映画「戦国自衛隊」

昨夜、BS朝日で放送されていた映画「戦国自衛隊」を見ました。

「戦国自衛隊」というタイトルは有名ですし、数年前に「戦国自衛隊1549」というリメイク映画も公開されていたと思うのですが、私はどちらも見たことがありませんでした。「タイムスリップもの」の作品として、少し気になりつつも、何度か放送されていたものをいつも何となく見逃していたので、今度は見てみようと、昨夜の「戦国自衛隊」の放送を見てみることにしました。

この作品はいわゆる「角川映画」で、1979年の年末に公開された、1980年のお正月映画だったそうです。原作は半村良さん、脚本は鎌田敏夫さん、音楽は羽田健太郎さん、アクション監督と主演は千葉真一さん、監督は斎藤光正さん、制作協力は三船プロダクションという作品でした。

それだけ聞くと、豪華な作品にも思えますし、当時は実際にもそうだったのかもしれません。でも、この映画を見始めた私には、あまり面白い映画だと思うことはできませんでした。

この映画を好きな方もたくさんいるのだろうと思いますし、公開当時を知らない私があまりいろいろ言うのは良くないかもしれないとも思うのですが、映画を見る前に思っていた以上の、なかなか酷い映画であるように思えました。

陸上自衛隊の21人の男性自衛官が新潟の海岸での演習に向かう途中の浜辺で突然戦国時代にタイムスリップして長尾景虎(夏八木勲さん)の軍と遭遇し、景虎と意気投合して親しくなった隊長の伊庭義明(千葉真一さん)が、川中島の戦いのために陣を張っていた景虎の敵の武田信玄の騎馬軍と対決する、というような物語で、現代の自衛官たちが武器ごと戦国時代にタイムスリップをするという点では確かに「SF時代劇」なのかもしれないのですが、タイムスリップの描写は最初のほうで1度あっただけでした。

「SF」よりは、「アクション」を中心に作られた時代劇だったのだと思います。そのため、アクションの場面を好きな方には、面白い映画であるのかもしれません。

でも、私には、「こんな○○は嫌だ」という昔の鉄拳さんが使っていたような言葉を使うなら、「こんな長尾景虎(上杉謙信)は嫌だ」、「こんな自衛隊は嫌だ」という風に思えてしまう感じの映画でした。

初めて見た自衛官たちに向けて突然攻撃を仕掛けていた越後の長尾景虎も含め、武将たちの人間性が軽過ぎるように思えたというところも大きいのですが、日本の国民を守るはずの自衛隊の隊員たちが自国民を大量殺傷するという展開に、少しうんざりとしてしまいました。タイムスリップをした浜で武士たちの攻撃を受けてから、現代兵器(主に銃弾や手榴弾)で自国民であるはずの武士や、村の漁民たちを殺していく展開を見ていて、一体何を伝えたい映画なのだろうと、謎に思えました。

千葉真一さんの演じる伊庭さんが武田信玄の首を取って高笑いするという展開も、私には不快に思えてしまったのですが、そうして「天下」を取ろうと考え始めた伊庭さんが、自衛隊が武器を持って戦えないような時代に戻りたくないというようなことを、平和な時代に戻りたいと嘆く部下たちに向かって話していたのを聞いて、「武器を持っていても戦闘を行うことができない自衛隊」と「持っている武器を使って戦闘を行うことができる自衛隊」を比較するものだったのかもしれないなと思いました。

この映画には性犯罪的な場面も含まれていて、それも私にはまたこの映画を気持ち悪く思えてしまう要素ではあったのですが、戦時中の日本を含めた各国の男性兵士たちのそのような人間性を、ある種リアルに伝えようとするものでもあったのかもしれません。

部隊の隊員たちが仲間割れをするというところもリアルな要素だったのかもしれないですし、伊庭隊長が性犯罪者の矢野陸士長(渡瀬恒彦さん)たちを射殺する場面には少しほっとする部分もあったのですが、その人たちが奪った船を隊長が取り戻さずに海上で爆破したのも謎でしたし、ほとんど話し合わないし考えないという自衛隊員たちの姿に、自衛隊を扱う映画としては本当にこれで良かったのだろうかということも、少し気になりました。

この映画の中の戦国武士たちの登場する場面には、忍者も登場していました。その忍者はこの映画の「アクション」のための存在なのだろうと思いますし、それが悪いということではないのですが、歴史の時代考証もほとんどなされていないような感じの作りに思えたこの映画を見終わって、何というか、私は、アメリカの方たちが作った日本の時代劇の映画の「ラストサムライ」はとても良い映画だったということを思いました。日本の時代劇の映画だったとしても、映画をどこの国の人が作るかとかいうことはほとんど関係ないのだということを改めて思いました。

私には、この映画の物語や展開を、酷いな、と思えてしまったのですが、見る人によっては、“アクション青春時代活劇”であるのだろうと思います。

この物語において良かったと思えたところは、現代(1979年)から川中島の戦いの頃の時代にタイムスリップをしたらしい自衛隊員たちが、結局は京の廃寺で景虎の軍に討たれて全滅するという最期の場面でした。SFの物語として、「時間」が異物を排除したという解釈もあるのかもしれませんが、もっと単純に、武士たちを相手に銃や砲弾を使うこの映画の自衛隊員たちの何となくの卑怯さのようなものが、叩き落とされたような感じがしました。

原作の小説を未読の私にはよく分からないことでもありますし、勝手なことではあるのですが、自衛隊員たちがタイムスリップをして出会うのが、上杉謙信や武田信玄ではなく、その後の織田信長だったなら、自衛隊の武器が別の形で活かされる物語にもなったのかもしれないとも思いました。

見なければ良かったとは思わないですし、有名な「戦国自衛隊」という映画がどのような映画であるかが分かって良かったとは思うのですが、見終わってから思ったのは、“結果論”というものになってしまうのですが、見ないままでも良かったかもしれないということでした。


ところで、昨日の報道によると、法務省は来年の通常国会に性犯罪の構成要件などを見直す刑法の改正案を提出する方針を決めたということで、「親告罪」の削除など性犯罪の構成要件の見直しが成立すると、明治40年に刑法が制定されて以来の、初めての改正になるそうです。「強姦(致傷)」の容疑で逮捕された若手俳優の方が示談にして釈放された事件のことが報道されている最中であるので、偶然かもしれませんが、今の時期に合っているようにも思えました。「日本国憲法」の改正を時代に合わないからという理由で訴えている方がいますが、昭和22年に制定された日本国憲法より、明治40年から変えられていないという刑法はずっと古いのです。どのような改正がなされるのか分かりませんが、性犯罪の加害者に対する日本の刑罰は軽過ぎるように思いますし、とにかく、被害者の方が本当に守られたり救われたりする法律になるといいなと思います。
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