「特命指揮官 郷間彩香」

フジテレビの「土曜プレミアム」の枠で放送されていた2時間ミステリーのドラマ「特命指揮官 郷間彩香」を見ました。

昨夜には、NHKの新しい「土曜ドラマ」の「スニッファー 嗅覚捜査官」の第1回の放送もあったのですが、そのドラマは録画をしておくことにして、「このミステリーがすごい!大賞受賞作」の映像化という放送時間が少し長めのこちらの刑事ドラマを見てみることにしました。

「ブラッド・ユニット」という警察官や元警察官などで構成された“闇の仕置人”的組織の宗像陽平(神田正輝さん)が何者かに刺殺される場面から始まり、3年後の新宿の「新世界ファイナンス」の人質立てこもり事件の物語が始まっていました。刑事の宗像さんは、郷間さんが10歳の頃に家族を捨てて別の女性と子供のもとへ行った、郷間さんの父親でした。

その人質立てこもり事件の犯人グループのリーダーの要望で警視庁刑事部部長の野呂和彦(竹中直人さん)から警視庁特殊犯捜査第一係(SIT)の係長の後藤剛(高嶋政伸さん)のいる現場の指揮官を任されることになった警視庁捜査二課知能犯第二係の主任警部補で電卓打ちの得意な郷間彩香(松下奈緒さん)が、2年前まで同じ捜査二課の刑事だった主犯の國井哲也(稲垣吾郎さん)から犯行動機を訊き出そうとして、第二次世界大戦中の陸軍出身の政治家で「政界のドン」と呼ばれている与党・救民党の元代表の伊藤重太郎(内田裕也さん)が戦時中に盗んだ占領下のシンナバル王国の国璽によってシンナバル王国の財宝を略奪した悪事や伊藤が末裔のソニア(知英さん)の暗殺を計画していること、経済界とつながりの深い伊藤の目的は再び戦争を起こして軍需産業で儲けることだということ、郷間さんの父親が殺されたのは伊藤たちを追っていたからだったということを教えられ、父親が守ろうとしていたシンナバル王国の末裔のソニアと警察組織を守るために、警察庁の百瀬次長や佐伯官房長を始めとする上層部が犬のように従う伊藤が握る国家権力に立ち向かっていくことを決意する、というような物語でした。

原作は、私は未読なのですが、梶永正史さんの小説『警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官』です。

脚本は福島治子さん、演出は神徳幸治さんでした。

複雑な物語にも思えたのですが、ドラマを見る前に思っていたよりも、とても面白かったです。登場人物が多いようにも思えていたのですが、混乱せずに見ることができました。

稲垣吾郎さんの演じる國井さんと、鈴木亮平さんの演じる警察庁刑事局国際捜査管理官の吉田透警視正は、それぞれ宗像さんの知り合いでした。

國井さんも怪しいし、女性警察官の転落死の現場にいたことを隠していた吉田警視正も郷間さんの味方なのか敵なのか分からないという感じが長らく続いていて、物語にも筋が通っていたように思いますし、誰が敵で誰が味方なのか最後まで分からないという演出と展開に緊張感がありました。

郷間さんの味方だった新宿中央署刑事課主任で警部補の竹下聖史(大友康平さん)の実態がソニアさんの匿われている別荘で突然明らかになる場面も良かったように思います。

冒頭の吉井警視正と、「ブラッド・ユニット」を探っていた女性警察官のアクションシーンにも迫力がありました。

第二次世界大戦時の出来事、陸軍出身の与党政治家、闇金融、軍需産業、警察組織、というようなキーワードが絡んでくるところが、何となく「未解決事件」の「ロッキード事件」のようでもあり、最近のスペシャルドラマでいうなら、テレビ朝日の「狙撃」(主演は尾野真千子さん)や、テレビ東京の「巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲」(原作名は『売国』、主演は玉木宏さん)を合わせた内容でもあるような印象でした。その二つのスペシャルドラマも面白かったです。

例えば、今年の春頃、都市再生機構(UR)への口利きの見返りとして建設会社から現金を受け取っていたことを東京地方検察庁へ訴えられていた甘利明元大臣とその秘書の方が嫌疑不十分として不起訴処分となるという出来事がありましたが、その事件にも、背後には、今回や先のスペシャルドラマの物語のように、警察や検察が政治権力に屈するかどうかというような状況があったのではないかなとも思います。

「巨悪は眠らせない」では、一応「売国政治家」だった官房長官が捕まっていましたが(逮捕が確定したのかは不明です)、今回の「特命指揮官 郷間彩香」では、竹下警部補が狙撃され、命を狙われているソニアさん自身も逃げずに戦っていくことを決意した「一ヶ月後」にも、内田裕也さんの演じる和装の「政界のドン」の伊藤重太郎は捕まってはいませんでした。

吉田警視正の紹介でソニアさんと対面した郷間さんが、父親がソニアさんを守る「特命」のために家を出て行ったけれど娘のことは最後まで大切に思っていたということを知る件も良かったと思うのですが、ただ、最後、集中治療室の竹下さんの前に郷間さんの部下の鈴木達也(真剣佑さん)が現れたところで終わっていたのは、かなりすっきりとしない終わり方だったように思います。

これからが始まりだと國井さんが言っていたので、もしかしたらいつか「続編」を作る予定があるのかもしれませんが、部下を謎にしたまま終わらせるのは、単発の作品としても中途半端です。別荘の窓から竹下さんを狙撃した人物も調査中ということでしたが、鈴木さんだったのでしょうか。

ソニアさんのペンダントと同じ鷲?の彫刻の施された「国璽」の行方についても、ソニアさんの元に戻ったのかまだどこかに隠されているのか、その後のことは描かれていませんでした。登場人物については、最終的に郷間さんの「味方」として残ったのは、刑事部長の野呂さんとSITの後藤さんと、「ブラッド・ユニット」の國井さんと吉田警視正です。

「巨悪は眠らせない」や「狙撃」の場合もそうでしたが、「巨悪」の政治家を2時間ドラマ内で捕まえるというのは、物語を丁寧に作ろうとするほど(現実がそうであるように)難しいのだろうと思います。それでも、郷間さんたちが、いつかちゃんと「巨悪」(国家権力を利用し続ける強盗殺人犯のような強欲政治家)を逮捕することができるといいなと思います。

松下奈緒さんの演じる郷間さんの「女子力の高い電卓女」(番組表の解説に書かれていました)という特徴?はそれほど活かされていなかったように思いますし(そもそも「女子力」とは何でしょうか)、ドラマの中途半端な終わり方が私には少し残念に思えたのですが、でも、物語自体は面白かったです。フジテレビのドラマとは思えない、と言ってはいけないのかもしれないのですが、意欲作になっていたような気がします。
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