映画「ラストサムライ」

先日の日曜日のお昼頃のフジテレビで放送されていた、2003年に公開されたアメリカ映画「ラストサムライ(The Last Samurai )」(エドワード・ズウィック監督)を見ました。

今年は2016年なので、13年前の映画ということになります。公開当時日本で話題になっていたこの映画を、私はいつか見てみようと思いながら見ないままになっていたのですが、フジテレビで日曜日(なぜかお昼の時間)に放送されると知り、録画をしておくことにしました。

アメリカのハリウッドが制作した日本の時代劇作品ということなので、面白いか面白くないのかよく分からないなという気持ちで見始めたのですが、思っていたよりも、とても良い映画でした。

アメリカの南北戦争で北軍の士官として戦い、非戦闘員の原住民のインディアンの人々を上官の命令に従って銃殺したという過去に苛まれて自暴自棄の日々を過ごしていた1876年(明治9年)のある日、明治政府の大臣で日本の近代化と帝国陸軍の強化を推し進める大臣の大村松江(原田眞人さん)の要請で陸軍の軍事訓練の指導者として来日することになったネイサン・オールグレン大尉(トム・クルーズさん)が、大村大臣が敵として政府軍を率いて征伐しようとしていた、明治維新には協力したけれど廃刀令には一切応じようとしない、明治天皇(中村七之助さん)の元教育係でもあった不平士族の首領の勝元盛次(渡辺謙さん)の捕虜となり、勝元の治める村で勝元や嫡男の信忠(小山田真さん)や氏尾(真田広之さん)や村の日本人たちと一年を過ごすうちに、四季の美しさを知り、礼儀や刀を重んじる武士道に共感し、西洋の銃やガトリング砲などの新型の武器を用いる政府軍と再び戦をすることとなった侍の勝元たちと共に、伝統的な刀や弓矢や槍を用いて政府軍に立ち向かっていく、というような物語でした。

語りは、日本で暮らしている学者で、富士山の見える横浜港に降り立ったオールグレン大尉に日本文化を教えたり従軍記者のようになったりしていたサイモン・グレアム(ティモシー・スポールさん)でした。

戦場でインディアンの人々を殺戮してしまったことが心の傷となったまま日本へ来たオールグレン大尉が、近代化とはかけ離れた、武士道精神を貫く勝元の治める山奥の農村での生活によって、その傷を癒していく物語でもありました。

公開当時も人気の作品だったので、私が言うことではないかもしれないのですが、外国の映画ではありながら、ちゃんと「武士道精神」が描かれていたように思います。

日本の映画やドラマでは、天皇陛下が話す場面はあまり描かれないので、中村七之助さんの演じる若き明治天皇が直接オールグレン大尉や勝元と話す場面があるというところも、意外というか、新鮮に思えました。

歴史上の人物の名前が具体的に登場していたというわけではないのですが、勝元は西郷隆盛なのかもしれないなという風に思いながら、映画を見ていました。オールグレン大尉のモデルは、江戸幕府陸軍の近代化を支援するために来日したフランス軍事顧問団の陸軍士官で、後に榎本武揚率いる旧幕府軍に参加して箱館戦争を戦ったジュール・ブリュネだということでした。陸軍の近代化を計る大村大臣は、大村益次郎のことなのかなと最初は思ったのですが、明治9年や明治10年という時代的には、大久保利通なのかもしれないなとも思いました。

何といっても、明治政府軍が待ち構える森の奥の霧の中から侍の勝元たちが登場する最初の場面が感動的でした。江戸時代末期の侍というよりは、戦国時代の武将たちのような甲冑を着た騎馬隊の姿だったので、戦国武将たちの亡霊が明治政府を倒しに来たのかもしれないという風にも見えました。

侍(武士)の姿、西洋風に近代化する前の伝統的な日本の姿は、新渡戸稲造の『武士道』のように理想的というか、ある種のファンタジーのような感じで描かれていたのだと思います。明治初期の時代でありながら黒ずくめの忍者も登場していました。それでも、西南戦争などの史実に沿っているということではなかったかもしれないのだとしても、武士道精神や日本の精神は、しっかりと描かれていたように思えました。

虎の旗のことは私にはよく分からなかったのですが、侍の大将の勝元が、敵に囲まれて追い詰められながらその旗を槍のように振り回して戦うオールグレン大尉に一目置いたのは、最後まで諦めない意志の強さが見えたからだったのだろうと思います。

大村大臣の率いる政府軍の軍人たちが、戦場で勝元の生き様を目の当たりにし、大村大臣の意に反して、その死に涙を流して跪くという場面も、ファンタジー的であるのかもしれないのですが、良かったです。明治政府の陸軍の軍人たちの中にも、武士道精神を持っていた人、あるいは勝元の死に接してそれを取り戻した人たちがいたのでした。

勝元の治める地域に鉄道を引こうとしていたらしい大村大臣たち明治の政府は、アメリカから優先的に近代兵器を輸入するというような条約を取り決めようとしていたようだったのですが、最後、明治天皇がそれを制止していました。勝元が献上しようとしていた刀を謁見した明治天皇に差し出すオールグレン大尉に、明治天皇が、勝元の「死に様」ではなく「生き様」を教えてほしいと話していたのも良かったです。

オールグレン大尉が過去の戦争のトラウマから眠っている時にうなされているということについて、勝元がオールグレン大尉のことを恥を知っている者だと話していた場面も、良かったです。

戦場で人を殺したり傷つけたりすることを悔やんだり悩んだりするような人は恥を知る人間で、時代のせいにしたり上官の命令のせいにしたりしてそのことをその時にも後にも何とも思わないような人は恥知らずな人間だということは、確かにそうかもしれないと思いました。

勝元を演じる渡辺謙さんや明治天皇を演じる中村七之助さん、氏尾を演じる真田広之さんの他の有名な日本の俳優は、オールグレン大尉が倒した赤い甲冑の侍の妹のたかを演じる小雪さん、飛源を演じる池松壮亮さん、オールグレン大尉を見張る寡黙なサムライを演じる福本清三さんでした。

登場人物を演じる日本や外国の俳優さんたちが良かったということもあるのかもしれないとも思うのですが(渡辺謙さんの演じる勝元がお寺の廊下を歩いたり振り向いたりしながらオールグレン大尉と会話をするというような演出は、現代風というか、少し外国風に思いましたが)、やはり物語が良くできていたのだと思います。

日本の時代劇の中にも歴史的事実を忠実に描いているわけではない作品はたくさんあるのだと思いますし、そのようなことを考えなくても、単純に、近代化していく日本社会の中で取り残されていった最期の侍たちを描く美しい映画になっていたように思います。脚本を担当した方や監督の方は、伝統的な日本の文化をよく勉強して映画を作ったのだろうなと思いましたし、日本の文化を好きだということがよく伝わってくる映画であるように思いました。

私が見た先日のフジテレビのものは約2時間の放送だったので、話が突然飛んでいるように思えるところもありましたし、「ノーカット」ではなかったのだと思います。字幕ではなく、吹き替えでもありました。でも、私もこの「ラストサムライ」の映画を見ることができて良かったです。いつか完全版も見てみたいなと思いました。
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