「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」第4話

フジテレビのドラマ「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」の第4話を見ました。

ドラマの最初の約20分は、前回の続きでした。「前後編」というほどではなかったような気がします。

警視庁刑事部捜査第一課・厚田班の新人刑事の藤堂比奈子(波瑠さん)は、鞄から取り出したナイフで両手首を縛っていた縄を切り、バレエ講師の吉田佐和(中島亜里沙さん)をその背中の皮膚を得るために監禁したクリーニング店の佐藤都夜(佐々木希さん)と対峙することとなりました。都夜さんは元モデルで、背中に硫酸をかけられて大やけどを負ったことからモデルを続けることを断念していた人でした。裁ちバサミを左肩に振り下ろした都夜さんの顔を見て、その顔が見たかったのだとつぶやいた比奈子さんは、ナイフを振って都夜さんの顔を切り、向かってきた都夜さんを刺そうとしたのですが、その時、ドアから先輩刑事の東海林泰久(横山裕さん)と「ハヤサカメンタルクリニック」の精神科医見習いの中島保(林遣都さん)が飛び込んできて、比奈子さんを助け、殺人犯の都夜さんを逮捕したのでした。

比奈子さんは、その後、都夜さんの出て来る夢を見ていたのですが、奥の部屋には子供の頃の比奈子さんがいて、机の上には細かく分解された時計の部品が丁寧に並べられていました。別の部屋では両親が言い争いをしていて、父親は比奈子さんのことをあの子は怪物だ、いずれ必ず人を殺すと、不安そうに母親に話していました。

その話を比奈子さんから聞いた中島さんは、あなたはまだ誰の命も奪っていないと比奈子さんに伝えていました。

数日後、民放のテレビ局に自殺事件の映像が送られてきて、テレビ局がそれを放送したことから騒ぎになりました。映像は、自宅で血塗れになって死んでいた性犯罪者のものと、拘置所で自分の首を絞めて死んだ犯人のものと、心療内科医が診察室で自分の胸部に刃物を突き刺して死んだものとの3つで、映像をテレビ局に送った封筒の手紙には「スイッチを押す者」と書かれていました。小学生を殺した犯人のものと、警察官の鈴木仁美(篠田麻里子さん)を殺した犯人のものはありませんでした。

報道番組に出演した「ハヤサカメンタルクリニック」の精神科医の早坂雅臣(光石研さん)は、脳に何かが起きていることを指摘しつつ、殺人犯が死ぬということならそれは「神の裁き」と呼ぶべきものだと発言し、そのことも世間で話題になっていました。

東海林さんは、情報屋の藤川(不破万作さん)に自殺事件の関係者について調べてもらいました。調査結果を見た東海林さんは、それを比奈子さんにも見せていたのですが、そこには自分が殺した被害者と同じ死に方で自殺をした殺人犯の関係者として、早坂さんや中島さんの名前が書かれていました。自殺事件の5人全員が「ハヤサカメンタリクリニック」の関係者だということでした。

比奈子さんと東海林さんがその話をしながら歩いていると、パトカーが通り、雑居ビルの前で止まりました。東海林さんと比奈子さんの一緒に中へ入ると、ある部屋に飴玉の紙が舞っていて、中央には口に飴玉を詰められた仰向けの女性の遺体がありました。飴玉殺人事件が再び起きたようでした。

脚本は古家和尚さん、演出は宝来忠明さんでした。

殺人犯をついに殺すことができると思った比奈子さんの“狂気”の瞬間の場面が良かったです。東海林さんたちが部屋に入ってきたことに気付いてはっとして、少し残念そうに慌てて刃物を隠す辺りも、丁寧に描かれていたような気がしました。

比奈子さんは、くたばれと思うことと実際に相手を殺すことは別だと東海林さんに言われていたのですが、自分はいつか人を殺すかもしれないと思い、自分のことを知るために殺人犯のことを知ろうとしている比奈子さんは、あの子は怪物だ、いつか必ず人を殺すというような昔の父親の言葉に囚われているということなのかなとも思いました。

小さい頃に近しい大人などからあるものに似ていると言われた子供は、それを最初から受け入れるにせよ反発するにせよ、その関係のものになろうとする傾向があるというようなことを、いつか聞いたことがあります。それは、例えば、良い子だねと言われた子供が「良い子」でい続けようとするとか、ダメな子だと言われた子供が非行に走るとか、作家に向いていると言われた子供が作家を目指し始めるとか、そのようなことで、つまり大人の何気ない言葉が子供の精神というか、自我意識に影響を与えるという趣旨のことです。

それが実際に正しいのかどうかは分からないのですが、その話を聞いた時、私は少し分かるような気がしました。そのため、ドラマの比奈子さんの過去の場面を見ていて、比奈子さんは、あの子はいつか人を殺すと父親が母親に話していたことが気になって自分が実際にそのようになると思い込むようになったのかなと、何となく思いました。


ところで、昨日は、神奈川県相模原市の「津久井やまゆり園」の殺傷事件から一週間の日でした。先日のNHKの「日曜討論」の録画をしておいたものを見たのですが、筑波大学の教授の土井隆義さんや映画監督の森達也さんは、犯人を「異常者」や「モンスター(怪物)」という風に自分たちと切り離して考えてはいけないというような話をしていたように思います。私も、そのように思えています。

ドラマや小説のことと現実の事件のことを一緒に考えるのは良くないのかもしれないのですが、この「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」のドラマの中でも、比奈子さんが「怪物」だと言われていたので、少し気になりました。犯罪者は怪物ではなく、犯罪者ではない人と同じ人間です。犯罪者となった人の心理を理解することは難しいかもしれないけれど、他人の心理を理解するのはそもそも難しいのだと思います。「異常者」や「モンスター」のことだからその思考回路は通常の人間には分からないと決めつけてしまったなら、似たような事件がまた起きてしまった時にもそうして切り離すことになるかもしれないですし、誰かの役に立つ人間かどうかや好きか嫌いかという基準で人を選別するというような差別的な思想が世の中からなくなっていかないような気もします。(そもそも、「国の役に立つ人間」や「社会の役に立つ人間」が良い人間だというような発想自体、何だか国家主義的、社会主義的のようで、私には少し不気味に思えます。)

犯人自身が「ヒトラーの思想が降りてきた」と言っていたというような部分は報道されていましたが、何のテレビ番組を見たとか、何の本を読んだとか、誰の話を聞いたとか、犯人が何の影響を受けてある時から急に重度の重複障害者の殺害を思うようになったのかということについては、今のところは報道されていません。森さんは、障害者施設で実際に働き、重い重複障害者の方に接していた犯人が(正しくないことであるとしても)「安楽死」のほうがいいと選択した経緯を考えることも大事なのではないかというようなことも話していたように思うのですが、それを考えるためには、当然のことではありますが、加害者のことも被害者のことも、今回偶然そのどちらにもならなかった他の人たちと同じ人間として考えなくてはいけないのだと思います。

メディアや政府は「処置入院」の制度を問題視しているようですが、「日曜討論」の土井さんや森さんは、処置入院をした方が孤立することが良くないということも話していました。私としては、大島衆議院議長(と安倍首相)に宛てた「嘆願書」のようでもあった手紙が気になります。襲撃する施設名も犯人自身の名前や連絡先も書かれていたのに、どうしてその時に逮捕するとか、もっとちゃんと話を聞くなどのことができなかったのだろうと、少し不思議に思います。

大島議長に宛てた手紙でも大島議長を殺すという内容ではないから脅迫罪には当たらないのだという解説がなされていたのですが、それなら、これまでにインターネットの掲示板やツイッターなどに殺害や傷害の予告を書き込んだ人物が書類送検されたり逮捕されたりしているのは、一体どういうことなのでしょうか。障害者施設の入所者を襲撃する旨を具体的に手紙に記して大島衆議院議長に渡した犯人は、なぜ(仮に脅迫罪には当たらないとするなら、威力業務妨害などで)書類送検や逮捕にならなかったのでしょうか。芸能人や政治家や小学校に対する事件の予告の場合と、「津久井やまゆり園」に対する事件の予告の場合とでは、何が違うのでしょうか。私は法律に詳しくないので、何か法律の専門家にしか分からないような細かい事情が行政や警察にはあるのかもしれませんが、でも、何か奇妙なことであるような気がします。そこにももしかしたら差別のようなものがあったのかなと、勝手なことなので、もしかしたら間違っているかもしれないのですが、少し思いました。
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