「古舘トーキングヒストリー」の「忠臣蔵」

昨夜、テレビ朝日の「古舘トーキングヒストリー ~忠臣蔵、吉良邸討ち入り完全実況~」を見ました。

年末特別企画の番組で、フリーアナウンサーの古舘伊知郎さんが「忠臣蔵」の、切腹させられた主君・浅野内匠頭の仇討ちのために大石内蔵助率いる赤穂藩の四十七士が元禄15年12月14日の夜(15日の未明)に吉良邸に討ち入りをして吉良上野介を討ち取るという場面を実況解説するという、歴史バラエティー番組でした。

雪の泉岳寺の門が再現されたスタジオには、解説をする古舘さんの他、伊集院光さん、名取裕子さん、歴史学者の磯田道史さん、秋元真夏さんがいました。

NHKのBSプレミアムのドラマ「漱石悶々 夏目漱石最後の恋 京都祇園の二十九日間」を見た後に見たので、最初の10分ほどは録画をしておいたものを後で見たのですが、歴史資料に基づいて再現されたという昨夜の「忠臣蔵」は、とても面白かったです。

赤穂藩の国家老の大石内蔵助(良雄)は緒形直人さん、江戸城の「松之大廊下」で浅野内匠頭に斬りつけられた吉良上野介は西村雅彦さん、原惣右衛門は笹野高史さん、堀部安兵衛は安居剣一郎さん、寺坂吉右衛門は竹財輝之助さん、そして、台所の倉庫に隠れていた吉良上野介を槍で討った間十次郎は崎本大海さんが、それぞれ演じていました。

「年末の風物詩」とよく言われている「忠臣蔵」ですが、私は今まで「忠臣蔵」の物語をあまり好きではありませんでした。浅野内匠頭がなぜ吉良上野介を斬りつけたのかの理由も不明ですし、そもそも吉良上野介が本当に悪人なのかどうかも、仇討ちだからといって高齢の吉良上野介をその邸宅に夜討をかけて四十七人で殺害したということが本当に卑怯ではない手法なのか、四十七士が本当に義士なのかどうかも、私にはいまいちよく分からないように思えていたからです。

でも、昨夜の古舘さんと磯田さん(大石内蔵助は遠い親戚でもあるそうです)の解説付きの「忠臣蔵」の再現ドラマを見ていて、2年間仇討ちのための策を講じて実行に移した大石内蔵助が「名将」だったということは、私にもよく分かりました。

東映の協力で作られたというセットもリアルでしたし、「赤穂事件」を歌舞伎にした「仮名手本忠臣蔵」の物語の流れから来ているというこれまでのよくある「忠臣蔵」の時代劇の展開との比較もあって、分かりやすく思えました。

自分たちの武器を室内用に改造したり、吉良邸の足軽たちの寝泊まりしていた長屋の戸を金具で打ち付けて開かないようにしたり、吉良家の武器を壊したり、そうすれば今で言うところの「アルバイト」の足軽の人たちが吉良家のために命懸けで戦うために出てくる必要がなくなるということだったり、吉良上野介の部屋に自分たちが入ったことを示す書状を世間へのアピールのために残したり、というような、そのような部分の解説も面白く思えました。なるほどなと思いましたし、大石内蔵助の作戦勝ちだったのだなと思いました。

ただ、今回のドラマでも、浅野家の「主君の仇」となった吉良上野介(義央)が、文化人ということ以外に実際はどのような人物だったのかということは、特に描かれていなかったような気がします。これまでと似たような性格の吉良上野介さんでした。上杉家の方や、吉良家の方は、「忠臣蔵」で吉良上野介がいつも悪役になっていることをどのように思っているのでしょうか。あまり気にはしていないのでしょうか。(「清水次郎長」の話もそうです。どうして黒駒勝蔵さんはいつも悪役なのかなと、少し奇妙に思います。)

歴史学者の磯田さんは、当時の人たちにとっては亡くなった人の命令を守らないことは今の育児放棄と同じくらいに人道的に悪いことだったというようなことを話していました。それを聞いて、ああそうなのかと少し分かるような気がしたのですが、そのようなこと(死者の思いを重要視すること)はもしかしたら、今でも日本人の中にも残っているのかもしれないなと思いました。

番組では、「忠臣蔵」の基になった赤穂事件が集団による襲撃事件であるということも伝えられていました。江戸の元禄時代の「忠臣蔵」の話は、明治時代に再びもてはやされるようになったということなのですが、後の時代の、1932年(昭和7年)に大日本帝国海軍の青年将校たちが首相官邸や内大臣官邸を襲撃して内閣総理大臣の犬養毅を殺害した「五・一五事件」や、1936年(昭和11年)に大日本帝国陸軍の皇道派の青年将校たちが鈴木貫太郎侍従長に重傷を負わせたり大蔵大臣の高橋是清を殺害したりした「二・二六事件」などにも、つながっていったのかなとも思いました。

先日のNHKの「歴史秘話ヒストリア」でも「忠臣蔵」が扱われていて、「マイベスト内蔵助 忠臣蔵ラバーズ」なる謎のサブタイトルが付いていましたが(「ヒストリア」のサブタイトルは軽い印象のものが多いです)、それは「忠臣蔵」を最初から絶賛する内容の番組だったので、「忠臣蔵」は「勧善懲悪」の物語ではなく、複雑な人間関係の下に起きた襲撃事件でもあるという内容があった点でも、今回の特別番組とは大分異なっていたように思いました。

それにしても、テレビ朝日と東映京都撮影所が力を入れて作ったドラマだったようですし、とても面白かったので、実況解説なしの普通の大型時代劇としても、今回の番組の再現ドラマの「忠臣蔵」を見てみたいように思いました。私も今までよりはもう少し、「忠臣蔵」の話を好きになることができたような気がします。そして、いつかまた放送されることがあるかもしれない「忠臣蔵」では、史実がもっと活かされているといいなと思いました。その時には吉良家の側から見た部分も描かれるといいなと思います。
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