「みんなサルトルの弟子だった」

TBSの深夜のドキュメンタリー番組「JNNルポルタージュ 報道の魂」の「みんなサルトルの弟子だった・・・」を見ました。何となく気になって録画をしておいたものです。

今から50年前の1966年9月18日、フランスの実存主義の哲学者のジャン=ポール・サルトルがパートナーのフェミニストの哲学者のシモーヌ・ド・ボーヴォワールと共に来日し、羽田空港に降り立った瞬間から、日本社会は二人を熱狂的に出迎えたそうです。

サルトルの作品としては、『嘔吐』 や『存在と無』が有名ですが、私はサルトルのいた時代を生きていないので、サルトルがどのようにして熱狂的に受け入れられていたのかということも、実感としては知りません。

サルトルとボーヴォワールが来日した頃の日本には、今の安倍首相の祖父の岸信介首相が改定した「日米安全保障条約」に反対する「60年安保」の闘争のデモの名残があって、来日の前年の1965年には、アメリカ軍が北ベトナムを爆撃し始めたことを受けて「ベトナムに平和を!市民文化団体連合(ベ平連)」が発足し、学生運動や過激な左翼の学生による大学紛争へとつながっていく、「反権力」を訴える時代の流れがありました。

「右翼」のことも「左翼」のこともよく知らない私は、一部の人たちの論調の中に暴言や暴力が含まれているのを見たり聞いたりすると、少しうんざりとしてしまうのですが、「左翼」とまとめられることの多い昔の学生運動も、初期の頃には、おそらくそのような暴力的な要素は薄かったのではないかと思います。

サルトルの講演が行われた当時の慶応大学の講堂は、学生や聴講者たちで満席になっていました。

サルトルの全集を出した元編集者で作家の松本章男さんは、サルトルは未来を視野に現在を考えていた、未来の人間のために今の人間はどのように生きなければいけないかを強く考えていたと話していました。

昨年の安倍内閣の「安全保障関連法」の成立に反対していた「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)」などの人々について、フランス文学者の海老坂武さんは、おかしいと思うことをおかしいと言うことのできる人間が少しは出てきているというようなことを話していました。

『嘔吐』を翻訳したフランス文学者の鈴木道彦さんは、自分の生き方を振り返って、サルトルを読んで考えてほしいと話していました。

サルトルと内縁の妻?のボーヴォワールの来日から50年後の今の日本社会には、哲学者や思想家の来日で熱狂するという空気感はないような気がします。『21世紀の資本』を書いたフランスの経済学者のトマ・ピケティさんが昨年に来日した時には、「アベノミクス」なる安倍政権下の経済政策と合わせて、メディアでも多く取り上げられていたように思いますが、その著書を未読で経済問題にも疎い私には、ピケティさんを若き経済学者と紹介するメディアの番組を見たり新聞や雑誌の記事で少し読んだりしたくらいでは、ピケティさんが本当は何を伝えようとしていたのかということは、よく分かりませんでした。

サルトルの来日の頃、サルトルの考える「知識人」について、フランス文学者の村松剛さんや社会学者の清水幾太郎さんなどの“保守の論客”は、サルトルへの反論の記事を書いていたそうです(番組の中で紹介されていたのは読売新聞のものでした)。

私はサルトルのことを少ししか知らないのですが、「反戦」や「反核」や「反権力」や「反体制」を多くの人が表立って訴えることのできた時代の日本社会は、それはそれで健全であるような気もしました。今は、戦争時代を描くドラマにさえ、なぜか「反戦」のメッセージは取り入れられなくなってきているように思います。サルトルの来日した頃は敗戦から約20年経った頃なので、71年経った今と違うのは当然かもしれませんが、それでも、戦争に反対することは、以前は普遍的というか、ごく普通のことであるような気がしていたので、もしもこの先もっと人々の中から「反戦争」や「反核兵器」などの意志が失われていくのだとしたなら、「軍縮」よりも「軍拡」が支持されるようになるのだとしたなら、「テロ」と呼ばれる殺傷事件などへの恐怖のために自由を捨てるような事態が増えるのだとしたなら、それは怖い世の中になるのだろうなと思います。


ところで、これはサルトルの話とは全く関係のないことなのですが、昨夜のTBSでは「どうぶつ奇想天外!2016」が放送されていました。

3時間スペシャルで、みのもんたさんと、新しい「NEWS23」で復帰した雨宮塔子アナウンサーと、安住紳一郎アナウンサーが司会を務めていました。加藤晴彦さんはいなかったのですが、高田純次さんと渡辺満里奈さんは出演していました。「どうぶつ奇想天外!」は、1993年の秋から2009年の春まで放送されていた番組です。日本や外国の様々な動物のことが伝えられていて、千石先生が個性的で面白くて、私も好きでよく見ていました。最後のほうは少し内容が変わってしまって、それが残念だったという印象もあります。でも、昨夜の復活していた「どうぶつ奇想天外!」は最後まで面白く見ることができました。現在放送されている「生き物にサンキュー」は、最初の頃は幅広く様々な生き物を特集しようとしている番組のように思えたのですが、最近は犬や猫の特集が多くなってしまい(犬や猫の特集が悪いということではないのですが)、何となく見なくなってしまったので、昨日の「どうぶつ奇想天外!」のスペシャルが新鮮でした。

アフリカの沼のカバの群れや北極海のイッカク(クジラの仲間ということでしたが、泳ぐ動きはアザラシやジュゴンに似ていました)の群れや、俳優の田中圭さんの潜ったフロリダのゴリアテ・グルーパーという新月の日に集まるハタ科の巨大魚の群れの映像には生き物の迫力がありましたし、さかなクンと安住さんが滋賀県の高島市の針江区という水のとてもきれいな里山の紹介も良かったです(川端を泳ぐ鯉がお鍋のカレーを食べるのにも驚きました)。番組の昔の映像も含め、メリハリのある構成の楽しい特別番組でした。
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