「シリーズ江戸川乱歩短編集Ⅱ 妖しい愛の物語」(全3回)

NHKのBSプレミアムのドラマ「シリーズ江戸川乱歩短編集Ⅱ 妖しい愛の物語」を見ました。

先日の月曜日の夜11時15分から3夜連続で放送された約30分のドラマで、今年の1月に放送された「シリーズ・江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎」(「D坂の殺人事件」、「心理試験」、「屋根裏の散歩者」)の第2弾です。前作と同じく、今作でも名探偵・明智小五郎を演じていたのは女優の満島ひかりさんでした。

私も江戸川乱歩の作品を好きなので、続編が放送されると知って、今度はどのような感じになっているのだろうと、少し心配をしつつも見るのを楽しみにしていました。

乱歩の初期の短編小説を「ほぼ原作通りに映像化」したドラマは今作も全3回で、第1回は、「何者」(1929年)でした。軍人の父親と許嫁の志摩子(真野絵里菜さん)と下男の常爺さん(麿赤兒さん)と暮らしている小説家の結城弘一(若葉竜也さん)が父親の書斎にいたある夜何者かの銃撃を受けるという事件が発生し、その現場に居合わせた逗留中の私(平井“ファラオ”光さん)が事件を嗅ぎ回る謎の赤井さんと出会う、という話です。演出は佐藤佐吉さんでした。

物語はそのままなので面白いのですが、事件の真相を探るために赤井と名乗っていた明智さんへの演出が少し「奇抜」であるのは、明智さんを得体の知れない不思議な人物と見せるためのものだとするなら、私には、何というか、少し逆効果でもあるように思えました。語りの「私」の髭とセーラー服の装いや、イモトアヤコさんのような眉の志摩子さんの外見なども、少し気になってしまいました。そのような演出は、出演者やスタッフの方の”遊び”なのだろうとも思うのですが、文章のみの小説が「映像化」されることの難しさでもあるのかもしれないなと思います。当然のことなのかもしれないのですが、文章のみの場合よりも、より「好み」が分かれるような気がします。

第2回の「黒手組」(1925年)は、伯父(つのだ☆ひろさん)の娘の富美子(仁村紗和さん)が新聞紙面を賑わせている「黒手組」と呼ばれる犯罪組織に誘拐され、指示通りに身代金を支払ったのに戻って来ないという事件のことを知った語りの私(田中圭さん)が友人の明智小五郎に捜査を依頼し、毎朝郵便受けから書生の牧田(矢部太郎さん)が伯母(ミッツ・マングローブさん)に渡していた中の富美子さん宛の葉書の文面を読んだ明智さんがその翌日から姿を消す、という話です。演出は関和亮さんでした。

映像も、音楽も、良かったように思います。「黒手組」の解説の場面でマリオネットの人形が使われていたのも良かったですし、1925年には存在しないものだと思いますが、スクリーンに文字を写したり、ラジカセで明智さんの音声を流したりしていたのも良かったように思います。

明智さんの雰囲気も良かったと思います。ただ、これはこれまでの場合でもそうなのですが、明智さんの台詞が満島ひかりさんには何か合わないというか、話し方が難しいのかなという風にも、私には少し思えてしまいました。あるいは、あえて棒読み風に話していたのでしょうか。

白い羽が舞っているのが夢のようでしたし、最後、満島さん演じる明智さんが帽子を羽の舞う中に振り回した笑い声で終わっていたのも、何だが良かったです。

全体的には良かったのですが、冒頭の、田中圭さん演じる「私」の語りの中の、「それは私が明智と知合いになってから一年ほどたったじぶんの出来事なのですが」(字幕のままです)の「じぶん」は、「自分」ではなく「時分」なのではないかなと思います。「私」の語りを聞いていた時、その言葉のアクセントに少し違和感がありました。

昨夜の第3回は、「人間椅子」(1925年)でした。書斎の肘掛け椅子を愛用する小説家の佳子(満島ひかりさん)のもとにある日奇怪な告白が記された原稿が届く、という話です。手紙の朗読は中村靖日さんでした。演出は渋江修平さんでした。

椅子の内側から感じたものを表す場面の演出は、何となく、テレビ朝日の「タモリ倶楽部」のオープニングの映像のようにも見えました。

1月の放送のものは、名探偵・明智小五郎が登場する短編作品に限られていたのですが、今回は「妖しい愛の物語」ということで、明智小五郎の登場しない「人間椅子」も含まれていました。でも、乱歩の作品には、意外と「愛」や「恋」(一種の不思議な恋ですが)の要素は多いのかもしれないですし、「妖しい愛の物語」という今回のサブタイトルはむしろ幅広いものでもあるように思いました。

でも、ともかく、「シリーズ・江戸川乱歩短編集 1925年の明智小五郎」の続編の今回の「シリーズ江戸川乱歩短編集Ⅱ 妖しい愛の物語」も、全3作をそれなりに楽しく見ることができたので、良かったです。乱歩の作品は面白いということを、また改めて思いました。
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