「宮崎のふたり」

NHKのBSプレミアムで放送されていたドラマ「宮崎のふたり」を見ました。NHK宮崎放送局制作の、宮崎発地域ドラマです。

宮崎県は、1960年代から1970年代、新婚旅行先としてとても人気の場所だったそうです。

今回の「宮崎のふたり」は、その新婚旅行をテーマにした物語でした。

建設会社を定年退職し、一人で宮崎にやって来た小山幸彦(柄本明さん)は、街路樹のヤシの木を見ながら、タクシー運転手の日高詠介(森山未來さん)に新婚旅行ブームの時代の過ぎ去った宮崎の悪口を言い続けていました。“高齢者に優しい”運転手の詠介さんは、辟易しながらも、妻の描いた絵はがきを持った幸彦さんが探している新婚旅行で訪れた旅館の場所へ連れて行きました。そこにはすでに旅館はなかったのですが、旅館を経営していた人の娘の黒木咲耶(池脇千鶴さん)が詠介さんの知り合いだったため、幸彦さんは咲耶さんが経営する小料理屋へ招待され、そこで昔のアルバムを見せてもらいました。

タクシー運転手の詠介さんと本当は東京で料理の勉強をしたい咲耶さんの関係性を気にしながら、翌日、二人の案内で、妻の京子(原田美枝子さん)が探していた、40年前の新婚旅行の際に訪れたことのある公園施設に到着した幸彦さんは、そこが閉鎖されて寂れたままになっている状況に再び悪態をついて激怒するのですが、その後、咲耶さんに案内された老人ホーム「かあさんの家」で働いていた咲耶さんの母親(市毛良枝さん)から、京子さんが一人で訪れて当時の幸彦さんとの写真を持って帰ったことを聞き、さらに京子さんが幸彦さん宛ての手紙を託していたことを知るのでした。

仕事に忙しくしていた幸彦さんは、頑固で家庭のことを顧みない人だったようでした。妻の京子さんは病気のことを夫に言い出すことができずにいて、宮崎旅行を計画し、そこで言おうと考えていたようでした。しかし、旅行の2日前になって幸彦さんは急にいかないと言い出し、京子さんは一人で出かけました。そして、幸彦さんは、京子さんとすれ違ったまま、体の不自由になった京子さんを息子に任せ、施設へ入れたということでした。

幸彦さんの左腕には、京子さんと喧嘩になった時に切った傷痕がありました。幸彦さんは、京子さんと向き合ってこなかった自分の言動を後悔していました。詠介さんに頼んで、何とか公園施設に入ることにした幸彦さんは、伸びた草の中を詠介さんと進み、京子さんの絵の場所にたどり着きました。

その海を見ながら寂しさを感じていた幸彦さんは、咲耶さんから、京子さんが預けていた幸彦さんへの手紙を受け取り、ベンチに座って読み始めました。そこには、京子さんの寂しい思いと、褒められたがりの幸彦さんへの愛情が綴られていました。

京子さんの手紙によると、ハネムーンには満月という意味もあるそうです。満月だけではつまらないという手紙の妻の言葉の端々から、嫌われていると思っていた妻に愛されていたことを知り、その愛情を少しずつ自覚した幸彦さんは、詠介さんや咲耶さんと別れて急いで妻の元へ戻り、施設に入っている妻の車椅子を押して、屋上から満月を見ていました。京子さんの描いた絵ハガキの黄色の丸を、幸彦さんは満月のことだろうと訊いたのですが、京子さんは首を振り、「花丸(はなまる)」だと小さく答えました。妻に褒められた幸彦さんは、大きな声で「フェニックス・ハネムーン」の歌を歌っていました。

宮崎の詠介さんは、咲耶さんに「結婚する」と切り出していました。その思いを受け取った咲耶さんは、安心して?夫の詠介さんを宮崎に残して、東京へ料理の勉強をしに行く決意をしたようでした。

作・脚本は安達奈緒子さん、演出は北野拓さんでした。

劇中歌とエンディングに流れていた主題歌は、デューク・エイセスの「フェニックス・ハネムーン」という歌でした。宮崎が新婚旅行ブームに沸いていた頃に流行っていた歌だそうです。歌詞の中に、「宮崎の二人」が入っていました。

柄本明さんの幸彦さんと森山未來さんの詠介さんとの場面も良かったですし、詠介さんと池脇千鶴さんの咲耶さんの場面も良かったです。原田美枝子さんの京子さんと幸彦さんの回想の場面も丁寧に描かれていて、幸彦さんが公園で京子さんの手紙を読む場面は感動的でした。

過去の「遺産」的な施設が放置されている宮崎の寂れた風景を「自虐的」に描いて見せつつ、「新婚旅行ブーム」の去った今の宮崎(あるいは似たような状況下に置かれている各地方都市)の現実を前向きに受け止めて未来を見据えている感じが、穏やかでありながら逞しい感じの印象のドラマでした。

「ハネムーン」と呼ばれる新婚旅行の時が満月で、後は欠けていくだけという結婚生活のことを、手紙の中の京子さんは、そのほうが面白いという風に明るく幸彦さんに話していたのですが、最終的にお互いに、この人と結婚して良かった、と思うことのできる夫婦は、本当に幸せな夫婦なのだろうなと思います。

新婚旅行や結婚のことを描きながら、女性がみんな結婚を望んでいるとは限らないとか、夫婦の暮らし方にもいろいろあるというようなことが伝えられていた感じも、良かったように思います。宮崎県の日南海岸や堀切峠に近い街を舞台にした地域ドラマでしたが、新婚旅行をしたことのある夫婦の普遍的な物語であるようにも思いました。良いドラマでした。
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Author:カンナ
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