40年以上前の日本と同じように、今の日本社会も多くの問題を抱えているのだと思いますが、例えばアメリカの航空機オスプレイ(V-22)の輸入にも、沖縄の米軍基地の工事にも、福島第一原発事故による汚染物質の問題にも、原子力発電所の再稼働にも、被災地の復興支援にも、2020年の東京オリンピック招致などにも、国の政策が関わっているところにはたくさんの「裏金」や「政治献金」といった巨額のお金が一般の国民の知らないところで絶えず動いていて、そうして魑魅魍魎的な人々が暗躍しているということになっていくのかもしれません。世の中にはお金に釣られたり群がったりする人が多いのかもしれないと思うと、憂鬱というか、少しうんざりとしたような気持ちになります。重要な書類は焼かれるなどして捨てられて証拠隠滅されているそうですし、71年以上前の戦争時代の事実も隠されているのですし、まだしばらくは、ロッキード事件などの国家絡みの未解決事件の事実は隠されて続けていくのだろうなとも思いました。
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