「五年目のひとり」

テレビ朝日で放送された「山田太一ドラマスペシャル 五年目のひとり」を見ました。

録画をしておいたこのドラマを私が見たのは、福島沖で津波を伴う震度5弱の地震が起きた後の日のことでした。そのため、このドラマを見て「東日本大震災」の時のことを思い出すというのとは少し違うかもしれないのですが、2011年の3月11日の「東日本大震災」を忘れてはいけないということを喚起するドラマとして、このドラマが放送されたことは良いことだったのだろうと思います。

ドラマは、歩道橋で見知らぬ中年男性(渡辺謙さん)に突然声をかけられ「一番きれいだった」と言われて嬉しくなった、ダンス部に所属する中学生の松永亜美(蒔田彩珠さん)が、家族の反対に遭いながらも、上野弘志(高橋克実さん)が店主を務める街のパン屋さんでアルバイトをしていたその木崎秀次さんと会っていたある日、木崎さんをパン屋の上野さんに紹介した花宮京子(市原悦子さん)から、福島出身の獣医の木崎さんが5年前の大津波で家族も親戚も友人も亡くして孤独の身となったことを教えられ、木崎さんの亡くなった娘のレイコにそっくりだと重ねて見られていた自分と木崎さんの関係性を見つめ直し、上野さんの妻(木村多江さん)の退院が決まってパン屋さんを辞めて故郷の福島へ一人で戻ることにした木崎さんとの別れを受け入れていく、というような話でした。

作(脚本)は山田太一さん、監督は堀川とんこうさんでした。

独特の話し方も含め、「山田太一ドラマ」らしいドラマだったように思います。

私としては、亜美さんの母親の晶江(板谷由夏さん)が警察に相談するほど心配していたように、中学生の亜美さんに「きれいだ」と声をかけた木崎さんは「危ない人」のように見えましたし、ドラマの中の亜美さんの友人たちの台詞の中にもありましたが、全体的に「恋愛」風の雰囲気を漂わせているところも、何か生々しく、私には少し気持ち悪いようにも思えてしまいました。

でも、5年前の「東日本大震災」を、今でも続いている現実として描くドラマが作られて放送されたことは、良かったように思います。

ドラマの木崎さんには、津波による被害が大きかったようなのですが、福島には東京電力の福島第一原子力発電所の事故もあって、もしも原発事故がなかったなら、町や学校の校庭や公園や田畑や山や川や海が放射性物質で汚染されるということもなく、「復興」はもっと早くできたのではないかと思います。

被災地から少し離れた場所にいる私には、「東日本大震災から5年」は「もう5年」のようでもあり「まだ5年」のようでもあるのですが、小学2年生の頃に福島から神奈川県の横浜市に自主避難した現在は中学生の方が同級生たちからいじめを受けて恐喝をされていたという事件があったように、東日本大震災の影響による酷い出来事は、5年前から今でもずっと続いているのだと思います。

TBSの「報道の魂」の「バカじゃねえのか、この国は! ~原発事故・被災農家の闘い~」というドキュメンタリー番組では、5年前の原発事故の翌日、福島の農家の未来に絶望した樽川久志さんが自ら命を絶った後、その父親の跡を継いで、母親と姉と協力しながら先祖代々の畑を守っているという息子の樽川和也さんのことを伝えていました。

昨夜のNHKの「ドキュメント72時間」では、村の人たちの多くが避難生活を送っている福島の飯舘村の村長選挙の様子を伝えていました。

日本テレビの「ザ!鉄腕!DASH!!」の「DASH村」も福島にあったため、福島の原発事故の影響でなくなってしまいましたが、TOKIOのメンバーに農業を教えていた、2014年に84歳で亡くなった三瓶明雄さんも、もしかしたら、福島の原発事故がなかったなら、まだお元気だったかもしれません。

また、世の中には「東京オリンピック」を楽しみにしている方たちがたくさんいるようなのですが、私はまだ、2020年に開催予定の「東京オリンピック」を開催しなくていいようにも思えているので、今更の「復興五輪」というテーマも、本当にそれが「復興」につながるのだろうかと、私にはよく分からないように思えています。

昨日の東京都知事の小池百合子さんの記者会見の報道を見ていて、ボートの競技場が宮城県の「長沼ボート場」ではなくなるかもしれないということについてはそうかもしれないなと思えたのですが、当初の予定通りに「海の森水上競技場」になるのだとしたなら、本当に嫌だなと思いました。「海の森水上競技場」を作ると「負の遺産」になるように思えますし、「復興五輪」なる考え方に囚われずに、ボートの選手の方たちが推していた埼玉県の「彩湖」にしたほうが良いように思えます(あるいは、どうしても「海の森水上競技場」を作りたいのなら、建設費も大会後の維持費も大会組織委員の森会長やIOCのバッハ会長の私費を使うようにすればいいのにとも思ってしまいます)。

「五年目のひとり」のドラマの中の木崎さんは、亜美さんと別れた後、一人で故郷の福島に戻り、牛たちを診る獣医の仕事に復帰していました。福島の方がこのドラマを見てどのように思ったのかということも、私には分からないことなのですが、福島から避難してきた子供が同級生たちからいじめられているのを学校側も(他の同級生たちも、その家族も、でしょうか)見て見ぬふりをしていたという、先日報道されていた横浜の事件のような出来事のことも、いつかこのようなドラマとして描かれたほうがいいように思いました。
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