「夏目漱石の妻」第3回

NHKの土曜ドラマ「夏目漱石の妻」の第3回「やっかいな客」を見ました。

第3回は、昭和38年の春から昭和40年の初冬の頃までの物語でした。

日露戦争によって貧富の格差が日本社会に広がっていた頃、『吾輩は猫である』の人気に喜んでいた夏目金之助(夏目漱石、長谷川博己さん)は、妻の夏目鏡子(尾野真千子さん)と4人の娘たちと共に、千駄木から駒込の西片町へ引っ越し、朝日新聞社の池辺三山に誘われて、大学教授の仕事を辞めて朝日新聞社の専属の小説家になることを決めました。質屋通いをしながら書生の出入りする生活を切り盛りしていた鏡子さんは、新聞社は潰れるかもしれないから不安定だと最初は反対していたのですが、月給が200円だと聞いて考えを改めていました。

そのような時、『坊っちゃん』も発表して人気作家となりつつあった金之助さんの家を、「代言人」と共に養父の塩原昌之助(竹中直人さん)が訪ねて来たのでした。塩原さんは、20年ほど前に、金之助さんが夏目家に戻る際に置いていったという、お互いに不実不人情は致しません、と書かれた念書をちらつかせながらお金の話を切り出しました。

持病の胃痛に耐えながら応対する金之助さんを見かねた鏡子さんは、夏目家の金之助さんの実の兄に相談し、弟は父親にかわいがられなかったから塩原家にいたほうが幸せだったかもしれないという話を聞くと、神社で子供たちと遊んでいた塩原さんに会い、子供のいない塩原さんが金之助さんを本当の子供のようにかわいがって育てていたということや、塩原さん自身が落ちぶれてしまった自分を情けなく思っているということを知るのですが、お金の無心に来る塩原さんの存在に精神的に追い詰められて胃痛を悪化させている金之助さんの身体を心配し、屋根裏から封筒を取り出しました。

胃痛で倒れた金之助さんから、あなたは良い父親だった、たった一人の父親だったと言われてはっとした塩原さんは、金之助さんを脅して見せてもらったパナマ帽を外して、雨の中を帰って行きました。鏡子さんは、屋根裏から出した封筒を持って塩原さんを追いかけ、100円の入った封筒を差し出し、念書との交換を迫りました。塩原さんは、息子だった金之助さんと自分をつなぐものとして、念書を心の支えにしていたようだったのですが、妻と二人暮らしの貧しい暮らしの急場をしのぐため、念書を鏡子さんに渡し、お金を受け取って、逃げるように去って行きました。

雨に濡れながら戻った鏡子さんから古い念書を受け取った金之助さんは、その紙を破って畳の上に置き、父親の中根重一さんからの借金も断って縁を切っていた鏡子さんに、また一人身内を失った、僕は君のように強くはなれないと言って、鏡子さんを残して書斎へ戻っていきました。

雨の滴と涙を一緒に落としながら畳の上でため息をつく鏡子さんが印象的でした。

それから、昭和40年、朝日新聞社の専属の職業作家となった金之助さんは、鏡子さんたち家族と、早稲田南町での暮しを始めていました。鏡子さんは長男の純一さんを育てていて、金之助さんは「虞美人草」を朝日新聞に連載していました。

そして11月のある日、夏目家の黒猫を探していた鏡子さんの従妹の山田房子(黒島結菜さん)が、畑でその猫を見つけた、夏目漱石の本を読んで感銘を受けて足尾から三日かけて出てきたという荒井伴男(満島真之介さん)に声をかけられました。夏目家を訪ねて来た荒井さんは、足尾銅山の元坑夫として、自分の知っている面白い話を、漱石先生に小説として書いてほしいと思っていたようでした。深夜まで6時間その話を聞いていた金之助さんは、鏡子さんに言われて荒井さんを帰すことにし、当日の宿泊費を渡して玄関先で見送ったのですが、荒井さんは、事情があって実家と縁を切り、地の底まで行ってやろうと思って坑夫になったという、東京出身の人でした。

しばらく荒井さんは夏目家には来なかったということなのですが、その後、買い物のために街に出ていた房子さんは、平等を訴える若者たちのデモに遭遇しました。そこで“治安維持”のために出動してきた警官たちから逃げる若者たちの中に荒井さんを見かけ、荒井さんに逃げようと言われて手を掴まれ、なぜか一緒に走って、少し楽しそうに逃げていました。

脚本は池端俊策さんと岩本真耶さん、演出は榎戸崇泰さんでした。

第3回も、とても良かったです。

尾野真千子さんの演じる鏡子さんと、長谷川博己さんの演じる金之助さんと、竹中直人さんの演じる金之助さんの養父の塩原さんとの気持ちのすれ違いや葛藤が繊細に描かれていて、ドラマを見ている私も少し苦しい気持ちになりました。

「家族」と「生活」と「お金」の問題が、夏目家や中根家に限らず、当時の(今もかもしれませんが)人々の人生に暗い影を落としているという感じも、描かれていたのだと思います。

ドラマの印象では、金之助さんは夢や理想を追う人で、鏡子さんは現実的な生活の人です。金之助さんには鏡子さんが強く見えるのかもしれないけれど、鏡子さんは家族の生活を支えるために必死なのですし、金之助さんと鏡子さんは、理想と現実が一体となった夫婦なのかもしれないなと、今回を見ていて何となく思いました。

あと、占いにはまっていた鏡子さんが、占い師に言われたとかで、上向いている運を人形に取られないようにするために棚の上の人形や箱の中のこけしなどを全て横に寝かせるということをしていたのも、何だか面白く思えました。

全4回のドラマなので、次回が最終回です。最終回の物語も楽しみにしたいと思います。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム