「はじめまして、愛しています。」最終回

テレビ朝日のドラマ「はじめまして、愛しています。」の最終話(第9話)を見ました。

最終話となる第9話は、黒田家に引き取られているハジメ(一、横山歩さん)と特別養子縁組をするため、ベテラン児童福祉司の堂本真知(余貴美子さん)に相談して、僅かな希望にかけて家庭裁判所に監護者指定の申請を行うことにした梅田美奈(尾野真千子さん)と夫の信次(江口洋介さん)が、ハジメを生んだ母親の黒田泉(志田未来さん)が遺書を残して失踪したことを知り、夜の海で入水自殺をしようとしていた泉さんを助け、どうしてもハジメを育てることができない泉さんに、改めて、ハジメを梅田家の子供として育てたいという気持ちを訴えていく話でした。

脚本は遊川和彦さん、演出は片山修さんでした。

最終回も、とても良かったです。

信次さんは、美奈さんと二人で施設に入所している母親を訪ね、実家に戻って来てほしいということを伝え、ほっとして喜ぶ母親に、少し戸惑いながら、「愛しています」と口に出して伝えてみました。そこへ、信次さんの妹の不破春代(坂井真紀さん)と夫の太一(夙川アトムさん)と娘の明日香(平澤宏々路さん)、弟の巧(速水もこみちさん)と介護士の新井さん(岡本玲さん)も来たのですが、春代さんは第二子を妊娠していることが分かったらしく、生まれたら巧さんの子供と同級生になるということで、家族からおめでとうと祝福されていました。春代さんの夫は、ハジメを引き取る決意をしている美奈さんと信次さんを、クマンバチに例えて応援していました。

それから美奈さんは、実家を訪ね、指揮者の仕事に限界を感じて諦めようとしていた父親の追川真美(藤竜也さん)に、本当はずっと父親の音楽を好きだったことを伝え、「愛しています」と言いました。父親は、その言葉を言われたかった人から言われたと感激して、再びオーケストラと向き合う元気さを取り戻していました。

監護者指定の申請が却下された美奈さんと信次さんは、泉さんへの手紙を堂本さんに託したのですが、自分の子供と向き合うことのできない泉さんには、手紙を受け取ってもらうことができませんでした。しかし、そのようなある日、美奈さんは、泉さんが遺書を残していなくなったという連絡を堂本さんから受け、信次さんと二人で泉さんを探しに行くことにしました。泉さんが3か月前に入水自殺をしようとして保護されたということを聞いた美奈さんと信次さんは、その海へ向かいました。そして、美奈さんは、タクシーのヘッドライトの明かりの中に見えた波打ち際の泉さんを呼び、海の深いほうへ進んでいく泉さんを、手を離してしまった亡き母親に重ねるような思いで助け出していました。

病院で目を覚ました泉さんが何かを話してくれそうであることに気付いた美奈さんと信次さんは、泉さんと話がしたいと黒川月子(富田靖子さん)に頼み、泉さん自身も母親に頼んで、梅田家で話をすることになりました。

信次さんは、泉さんの母親と堂本さんを2階のハジメの部屋へ案内し、1階では美奈さんが泉さんとハジメの養育について話を切り出していたのですが、俯いて自分の気持ちを言うことができずにいる泉さんに、美奈さんが、堂本さんから返された、泉さんに受け取ってもらうことができなかった手紙を読み上げることにしていたのも良かったです。手紙には、ピアノの音を聴いて庭に現れたハジメと出会った日から、ハジメの本当の親になろうと決意した今までの、大変だったことや嬉しかったことが綴られていて、美奈さんは最後に改めて、ハジメを育てさせてほしいとハジメの生みの母親の泉さんに懇願していました。回想の場面や台詞だけではなく、美奈さん自身が泉さんへの手紙を朗読して伝えるというのが、とても良かったように思えました。

ハジメをどうしたいのかを言うことができない泉さんの心を開こうとした美奈さんが、ハジメの好きなピアノを泉さんのために弾くというところも良かったです。ハジメも弾いていたベートーヴェンの子守歌を美奈さんが弾き始めると、泉さんは、小さな声で歌い始め、小さい頃母親が歌ってくれた歌だと答えました。ハジメは、泉さんのお腹の中にいる時に泉さんの歌うその音楽を聴いていたようでした。

そうして少し話ができるようになった泉さんが打ち明けた事実は、恐ろしいものでした。誰か相談できる人はいなかったのか、子供の父親は誰なのかと美奈さんに訊かれた泉さんは、あの子の父親は私の父親なのだと言い、父親からの虐待によって生まれた子供であること、母親に相談できないまま家を出て公衆トイレで子供を生んだこと、何度も捨てようとしたけれど子供の泣く声を聴くとどうしても捨てることができなかったこと、外へ遊びに行こうとすると子供が騒ぐから鎖につないだことなどを、美奈さんに話しました。

美奈さんは、震える泉さんを辛かったねと抱きしめて、泣きながら、でも、子供を大切にしない行いはどんな言い訳をしても人間としてしてはいけないことだと泉さんに伝えました。今からでもハジメのことを愛してほしいと美奈さんに言われた泉さんは、ハジメに謝りたいと泣いていました。

泉さんの告白の場面は複雑で辛い場面だったのですが、ピアノの上の天窓から差し込む朝の光に美奈さんと泉さんが包まれていくという演出が、救われる感じがして、とても良かったです。

泉さんは、2階から降りてきた母親に、ヒカリと言いそうになった自分の子供のことをハジメと呼んで、ハジメを梅田さんに育ててもらうと言いました。そして、母親と向き合うために、母親に自分のこれまでの罪を全部知ってもらう覚悟を決めていました。泉さんの母親が、泉さんが思っているように本当に亡き父親の虐待行為を知らなかったのかどうかは分からないのですが、自分の罪を聞いてもらいたいと訴える娘を抱きしめていました。

それから、児童相談所で美奈さんと信次さんが待っていると、堂本さんがハジメを連れてきました。おもちゃのピアノを抱えていたハジメは、お父さん、お母さん、と嬉しそうに信次さんと美奈さんに駆け寄りました。堂本さんは、最高の父親ですと信次さんに言い、最高の母親ですと美奈さんに言った堂本さんが、次の仕事のために部屋を出ていこうとすると、ハジメは堂本さんを呼び止めて「どうもとさんへ」と表に書かれた小さな手紙を渡しました。開くと「あいしています」と書かれていて、手紙を読んだ堂本さんは、これは私の勲章だと嬉しそうに笑っていました。

堂本さんが児童福祉施設にやって来た里親を希望していたという女性から突然コーヒーをかけられるという場面があったので、ハジメの手紙の場面は、そのような堂本さんが報われるという場面でもあったのだと思います。

梅田家には、ハジメの帰宅をお祝いするために家族が集まっていました。テーブルには、美奈さんの作ったレモネードとドーナツがありました。ハジメは美奈さんとサン・サーンスの「白鳥」を弾き始め、ハジメが戻ってきたら言いたいことがあると言っていた巧さんは、ハジメがピアニストになった時のためにピアノの調律師の資格を取ると宣言していました。

それから少しして、指揮者の仕事に復帰した美奈さんの父親の真美さんが秘書の日陰蘭(根本りつ子さん)と一緒に梅田家に来ました。美奈さんは、帰ろうとする蘭さんをあなたも家族ですと呼び止め、小さい頃から面倒を見てもらっていたのにお礼を言うことができなかったと謝って、蘭さんと一緒に部屋に戻りました。舞台に真美さんを送り出したり、美奈さんの初めての感謝の言葉に涙を流す蘭さんの場面も、とても良かったです。

最後は、美奈さんと信次さんとハジメの3人が、市役所に特別養子縁組の届けを出す場面でした。掲示板の「10、10、085」の番号を「とうとうおやこ」と美奈さんが信次さんのように語呂合わせで読んだり、役所の人にカメラを渡して写真を撮ってもらう時の「ハイ、チーズ」を「ハイ、シンジ」に言い換えていたりしていたのも、ほのぼのとしていてとても良かったです。最後は親子3人で手をつないで、家に帰る道を仲良く歩いていました。

どのような最終回になるのだろうと、少し心配していた最終回でもあったのですが、オープニングでもハジメが戻って来ていて、ハジメが美奈さんと信次さんの子供になることができて、美奈さんと信次さんがハジメの親になることができて、本当に良かったです。穏やかな結末に、ほっとしました。

ハジメ君という一人の子供の存在が、全てをつないでいました。

泉さんと月子さんのその後は描かれていなかったですし、もしかしたら、あと1話あっても良かったのかもしれないのですが、無駄に思えるような場面が一つもない、見事な最終回だったように思います。

近年の遊川和彦さんの脚本のドラマとしては、日本テレビの「女王の教室」や「家政婦のミタ」も良かったですが、日本テレビで放送されていたドラマには、何か少し息苦しいというか、追い詰められているような印象の作品が多いようにも思えていました(遊川さんの脚本のドラマを全て見ているというわけではないので、間違っているかもしれないのですが)。でも、今回のテレビ朝日の「はじめまして、愛しています。」には、そのようなところがありませんでした。

泉さんが美奈さんに打ち明けたハジメの出生の秘密は残酷なものでしたが、それでも生まれてきた子供には何の罪もないということが描かれていたのだろうと思います。それに、実際にも、そのような被害に遭っている女性や、そうして生まれてきた子供がいるということでもあるのだろうと思います。

特別養子縁組制度というものの難しさや、血縁や“出生の秘密”を問題にしないような親子の愛情が、ファンタジー的な要素の盛り込まれた中で、丁寧に描かれていたドラマでした。

あと、最終回の梅田家の庭にも猫が来ていてかわいかったですし、エンディングに流れていた主題歌の槇原敬之さんの「理由」も良かったです。
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