ドラマ「愛を乞うひと」

日本テレビのスペシャルドラマ「愛を乞うひと」を見ました。録画をしておいたものです。

「愛を乞うひと」という題名を聞いたことはあったのですが、内容はよく知りませんでした。原作は、私は未読なのですが、下田治美さんの小説『愛を乞うひと』で、1998年には映画化もされていたそうです。

ドラマでは、主人公の45歳の山岡照恵さんと娘の照恵さん(鈴木梨央さん)を虐待し続けていた母親の豊子さんの二役を篠原涼子さんが演じていました。

夫の山岡裕司(平山浩行さん)と死別して母子家庭で高校生の深草(みぐさ、広瀬アリスさん)を育てながら穏やかに暮らしていた豊子さんは、ある日、義弟の和知武則(ムロツヨシさん)が詐欺罪で逮捕されたと警察から連絡を受けて、深草さんに自身の過去の家庭環境を打ち明けることになり、事情を理解した深草さんの提案で、優しかったけれど照恵さんが小さい頃に心臓病で亡くなってしまった父親の陳文英(上川隆也さん)の遺骨を探そうと、昭和20年代まで上野で暮らしていた許育徳(杉本哲太さん)と妻のはつ(木村多江さん)に会うために、深草さんと二人で台湾の嘉義(カーギー)という場所の茶畑を訪ね歩き、再会した許夫妻から、母親の豊子さんが自分を生んだ頃のことを教えてもらうのでした。

脚本は後藤法子さん、演出は谷口正晃さんでした。音楽は林祐介さん、エンディングに流れていた主題歌は中島美嘉さんの「Alone」という曲でした。

照恵さんは、妻の子供への虐待を見かねた父親と二人で母親を残して家を出て行き、その後は父親の友人の雑貨店を営む許夫妻とも暮らしていたようなのですが、父親が病死し、生活が楽ではなかった許夫妻も台湾へ帰ることになり、照恵さんは日本の養護施設に入ったようでした。そして、数年後、10歳になった照恵さんは、夜の仕事をしている派手な服装の母親に、炊事くらいできるだろうという理由で二番目の夫の中島武人(寺島進さん)と長男の武則のいる家に引き取られ、豊子さんに殴られながら暮らしていくことになりました。

二番目の夫と別れた豊子さんは、今度は紙芝居屋の仕事をしている和知三郎(豊原功補さん)と再婚し、照恵さんと武則さんはしばらく4人で暮らしていたのですが、16歳で会社員になった照恵さんは、初めてのお給料を奪おうとする母親に耐えかねて、義弟の協力あって豊子さんの下を脱出し、会社の同僚の山岡さんと結婚したということでした。

鈴木梨央さんの演じる照恵さんが豊子さんに酷い虐待を受ける描写が続くドラマの前半は暗かったのですが、すぐに謝る癖が抜けない45歳の照恵さんが娘の深草さんの後押しで過去と向き合うことを決め、上野で氷屋さんのおばあさんに話を聞いたり、台湾へ出かけて親切な台湾の人(金田明夫さん)に許夫妻捜しを手伝ってもらう後半は、良かったように思います。

戦後夜の仕事をしていた豊子さんは、偶然出会った優しい文英さんと結婚して、照恵さんを生んだばかりの頃は、幸せそうにしていて、比較的安定していたようなのですが、愛されたことがないから子供の愛し方が分からないという理由で、時々照恵さんに手を上げるようになっていったようでした。豊子さんを知るはつさんは、豊子さんは寂しい人なのだと照恵さんと深草さんに話していました。

両親の過去を知ることができた照恵さんは、母親から酷い虐待を受けていた過去の苦しみを少し乗り越えることができたようで、生きていた母親の居場所を捜し出し、深草さんと港町のスナックで豊子さんと再会しました。「カンカン娘」の歌で気付いた豊子さんは、照恵さんが娘だと言う深草さんを見て、かわいいね、とだけ言い、お店を出ていく二人をそのまま見送っていました。

母親に愛されたかったと言う照恵さんに、深草さんが、かわいいねって言ったのはあれはお母さんに言ったんだよ、と言っていた母子の場面も良かったです。“普通の高校生”の深草さんの最後までまともな感じに救われたドラマだったという印象もありました。

愛された記憶がないという豊子さんの過去は、豊子さん自身が話していないので分かりませんでした。優しい人ではあったけれど妻の照恵さんへの虐待を止めることができなかった三番目の夫や、その人の名字のままだった義弟の武則さんが、照恵さんが豊子さんの前から姿を消した後、どのように生きていたのかというようなことも、そちら側からの視点では描かれていなかったので不明です。

照恵さんが母親の豊子さんから虐待されたという過去は、豊子さんの中では、母親との“思い出”に変えることができたのでしょうか。照恵さんは、複雑な気持ちではいたものの、豊子さんのことを恨んではいなかったようですし、深草さんへの「虐待の連鎖」と呼ばれるようなものも起きてはいませんでした。時間が解決するという部分はあるかもしれないとも思うのですが、他人(第三者)が親子間の「虐待」を裁くということは難しいことなのかもしれないということも改めて思いました。

このドラマの冒頭には「文部科学省選定」という字幕が出ていていたのですが、「文部科学省選定」というのは、「教育映像等審査制度」という制度によって選ばれた「教育上価値が高く、学校教育又は社会教育に広く利用されることが適当と認められるもの」に付けられるのだそうです。選定基準は分かりませんが、いわゆる「良い話」が選ばれる傾向ではあるのかもしれません。

母親から受け続けた虐待の辛い過去を娘と共に乗り越える「愛を乞うひと」のドラマが、“教育的価値の高い作品”であるかどうかは、私にはまだよく分からないのですが、でも、良いドラマだったのだと思います。
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