ドラマスペシャル「狙撃」

テレビ朝日のドラマスペシャル「狙撃」を見ました。

原作は、私は未読なのですが、永瀬隼介さんの小説『狙撃 地下捜査官』です。脚本は保木本真也さん、演出は秋山純さんでした。

何気なく見てみることにした2時間と少しのドラマだったのですが、面白かったです。

警視庁捜査第一課で活躍していたものの、上司の斉木優也(眞島秀和さん)との不倫が原因で一人だけ西小金井署に左遷されたノンキャリアの上月涼子(尾野真千子さん)が、警視庁警務部長の城田義彦(でんでんさん)に警視庁警務部特務監察室への出向を命じられ、関わると不幸になると言われている特務監察室の室長で警視正の鎮目竜二(佐藤浩市さん)の部下となり、15年前に発生した、次期首相候補と噂されていた元国務大臣で国家警察委員会会長の宮田達之議員(柄本明さん)の狙撃事件の真犯人を巡る闇に立ち向かっていく物語でした。

その他の主な登場人物は、潜入捜査を得意とする特務監察室捜査官の成瀬勝巳(北村有起哉さん)、宮田議員狙撃事件の関する“呪いのファイル”を開く鍵となるUSBメモリーを持っている公安部の刑事の貴島彰(阿部サダヲさん)、そのUSBを入手するために貴島さんを執拗に追い回す公安部の刑事の真武士高(松重豊さん)、特務監察室事務を担当している鎮目さんの秘書のような花村加代(鈴木麻衣花さん)、元公安の刑事で宮田議員狙撃事件を追うためにジャーナリストになった神戸悟(小市慢太郎さん)、元所轄の巡査で公安に見張られながらアルバイト生活を送って時効の日を待っている宮田議員狙撃事件の容疑者の清田洋一(永山たかしさん)、処分を命じられていた狙撃事件の真相を記録したファイルをUSBの鍵を作って封印して貴島さんに託した後に自殺を装って殺された公安の刑事で貴島さんの恋人だった藤宮佳苗(鈴木杏さん)、宮田議員狙撃事件当時の警視総監で今は綜合警備会社の相談役として天下りをしている嶋壮一(長谷川初範さん)です。

刑事警察と公安警察の対立構図と、腐敗した警察組織の闇を描く刑事ドラマでした。

警察組織を守るために宮田議員狙撃事件の真犯人を「迷宮入り事件」や「未解決事件」としてひた隠しにしたい公安の警察官たちと、藤宮さんと同じように正義感から公安の闇を暴こうとするノンキャリアの刑事の涼子さんや、警察組織を浄化するために革命を起こそうとしている上司の鎮目さんとの、戦いの物語でした。

登場人物の立場や関係性が複雑に思え、さらに展開も早かったので、画面から少しでも目を離したら分からなくなってしまいそうでもありましたし、見ていて少し頭痛になりそうでもあったのですが、物語の展開には筋が通っていて、無駄に思えるような本筋とは関係のない場面もなく、興味本位的な場面もなく、ミステリーというよりはサスペンス的な、硬派な社会派の、いわゆる「ハードボイルド」の作品だったように思います。

貴島さんが電車に乗っていたその車両の乗客たちのほぼ全員(実は公安の警察官たち)から追い回される場面などには、「世にも奇妙な物語」のような怖さもありましたが、今回のドラマを見ながら、私は、NHKの「未解決事件」で放送されていた、田中角栄元総理大臣が逮捕された「ロッキード事件」の回や、TBSのドラマ「MOZU」や、NHKのドラマ「外事警察」などのことを少し思い出しました。

涼子さんは、15年前の宮田議員狙撃事件のあった日、母親と訪れた国立市のスーパーマーケットで、母親を刃物を持った強盗に殺されていたという過去がありました。翌日の新聞紙面では、議員の事件の記事のほうが大きく扱われ、母親の殺害事件のことはよく見なければ見逃してしまうような小さい記事としてしか扱われておらず、そのことが長い間、寂しく心に残っていたようでした。警察官になったのも、それがきっかけでした。

公安に追われている貴島さんを守ろうとしていた涼子さんが、公安は悪を中に隠すと話していた貴島さんの死後に届けられたお米の袋の中からUSBキーを見つけ、本当は自分が貴島さんや成瀬さんに守られていたことに気付いて、貴島さんや成瀬さんが犠牲になりながらつないだUSBを、鎮目さんにつなぐ場面も、良かったです。涼子さんが鎮目さんを信頼した瞬間だったのだと思います。

しかし、防犯カメラの映像に映っていたのは、神戸さんでした。神戸さんは、公安が縮小されるのを防ぐために、身を隠して宮田議員を狙撃し、全てを「黒い羊」という他の事件を起こしていたテロリスト集団のせいにしようとしていた公安警察に守られていたのでした。警察組織の浄化を考える鎮目さんは、そのことを高齢者施設で暮らす宮田さんに報告したのですが、狙撃犯と直接会いたいという宮田さんを神戸さんと会わせた直後、神戸さんに撃たれてしまいました。涼子さんも撃たれそうになったのですが、鎮目さんに守られ、神戸さんは公安の真武さんに撃たれて死亡しました。神戸さんに拳銃を渡して鎮目さんを撃たせたのは宮田さんでした。神戸さんに撃たれた鎮目さんはしばらくして絶命し、宮田さんは警察組織を守るために自殺したようでした。

最後は、特務監察室が解散になってから2年後の場面でした。涼子さんは、妊婦になっていた花村加代さんが持っていたUSBメモリーをつないでもらっていました。そして、「見届けさせてください。あなたの革命の続き」と涼子さんが鎮目さんを思って呟く場面で終わっていました。

鎮目さんには涼子さんの上司として生きていてほしかったですし、まだ続きがありそうな終わり方には、私にはすっきりとしない感じでもあったのですが、警察組織の深過ぎる闇の問題が簡単には解決しないという現実感が出ていたのかもしれないとも思います。重い印象の刑事ドラマでしたが、良かったです。
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