ドラマ「ラジカセ」

NHKのBSプレミアムで放送されていたドラマ「ラジカセ」を見ました。NHK津放送局制作の三重発地域ドラマです。

予告編や宣伝番組などを見ていなかったため、内容を知らずに「ラジカセ」というタイトルを良さそうに思って見始めたのですが、とても面白かったです。

夏の三重県の伊賀市を舞台にした話で、伊賀忍者のモチーフなどもいろいろ登場していたのですが、ドラマは、5年前に会社を辞めて戻って来てからごみ屋敷に住んでいると思われている、昭和家電収集家で古い家電のこと以外は自分の思っていることを上手く話すことができない有山正人(滝藤賢一さん)と、「まき・しょういち」と子供の字で書かれた両親の古いカセットテープを聴くために有山さんの倉庫に侵入した、夜の仕事をしている母親の高石まき(安藤玉恵さん)と二人暮らしの生活の中で寂しさを感じている小学生の高石将太(向鈴鳥さん)の交流と成長を描いた物語でした。

いきつけの“ガールズバー”の「くのいち」のママの河島聖子(キムラ緑子さん)以外の人とは話をするのが苦手で、思っていることを言い淀むとくしゃみが出てしまう昭和家電オタクの有山さんは、絡んでくる小学生の将太さんに最初は困惑して迷惑がっていたのですが、将太さんが落としていったカセットテープの入ったケースを返して追い返そうとしたある日、将太さんと父親が川へ釣りに出かけた時の写真の中に珍しい真空管ラジオを見つけて興味を持ち、ラジオを借りて来てほしいと将太さんに頼みました。

将太さんは、アパートの1階の部屋の押し入れの中から父親の思い出のラジオを出して母親に見せたのですが、交際相手と再婚するため二人で大阪へ引っ越す予定の母親は家を出て行った元夫のものを捨てるよう言うだけでした。将太さんは、ラジオを有山さんの倉庫へ持って行き、ラジオを見た有山さんは感激していました。ダイヤルを回しながらアナログで電波を探すタイプのラジオを有山さんに教えられて将太さんは初めて使ったようでした。

将太さんに頼まれ有山さんが「まき・しょういち」のカセットテープをラジカセのカセットデッキに入れて再生ボタンを押すと、小学生の頃の両親の声が流れてきました。同級生の二人が将来の夢を語るというもので、将一さんと結婚するのが夢だと言うまきさんは、子供が生まれたら毎日子供にかわいい、かわいいと言いますと話していたのですが、そこまで聴いた将太さんは途中で停止ボタンを押し、カセットを止めました。

有山さんの勧めで、将太さんは昼頃に帰ってきた母親にその母親の小学生の頃のカセットの声を聴かせようとしたのですが、母親は当時のことを幸せそうに思い出すどころか、激怒してしまいました。まきさんにとっては、それは思い出したくない辛いものとなっていたのでした。まきさんは、再婚を考えていた相手に振られたのを、息子の将太さんに当たって、あんたさえいなければ、と突き放してしまいました。

ラジカセを返しに来たまきさんと将太さんが帰った後、まきさんが蹴飛ばした扇風機を直して将太さんの父親のラジオを見ていた有山さんは、あることを思い付き、新しいカセットテープを出しました。有山さんは、将太さんへのメッセージをテープに吹き込むことにしたのでした。有山さんがラジカセの向こうの将太さんに向かって、この世界にはいらないものなど一つもないのだと話しました。

翌日、ラジカセとそのカセットテープを将太さんの部屋のドアの前に置きに行った有山さんが倉庫にいると、母親のまきさんが、将太がいない、将太をどこに隠したのかとすごい剣幕で駆け込んできました。有山さんは、慌てて車で将太さんを探しに行き、将太さんが父親と釣りをした名張川の橋の上に座っているのを見つけて駆け寄りました。将太さんは、ラジカセを抱えていました。将太さんの隣に座った有山さんは、少しずつ距離を縮めて、将太さんを抱きしめ、いらないものなんてないというのは本当かと訊く将太さんに、自分はダメな人間だけれど嘘吐きじゃない、そのことを証明すると言って、将太さんにある提案をしました。

アパートでは、母親が息子の行方を探して知り合いに電話をかけていました。有山さんと帰宅した将太さんは、母親にラジカセの「まき・しょういち」のテープを再び聴かせ、苛立つ母親はまだ続きがあると言う有山さんを突き飛ばしてカセットを止めようとしたのですが、将太さんがラジカセを保護しました。そのカセットの2面には、将太さんの今の思いが録音されていました。お母さんを笑顔にしていますかと、将太さんが自分自身に宛てたメッセージでもあったのですが、その将太さんの声を聴いた母親のまきさんは、こんなことを子供に言わせてしまうなんてと、母親として将太さんを抱きしめていました。

有山さんは、5年前に会社をクビになって実家に戻ってきた後母親も亡くなって一人になったということなのですが、その時、自分の父親が息子の声を録音するために買ってきたラジカセを見つけ、そのテープの声を聴いて、随分楽しそうな声の自分がいたことに気付いたようでした。いらないように見えるものにも実はたくさんの思いが詰まっているのだと、古い家電の魅力に気付き、それから昭和家電収集を始めたということでした。

有山さんの自宅は、観光客が通る道沿いにあったので、近所の人たちからは片付けてほしいと言われていたのですが、将太さんとの交流の中で、自分の思いを言葉で伝えることができるようになり、元気になった有山さんは、自宅に夢だった「昭和家電ミュージアム」を開くことができました。涼し気な夏の着物姿の河島さんが、ミュージアムを軽やかに訪ねて来て、一言褒めて去って行きました。

脚本は大野敏哉さん、音楽は渡邊崇さん、演出は桑野智宏さんでした。

「ラジカセ」のタイトルが出るオープニングの、有山さんが車のカセットデッキに入れたテープで聴いていた井上陽水さんの「夢の中へ」も楽しそうで良かったですし、その時の空撮の、有山さん一人を乗せた車が橋の上を走る風景が、エンディングでは、有山さんと将太さんを乗せて走る風景になっていたところも良かったです。「昭和レトロ」の家電はデザインがかわいいですし、将太さんも、いつかは有山さんのような昭和家電オタクになるのかもしれないなと思いました。

将太さんも孤独でしたが、有山さんも孤独で、ラジカセを通して出会った二人は、何かの理由で家族を捨てて家を出て行った将太さんの父親が残したラジオを聴く時のように、少しずつ周波数を合わせていったのかもしれません。

「かたやきせんべい」は、伊賀名物なのだそうです。有山さんが引き取った、かたやきせんべい屋さんの亡くなった奥さんの魂が宿っていた?昭和32年の扇風機に映画で使いたいという依頼が来た時、有山さんに話しかけられた扇風機の羽が電気が入っていないのに回って返事をしたように見えたのを、有山さんと将太さんが感動していた場面も楽しそうで良かったです。

私も中学生の頃に初めて買ってもらったCDダブルラジカセがまだ家にあります(平成時代のものです)。でも、カセットデッキの走行系が少し壊れてしまったようで、何年か前には、カセットテープを入れて再生を押すとテープがよれてちりちりになってしまうという恐るべき事故が頻繁に起こるようになり、CDとラジオの部分には問題はないのですが、使うのを断念しました。他には、小学生の頃に初めて買ってもらったカセットが一つ入るタイプの録音機能のついたラジカセなどもあります。アナログ時代の小型のテレビもあります。昭和時代の扇風機もまだ押し入れに入っています。それほど古いものではないですし、(ドラマの有山さんが集めているような)貴重な品というわけではないだろうと思いますが、私も家電は好きなほうなので、完全には壊れていないということもあり、日常生活の中で使わないものでもそのまま取ってあります。片付けたく思う時もあるのですが、草花の鉢と同じくらい、「断捨離」的に捨てることは今のところはできていません。

ともかく、昨夜のドラマ「ラジカセ」は、面白くて、優しくて、とても良いドラマでした。脚本も良かったのだと思うのですが、音楽も良かったですし、映像も良かったです。有山さんと将太さんとまきさんが救われていく物語としても良かったですし、古くて懐かしい品物が現代でも大切にされて生き続けているという感じも感動的に思えたのかもしれません。最後まで楽しい気持ちで見ることができました。


ところで、これはドラマとは全く関係のないことなのですが、このドラマと放送時間が重なっていたので一応録画をしておいた昨夜の「報道ステーション」によると、南スーダンの治安が悪化する中、集団虐殺(ジェノサイド)の危険性もあることから、国連安全保障理事会は南スーダンへの政府と反政府勢力への武器の輸出禁止などの決議案を提案し、アメリカやイギリスやフランスなどは賛成していて、ロシアや中国は拒否権を行使しないとしているそうなのですが、日本はその決議案に慎重な態度を取り続けていて、その武器禁輸の決議案の採択の際、日本は反対か棄権をするかもしれないということでした。その決議案は、全15理事国のうち9か国以上が賛成をし、常任理事国のアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアが拒否権を使わない場合に採択されるのだそうです。

日本政府が慎重にしているのは、南スーダン政府が武器禁輸に反対しているから、ということを理由にしているそうなのですが、今の日本政府(安倍政権)は安全保障関連法を改定して自衛隊の方に武器の使用を認めた「駆け付け警護」なる新任務を付与し、南スーダンにPKO(国連平和維持活動)の部隊として派遣したばかりですし、もしもなのですが、南スーダンで起きている戦闘を「衝突」と言い換える日本政府が現地での自衛隊の活躍とその実績を期待するために武器禁輸に反対するのだとしたなら、怖いことだなと思いました。ジェノサイドが起きそうな気配があるという南スーダンの国内に武器を増やさないということについて、アメリカ政府に言われたから賛成するとか反対するとかではないことだとは思いますが、日本政府独自の判断の結果が反対か棄権なら、それもまた謎であるような気がします。
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