「山女日記~女たちは頂きを目指して~」最終回

NHKの「プレミアムドラマ」の「山女日記~女たちは頂きを目指して~」の最終回(第7回)を見ました。

最終回は、登山ガイドの仕事をしながら帽子作りの仕事も順調に始めていた立花柚月(工藤夕貴さん)が、元恋人の吉田真守(萩原聖人さん)との思い出の地の涸沢で過去と向き合い、自分自身を見つめ直す話でした。

ロッジ「KISARAGI」のオーナーで元登山家の如月直子(かたせ梨乃さん)は、山岳ガイドの木嶋岳志(黄川田将也さん)が見つけた夫の壊れた腕時計を目の当たりにして、夫の死を受け入れることにしたようでした。夫を偲ぶ会をロッジで明るく開いた如月さんは、信州山案内人組合長の座を辞すると挨拶して、後継者として木嶋さんを指名していました。

自分の進む道に再び迷い始めていた柚月さんは、如月さんに相談し、涸沢に行く決意をしました。木嶋さんの妹の木嶋陽菜(夏菜さん)の合コンの誘いを断って出かけた柚月さんは、上高地を歩いている途中、登山に来た木嶋さんと陽菜さんとそうぐうしました。二人は柚月さんを心配して来たようでした。

思いがけず木嶋さんと陽菜さんと合流した柚月さんは、3人で歩きながら、二人から自由な登山ガイドの母親の話を聞いていました。木嶋さんは、母親が自分たちを置いて海外の山に行っていることを気にしていたのですが、妹の陽菜さんは、自分の好きなことを優先して生きている母親を肯定的に受け止めていました。

しばらくして、穂高岳の涸沢カールに到着しました。紅葉がきれいでした。陽菜さんは、柚月さんの帽子の柄が涸沢カールをイメージしていることに気付きました。

柚月さんたちはそれぞれ個人用のテントを張り、その中で休んでいたのですが、そこで柚月さんは、吉田さんとのことを思い出していました。建設会社に勤務して国内の山に砂防ダムを造っていた吉田さんの大きな夢というのは、JICA(国際協力機構)の一員になって開発途上国などで砂防ダムを造る仕事をするというものでした。

自由な心を持つことの大切さを母親に教えられて育ったという吉田さんは、母親の好きだった涸沢カールに柚月さんを連れて来たのでした。吉田さんの夢を聞いた柚月さんは、自分も会社を辞めて登山ガイドになると決意し、勉強をして試験を受け始めたのですが、その間、JICAの試験に合格していたはずの吉田さんとは連絡が取れなくなっていました。

砂防ダムの建設現場まで出かけて吉田さんに会いに行った柚月さんは、海外へ行くのを延ばすことにしたという吉田さんにその理由を訊いたのですが、吉田さんが海外へ行くことができなくなったのには、母親の存在がありました。自立心の強い自由を愛する母親は、10年間一人暮らしをしている間に変わっていたようでした。部屋にはごみが散乱していて、久しぶりに東京から戻って来て今度は海外へ行くという息子を手放そうとしないということでした。

吉田さんは、母は孤独に負けたのだと柚月さんに話し、お母さんの面倒は私が見るからと言って海外へ行くことを勧める柚月さんを、そういうことではないと少し突き放すようにして、建設現場に戻って行きました。

もうすっかり暗い夕方6時のテントの中で少し泣いていた柚月さんは、木嶋さんが持ってきた陽菜さんのポトフを木嶋さんと一緒に食べながら、木嶋さんにとって山とは何かと尋ねました。木嶋さんは、少し考えて、足の置き場を見つけることかな、と答えました。同じ山に何度も登っているうちにその山を登る時の足の置き場が決まって来るのだと話していました。

早朝の涸沢カールは、明るい濃いレンガ色のような朝焼けに染まっていました。その色が少しずつ薄くなって、朝になっていました。下山の支度をした柚月さんたちが山荘のベンチに座っていると、木嶋さんが後ろのテーブルの男性から新聞を譲られました。それは3日前の新聞だったのですが、それを何気なく見た柚月さんは、はっとしました。そこには、震災のあったネパールで国際協力機構の一員として防砂ダムを造っている吉田さんの姿があったのでした。吉田さんは、柚月さんには連絡しなかったものの、ちゃんと自分の夢を叶えていたのでした。

柚月さんは幸せな気持ちで木嶋兄妹と涸沢を下り始めました。途中、白馬岳の登山に来ていた“雨女”の宮川希美(佐藤めぐみさん)と出会いました。希美さんは、山を好きになったようで、一人で山に来ていて、本格的にワインの勉強を始めたいということを柚月さんたちに話していました。離婚の危機にあった姉の天野美幸(井上晴美さん)も、今頃夫と娘と山に登っているだろうということでした。

柚月さんは、また山で会いましょうと、明るく言って希美さんと別れていました。

脚本は吉川次郎さん、演出は水谷俊之さんでした。

第4話までしか感想を書くことはできなかったのですが、第5回も第6回も見ていました。最終回も、良かったです。

柚月さんの吉田さんとの過去の話がなかなか重かったことが少し意外だったのですが、最後はさわやかな終わり方でした。

「登山のすすめ」という側面もあったのだと思うのですが、美しい山の風景のドラマを見ていて、私も一緒に山を歩いているような気分になって、そのようなところも楽しかったのだと思います。

足の置き場を見つける、という木嶋さんの言葉を聞いて、なるほどなと思いました。私はまだ足の置き場を探しながら歩いているということなのだろうなと思いました。

山へ行けば自分と向き合うことができて、そうすれば何かが見つかるかもしれない、というドラマのメッセージも良かったように思います。勇気を出して再び吉田さんとの思い出の涸沢カールへ行った柚月さんは、そこで吉田さんの夢を叶えて元気に暮らしている今を知ることができました。

工藤夕貴さんの演じる登山ガイドの柚月さんも良かったですし、黄川田将也さんの演じる年下の山岳ガイドの木嶋さんと夏菜さんの演じるしっかり者のクライマーの陽菜さんとの適度な距離感のある友情も、良かったです。

あと、ドラマの中のことですが、孤独に耐えきれなくなっていたという吉田さんの母親は、その後どうしていたのでしょうか。その部分も特に描かれてはいなかったのですが、吉田さんが海外へ行っている今も母親が生きているのだとするのなら、例えば、吉田さんが戻ってきた直後にはまだ寂しさがあっても、しばらく息子が帰ってきているうちに少しずつ昔の自由な心を取り戻すことができて、納得して息子を海外へ送り出すことができたということなのかもしれないなと、勝手に思ってみました。

原作は湊かなえさんの小説『山女日記』だそうですが、映画化やドラマ化がされている湊かなえさんのミステリー作品の印象とは全く異なっていて、その本を未読の私が何かを言うことはできないかもしれないとも思うのですが、今回の「山女日記」のドラマは、何作か見たことのある湊かなえさんのミステリーの映像化作品よりも、良かったです。

人生に悩んでいる人々を淡々と受け入れるような、山や川の風景もきれいでしたし、さっぱりと清々しい雰囲気の登山ドラマでした。
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