「ブレイブ 勇敢なる者 『えん罪弁護士』」

昨夜、NHKの「ブレイブ 勇敢なる者 『えん罪弁護士』」という番組を見ました。

「“勇気”をもって世界を変えた、知られざる日本人の姿に迫る」というテーマのドキュメンタリー番組だったようで、番組が取材をしていたのは、「旬報法律事務所」という法律事務所に所属する53歳の弁護士の今村核さんという方でした。

「有罪率99.9%」と言われる日本の刑事裁判で「無罪」を勝ち取るのはとても大変なことだということは私も聞いたことはありますが、無罪を1件取ることができるだけでもすごいという中、今村さんの年齢で14件の無罪を勝ち取ったというのは、他に類例のない驚異的なことなのだそうです。そのため、今村さんは弁護士仲間から頼りにされて、冤罪の人の弁護を依頼されるのだそうです。

今村さんの亡くなった父親の武彦さんは、大手の会社の副社長だった方なのだそうですが、元軍人の厳しい人で、今村さんの若い頃には、大企業中心の考え方をしていて、弱者に対する視線がなかったのだそうです。今村さんは、社会的に弱い立場に置かれている人のためになる仕事をしようと考えて、26歳の時に司法試験に合格して弁護士になったのだそうです。しかし、実際の刑事裁判を見てみると、無罪になる裁判はない状況で、今村さんは、「有罪率99.9%」の壁を破ってその状況を変えようとしたということでした。

弁護士仲間たちから、偏屈でいつも怒っているかムッとしていると言われていた今村さんは、自分自身が孤独で誤解されやすい人間だから、そのような人たちの気持ちが分かるのかもしれないと話していました。今村さんのお母さまも出演していて、宙子さんというとても優しそうな方だったのですが、そのお母さまから見ても今村さんは少し不器用な性格の人であるようでした。

今村さんが担当した「冤罪事件」は、世間ではあまり知られていない事件が多いそうで、番組で紹介されていた案件は、火事になったすし屋の店主が警察に保険金目当ての放火を疑われた事件と、バスに乗っていた中学校の教諭が前にいた女子生徒への痴漢を疑われた事件でした。

放火をしたとして逮捕されたすし店の店主は、自分が認めなければ妻が逮捕されるのではないかと思い込んでやっていない罪を認める「自白」をしてしまい、その後担当の今村さんが、あなたがやっていないと言っても妻は逮捕されないと説得して、ようやくその翌日から「やっていない」と言うことができるようになったのだそうです。

中学教諭は、28日間拘留されても一貫して無罪を主張していたそうなのですが、長く拘留されていると多くの人は耐えきれずに嘘の「自白」をしてしまうのだそうです。

今村さんは、被疑者を有罪とする「検察側の鑑定書」の間違いや矛盾点などを証明するため、募金などでお金を集めて、2階の床下の梁の燃え方を実験で検証したり、バスに搭載されていた車載カメラの荒い画像を分析したりして「弁護側の鑑定書」を作って用意し、検察が「有罪」としている人物が「無罪」(無実?)であることを裁判で訴えていました。

「冤罪事件」の裁判には何年もかかり、その間、今村さんは他の何件の民事裁判を犠牲にしなければならなくなるそうです。それでも今村さんは、大変な「冤罪弁護士」を20年も続けているそうなのですが、「冤罪弁護士」は「ビジネスモデル」としては成り立たないということで、「冤罪弁護士」一色にされると他の依頼が来なくなって困るとも話していました。“貧乏弁護士”だという今村さんは、都内のきれいなマンションの部屋に一人で暮らしていたのですが、その部屋は父親の武彦さんの遺産で買ったものなのだそうです。

最後、今村さんはお母さまと一緒に父親の武彦さんのお墓参りに行っていました。若い頃の今村さんが反発していたという父親の武彦さんはその昔に司法試験に合格していたことがあったようで、会社を定年退職した後、弁護士に転身していたのだそうです。今村さんは知らずに父親と同じ道を歩いていたようでした。武彦さんは、定年退職後に別の会社に「天下る」ことを潔しとしなかったそうです。自分を計算に入れずに物事の良いほうを選択するという習慣もあったそうで、お母さまの宙子さんは、あなたはお父さんの良いところをたくさん受け継いでいるのよと嬉しそうに話していました。

「冤罪弁護士」の仕事について、今村さんは、私にとっては生きることそのものになってしまった、と話していました。

番組を見ていて、弁護士の今村核さんはすごい人なのだなと、単純に思いました。確かに、勇敢な方だと思います。でも、今村さんが勇敢で立派だということは、その反対に、「冤罪」を生み出してしまう警察や検察や裁判所の捜査や判決は酷いということでもあるように思いました。

少なくとも、今回の番組で紹介されていた例のように、消防署が火元は1階だと言っているのに被疑者を有罪にするために2階を火元としたり、原告の女子生徒も被疑者の左手はつり革を掴んでいたと証言しているのに左手で触ることもできなくはないという判決を出したりしていたのは、酷いなと思いました。

大企業や権力者の都合のための悪徳弁護士?がお金持ちの弁護士になって、弱い立場の市民のための正しい弁護士が貧乏弁護士になるというのも、少しおかしいような気がしました。

今村さんは14件の事件の冤罪被害者やその家族を救ったということになるのだと思うのですが、中には、冤罪ということで依頼をされて調べていたら冤罪ではないことが分かったというようなこともあるのでしょうか。番組では言われていなかったので(あるいは私が聞き逃してしまっただけなのかもしれませんが)、どうなのかなと少し気になりました。

昨夜の「冤罪弁護士」の今村核さんの特集を見て、「有罪率99.9%」の状況の中で科学的な事実を積み上げて「無罪」を勝ち取ることや、労力を惜しまずに無罪と思われる人のために奔走する生き方はすごいということを改めて思いました。見ることができて良かったです。
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Author:カンナ
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