「巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲 」

テレビ東京の「六本木3丁目移転プロジェクト」のドラマスペシャル「巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲 」を見ました。2時間と少しのドラマです。

主人公の東京地検公判部の検事の冨永真一(玉木宏さん)は、世間が注目する幼児誘拐事件での功績が認められて東京地検特捜部へ異動となり、政策に沿った捜査しかしないと思われている検察のイメージを変えたいと考える特捜副部長の羽瀬喜一(奥田瑛二さん)の命で、「永田町のドン」とか「ミスターグレー」などと呼ばれる大物政治家・元副総理大臣の橘洋平(仲代達矢さん)を検挙するため、事務官の五十嵐鉄夫(萩原聖人さん)と共に闇献金疑惑事件の捜査を始め、その矢先に、群馬県の土木会社会長の本郷五郎の自宅で裏金リストの書かれた手帳が見つかり、その翌日に自殺した本郷五郎の妻の本郷登紀子(草笛光子さん)を東京地検に呼んで聴取を行うことになりました。

気の強い登紀子さんが表千家の茶人でもあることを知ると、冨永さんは、登紀子さんと話しをするため、老舗和菓子店を営む実家の父親の一雄(田村亮さん)に頼んで取り寄せた和菓子と抹茶を用意し、本郷さんの手帳は3か月前に一度盗まれていて捜査員が自宅に来た日になぜか戻って来ていたのだと教えられ、夫は何者かにはめられたのだと訴える登紀子さんから、光は常に闇から生まれるのだと言われました。そして、巨悪を眠らせてはいけないという言葉と、日本の宇宙開発のための科学技術の研究成果をお金のために軍事産業大国のアメリカに売り渡そうとしている「売国政治家」の情報をスマートフォンの中に残して冨永さんに知らせた文部科学省の宇宙開発担当の官僚で親友の近藤左門(鈴木浩介さん)が失踪したことを知った冨永さんは、政府の機密場を盗んだ犯人とされる近藤さんのことを隠したとして、羽瀬さんから謹慎を言い渡されてしまいました。

一方、小さい頃からの夢を叶え、亡くなった父親の勤めていた宇宙航空研究センターの研究者となった八反田遙(相武紗季さん)は、教授の寺島光太郎(勝村政信さん)の元で「プロジェクト・オメガ」という新型エンジンを搭載したロケットの研究を始めることになったのですが、表向きには宇宙開発研究の支援を表明していた官房長官の中江信綱(西村雅彦さん)との予算会議で、良い結果が出ていないからとして研究予算の大幅な削減を伝えられ、日本の宇宙研究の厳しい現実に直面しました。そして、日本がアメリカと共同で宇宙研究をすることになるかもしれないという流れが来ていたある日、八反田さんは、上司の寺島さんが機密情報を不正にコピーして持ち出していたことに気付き、日本の宇宙研究の未来に絶望している寺島さんの「裏切り」を知りました。

文部科学省の官僚や公安警察の刑事に狙われながら近藤さんを探す中で八反田さんに出会った冨永さんは、親友から託された、闇献金と宇宙開発の日米共同研究事業に関わる巨悪を挙げるため、多くの政策についてアメリカに便宜を図ってきた“親米”政治家の橘洋平に直接会いに行き、本郷会長の学生時代からの親友だった橘さんから、近藤さんの失踪事件の真相と、橘さんの本当の狙いを教えられるのでした。

冨永さんの実家が放火されたことを知り、「火の用心」と書かれた最後通告の怪文書を受け取って激怒した上司の羽瀬さんは、検察の正義を見せようと、上司の小松一平(田中健さん)や岩下希美(羽田美智子さん)の捜査の中止の指示を押し切って、謹慎を解いた冨永さんや他の部下たちと共に犯罪の証拠集めに奔走し、「売国政治家」の中心的人物だった中江官房長官の逮捕に踏み切るのでした。

原作は、真山仁さんの小説『売国』です。私は未読なのですが、NHKの「土曜ドラマ」で2007年の頃に放送されていた「ハゲタカ」は、とても好きで見ていました。

脚本は金子ありささん、監督は若松節朗さんでした。

登場人物の多い、いわゆる“豪華キャスト”の社会派ドラマだったのですが、国に予算を削られて追いつめられる宇宙開発研究者たちと、宇宙開発を担当する文部科学省とその技術をお金のためにアメリカに売り渡そうとする「売国」の政治家と、それに気づいたことで公安警察に狙われるようになった検事と、「愛国」の政治家と、その人物に協力する官僚たちの複雑な、現実にもありそうな物語が、混乱せずに描かれていて、最後まで面白く見ることができました。

何でもアメリカに便宜を図る“親米の売国政治家”だと長年思われていた、仲代達矢さんの演じる衆議院議員の橘さんは、本当は、真の売国政治家が中江官房長官であることに気付き、官房長官を検察に逮捕してもらうための筋道を作るために、自分へ疑惑が向くように仕向けていたようでした。そして、意気投合した近藤さんの協力を得て、気鋭の検事である冨永さんに、官房長官の検挙を託したのでした。

橘さんは証言をするために記者会見に臨み、その直前に、これからは一検事としてこの国を守ってほしいと、近藤さんから預かった資料を全て処分するよう冨永さんに言いました。冨永さんは、それに従って、妻と海外へ逃亡していた近藤さんの残したスマートフォンのSDカードを公安に渡しました。公安の刑事の冨永さんへの疑いを晴らしたのは、五十嵐さんでした。五十嵐さんは、普通の事務官ではなく、実は公安ともアメリカともつながっていたらしい人物でした。

政治の最前線で「売国」行為を行っていた官房長官は、検察に連行されていたのですが、その後逮捕されたかどうかは描かれていなかったように思います。寺崎教授は、八反田さんの父親にもらったロケットの模型を八反田さんに渡して別れた後、自殺をしたようでした。

最後は、冨永さんと宇宙航空研究センターの八反田さんの場面でした。冨永さんは、北極星にロケットを飛ばすという夢のために「プロジェクト・オメガ」の研究を続けるという八反田さんを応援し、八反田さんは、検事の冨永さんにお礼を言って別れていました。

2時間ドラマでも良かったのですが、例えば「ハゲタカ」の時のように、NHKの「土曜ドラマ」で全5話か全6話で放送されるようなドラマであっても良かったような気がしました。

ドラマを見る前には、タイトルがどうして小説と同じ「売国」ではないのだろうという風にも思っていたのですが、ドラマを見て、確かに「巨悪は眠らせない」というタイトルのほうが検事の正義の信念を伝えるドラマとして合っているように思えました。

約2時間のドラマだったということもあり、いろいろ盛り沢山の印象でもあったのですが、良い社会派ドラマでした。現実にも、冨永さんたちのように、「巨悪」に立ち向かい、着実に検挙していく検事さんが現れるといいなと思います。官房長官の逮捕の件は曖昧のままでしたが、冨永さんと八反田さんの最後の場面もさっぱりとしてましたし、最後まで面白く見ることができて、良かったです。


ところで、これはこの「巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲」のドラマの後に見た、日本テレビの報道番組「NEWS ZERO」のことなのですが、「NEWS ZERO」は10周年を迎えたそうで、昨夜の放送では、宇多田ヒカルさんがピアノの弾き語りで、番組のテーマ曲になっている「真夏の通り雨」を披露していました。とても良かったです。良い歌だなと、改めて思いました。

村尾キャスターとの対談の中で宇多田ヒカルさんが、自分のことは他者との関係の中でしか知ることができないものであり、人の中に入っていくことができなければ自分は得体の知れない存在になってしまう、という趣旨のことを話していて、それを聞いて、なるほどなと思いました。そのような意味では私も一種の得体の知れない存在なのかもしれないと思い、それではいけないのかもしれないなと、漠然と思いました。
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