ドラマスペシャル「望郷」

テレビ東京の「六本木3丁目移転プロジェクト」のドラマスペシャル「湊かなえサスペンス 望郷」を見ました。

原作は、私は未読なのですが、湊かなえさんのミステリー連作短編集『望郷』です。

白綱島という同じ島を舞台にした、「みかんの花」と「海の星」と「雲の糸」の3作のオムニバスドラマでした。

「みかんの花」は、都会からやって来た旅人の奥寺健一(田中圭さん)と一緒に東京へ行くことに憧れていた中学生時代から20年経ったある日、認知症の母の安江(倍賞美津子さん)の世話をしながらみかん農家を継いで暮らしていた主婦の富田美里(広末涼子さん)が、人気作家として「閉市式」の挨拶のために島に戻ってきた姉の笙子(水野美紀さん)が20年間島に帰ることができなかった本当の理由を知って、姉の人生と今の自分の生活を受け入れていく話でした。脚本は浅野妙子さん、監督は新城毅彦さんでした。

「海の星」は、東京で妻の友美(紺野まひるさん)と息子の太一(五十嵐陽向さん)と暮らす浜崎洋平(伊藤淳史さん)が、20年前のある秋の夜、煙草を買いに家を出たきり帰らない父親の秀夫(橋本じゅんさん)を母親の佳子(若村麻由美さん)と二人で、父親のポスターを町中に貼って待ち続けていた少年時代の洋平(加藤清史郎さん)に声をかけ、時々浜崎家に釣った魚や娘の焼いたクッキーなどを持ってきていた謎の漁師の真野幸作(椎名桔平さん)の当時の真意と幸作さんが隠していた父親の事実について、幸作さんの娘で高校時代の同級生の真野美咲(平山あやさん)から教えられ、本当のことを浜崎親子に言い出せずにいた幸作さんの長年の苦しみを思い、感謝する話でした。脚本は大島里美さん、監督は中前勇児さんでした。

「雲の糸」は、自分が0歳の頃に母親の律子(麻生祐未さん)が暴力を振るう父親を殺したという運命を背負わされ、地元の人たちからの嫌がらせや同級生たちからのいじめに耐えながら育ち、大阪の工場で出会った先輩(山崎まさよしさん)から音楽の楽しさを教わってストリートで歌い始め、「雲の糸(蜘蛛の糸)」を掴むようにプロの人気ミュージシャンとなった黒崎ヒロタカ(磯貝宏高、濱田岳さん)が、地元で細々と生きる母親に頼まれて、地元の大きな工場の息子でいじめの加害者の中心人物だった的場裕也(大野拓朗さん)と再会し、応援しているからと恩着せがましく自分を利用しようとしてくる島の人々に吐くほど嫌気が差していた夜、母親がミュージシャンとなった自分のせいで自殺未遂をしようとしていたことを知って精神的に追い詰められ、誤って海に転落してしまう、という話でした。

病院で意識を取り戻した宏高さんは、姉の亜矢(内山理名さん)から、島のみんなが本当に宏高さんを応援していること、母親が父親を殺したのは自分を守るためではなく宏高さんを守るためだったことを初めて教えられて反省し、これからは母親を守るために生きると姉に誓い、宏高さんの言葉を廊下で聞いていた母親が泣き崩れていました。脚本は小寺和久さん、監督は藤井道人さんでした。

「みかんの花」は、みかんの花が特徴的に描かれるということではなかったような気もするのですが、姉と母親と姉の元恋人の役所の宮下邦和(水橋研二さん)が隠していた事実を知った美里さんがフェリーで再び島を離れて行く姉に手を振る最後の場面までの展開が良かったように思います。役所の宮下さんが笙子さんに協力して、その後も警察に通報しなかったのは、姉の元恋人だからというよりは、笙子さんの実家をその時以上に孤立させないようにするためだったのかなと思いました。

「海の星」は、「謎のおっさん」の幸作さんが浜崎親子の前から姿を消す前に洋平さんに見せたウミホタルの青い光のことでした。母親の佳子さんが途中で亡くなり、母親は遺骨を海に流してほしいと洋平さんに頼んでいたので、その遺骨を島の海に撒いて「海の星」を出す場面もあるのかなと、ドラマを見ながら勝手に思っていたのですが、そのような場面はありませんでした。

「雲の糸」は、夫殺しの殺人犯となってしまった母親のことでいじめられていた小学生の宏高さんが青空の白い飛行機雲を見て「ロープみたい」と姉に言った言葉でした。いじめの場面や同級生や島の人たちによる嫌がらせの場面は見ていて不快だったのですが、最後は、磯貝家の親子3人が救われる展開になっていたので、少しほっとしました。

エンディングで流れていたドラマの主題歌は、山崎まさよしさんの「光源」という曲でした。「雲の糸」のドラマの中で濱田岳さんの演じる黒田ヒロタカさんがギターを弾きながら歌っていた「空の果て」も、山崎まさよしさんの作詞・作曲の歌でした。歌われていたのは短い時間だったのですが、良い歌のような気がしました。

3作品とも、主人公の生活には父親がいませんでした。そして、主人公の長年疑問に感じていたある謎の真相が最後に明かされて納得するという展開の物語でした。島の風景そのものはきれいだったように思うのですが、島の人間関係の「閉塞感」のようなものも強調されて描かれていたような気がします。そのため、少し息苦しい雰囲気のドラマでもあったような気がするのですが、ドラマの終わり方にも余韻があって、ドラマを見る前に思っていたよりも、良かったと思います。


ところで、このドラマを見た後、何気なくTBSの「NEWS23」に変えると、青森の青森市の中学2年生の女子生徒がスマートフォンのメモに「もういじめないでください」という遺書を残して線路に飛び込んで亡くなったいじめ自殺事件のことが特集されていました。「望郷」のドラマでもいじめが描かれていたので、テレビ局は異なるのですが、何かつながっている感じがしました。被害者が加害者によるいじめの証拠をたくさん残していても、自殺の原因が「いじめ」であることがなかなか自治体の教育委員会に認められないという問題は、一体どうすれば解決するのだろうと気になりました。報道されていないだけで、もしかしたら、いじめが原因で自殺した方はたくさんいるのかもしれません。いじめの問題もテレビ番組ではあまり扱われませんが、扱われることがあっても被害者の側の思いを取り上げることのほうが多いので、それも大切なことですが、いじめの発生の原因は加害者となってしまう生徒のほうにあるのだろうと思いますし、いじめの加害者の側の思いについても同じくらいバランス良く取り上げてほしく思いました。
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