「嫌われる勇気」第2話

フジテレビのドラマ「嫌われる勇気」の第2話を見ました。

第2話の事件は、文具メーカーのビルの窓から役員の市川さんが転落死しているのが発見され、市川さんが転落した部屋の状況から警視庁捜査一課第8係の庵堂蘭子(香里奈さん)は自殺に見せかけた殺人だと推理したのですが、市川さんが転落した商品開発部の奥の部屋では一年ほど前に商品開発部の大村絵実華(大後寿々花さん)やヒット商品の「絶対に消えないペン」を担当した竹内純平(笠原秀幸さん)の同期の社員の前島成美という女性が手首を切って自殺をした場所でもあった、というものでした。

脚本は徳永友一さん、演出は池澤辰也さんでした。

今回は、新人刑事の青山年雄(加藤シゲアキさん)が帝都大学の犯罪心理学の教授の大文字哲人(椎名桔平さん)から、感情は目的のためにあるというアドラー心理学の「目的論」について教えられる場面から始まっていたのですが、上司の市川さんからのいわゆる「パワハラ」に苦しんで自殺をした前島さん、前島さんの苦しみを知りながら何もしなかった大村さん、交際していた前島さんの自殺直前に書いた血と「消えないペン」でのメッセージを隠した市川さんに“復讐”をした竹内さんの言動も、それぞれ「目的論」に当てはめられていきました。

「目的論」を青山さんに説明する大文字さんは、ひきこもりになっているある男性を例に出して、その男性が外に出ようとしないのは、学生時代にいじめられていたからではなく、それは言い訳の一つであり、本当は母親から常に注目される特別な存在として居続けるためだというような話をしていました。

私には、それは正しいかどうか分からないというか、ひきこもりにしても何にしても、ある状態になる人の事情や理由は人それぞれであるような気がしますし、「ひきこもり」になる原因が「いじめ」にあるのなら、「いじめ」に遭った人は全員「ひきこもり」になるはずだ、だからその人の「ひきこもり」の理由は過去の「いじめ」によるものではないのだ、という三段論法の説はかなり雑であるようにも思えるのですが、そのようなひきこもりの男性も、もしかしたらいるのかもしれないなとは思いました。

アルフレッド・アドラーの心理学の本を私はちゃんと読んだことがないので、はっきりとは分からないのですが、一瞬一瞬常に何かを選んで自ら決断をしている自分の生き方を深く見つめて責任を持つ、というようなことなのかなと、何となく思いました。

ドラマでは、14歳の頃、森で誘拐され、一週間後に解放されたという庵堂さんは、一週間後に登校したら自分の机の上に花が飾ってあったという話を青山さんにしていて、机の上の花瓶の花を見た14歳の庵堂さん(桜田ひよりさん)は、それを担任教師の机の上の花瓶に戻したということでした。常に前を向く自分を選んで生きている、と庵堂さんは青山さんに話していました。

同僚の前島さんを助けない社員たちの一人だった大村さんは、上司に嫌われたくないからという理由で何もしていませんでした。大村さんと交際をしていた竹内さんもそうであったのですが、それに加えて、1年前の前島さんの自殺理由を隠した市川さんが自分の担当したペンの自主回収の命令を出そうとしているということに腹を立てて、市川さんを殺害しました。

庵堂さんは、上司からのいじめに悩む前島さんを上司に嫌われたくないという理由で助けようとなかった大村さんや竹内さんのことを、変わらないという決断を下している、変わらない自分でいる方が楽だからだと説明し、市川さんを殺したのは前島さんを自殺に追い込んだからだと答える竹内さんを、殺人を美談にしようとするな、あなたはただの殺人犯だ、自分の開発したペンを自主回収しようとする上司の市川さんを殺したいという目的のために前島さんを殺した許せない男だという感情を利用したのだと突き放しました。

そして、大村さんや竹内さんと同じように、上司に嫌われたくない、ということのためにパワハラに耐え続け、耐えることにも限界が来てついに自殺をすることを選んだ前島さんについては、死ぬくらいなら嫌われれば良かったのです、と結論付けていました。

最後、刑事を続けることにした青山さんは、刑事に向いていないのではないかという問いを出してくれた?庵堂さんに感謝していたのですが、庵堂さんからは、それは私の課題ではありません、いちいち報告しないでくださいと言われていました。

第1話を見た時には、「自己啓発本」と呼ばれるジャンルの『嫌われる勇気』というベストセラーの本の要素を取り入れたこの刑事ドラマを、“自己啓発刑事ドラマ”のように思えていたのですが、第2話を見て、心理学と刑事ドラマが融合しているというか(刑事ドラマというほど刑事たちの活躍が描かれているというのとは少し違うかもしれないのですが)、被害者と加害者の感情を心理学的に描くドラマのようにも思えてきました。

「自己啓発」の側面もあるかもしれないのですが(アドラーの)心理学で考えられている説を、ドラマを見ている私も一緒に考えることができるような気がして、そのようなところを意外と面白く思います。刑事ドラマというよりは、心理学ドラマなのだと思います。

ただ、自殺を選んだ前島さんについて言った庵堂さんの言葉は、ドラマの台詞として聞くと、少し衝撃的でもありました。いじめに耐えかねて精神的に追い込まれて自殺をした人は、おそらく、自ら死ぬことよりも周囲の人たちに嫌われながら生きることのほうを苦に思ったのではないでしょうか。

せっかく生きているのにそのようなことで死ぬのはもったいない、という思いがあるからこそ、死ぬくらいなら嫌われれば良かったのに、という思いにもなり、そのような言葉が出てくるのだろうと思います。世間一般的には「自殺」はしてはいけないものと思われているようですし、自殺を選んだ本人も本当は死にたくはなかった(楽しく生きていたかった)のだとするなら、死ぬくらいなら嫌われれば良かったのにという意見も、それは正論なのだろうと思います。

その台詞は、「嫌われる勇気」というこのドラマのタイトルとも、つながっているような気がしました。でも、ドラマの庵堂さんがそのように正論を毅然と言い放つ場面を見ていて、ある種の正論は凶器にもなるのだということを、少し思いました。

今回のドラマで例に出されていた、目的を達成するための道具としての感情は“怒り”でしたが、「感情は目的のためにある(目的を果たすために作られる)」というそのアドラーの心理学の説が本当なら、例えば、身内や大切な存在の死に際して泣いている人の“悲しみ”の感情の“目的”とは、一体何なのでしょうか。


ところで、このドラマを見た後の時間の、TBSの「NEWS23」では、停戦合意中のシリアのダマスカスへ取材に行っていたキャスターの星浩さんが、シリアの停戦合意後の海外のメディアで初めてという、アサド大統領へのインタビュー取材を行っている様子が放送されていました。トランプ次期アメリカ大統領さえ過激組織のことを「ISIS」と呼んでいるのに日本のメディアが未だに「イスラム国」と呼んでいるのは気になりましたが、アサド大統領に単独インタビューをするというのはすごいなと思いました。

昨日には、オバマ大統領が最後の記者会見を行ったそうで、オバマ大統領は、民主主義の存続のためには報道機関が権力者に厳しいことを言い、権力の監視をし続けることが大切だというようなことも話していたそうです。本当にそうだなと思うのですが、そのオバマ大統領の率いるこれまでのアメリカなどから敵視されているシリアのアサド大統領の話し方は理性的で、冷静で、訳されていた話の筋も特にずれているような感じはしませんでした。

ロシアに支持されているアサド政権とアメリカや欧州から支持されている反政府勢力とどちらからも敵視されているテロ組織の「ISIS」によるシリアの内戦を収束に向かわせることについて、アサドさんは、トランプさんには期待をしているそうで、アメリカに追従してアサド政権を名指しで敵視する政策を取っている安倍政権に対しては、日本のこれまでのインフラ整備などの人道支援活動に感謝を示した上で、シリアへの経済制裁は道徳を重んじる日本国民の価値観によるものではないことは分かっていると言い、これは政治の問題だと、日本には中立な立場で国際法を重視する特別な存在だった過去の姿に戻ることを期待すると言うようなことを話していました。

シリアの内戦に脅かされて難民となっているシリアの人々は、難民として外国へ行きたいのではなく、本当はシリアに戻りたいのだし、シリアでの支援を希望しているのだと、日本にシリアの現状を知り、シリアを平和にするための支援をシリアで行ってほしいという話もしていました。アサド大統領の話によると、日本は駐シリア大使館も閉鎖していて、日本が得ているシリアの情報はアメリカなどの側から提供されているものだけで、行方不明になっているジャーナリストの安田さんの安否に関する問い合わせも日本政府からはないということでした。シリアとのつながりを絶っている状態で、武器の輸出を推し進めたり「国際組織犯罪防止条約」に批准するためという理由で「テロ等準備罪」というような名称の新しい共謀罪を作ろうとしたりしている安倍政権は、これからどのようにシリアの国を平和にするための支援をしていくのだろうと、確かに奇妙な感じがしました。

アサド大統領へのインタビュー取材は約30分に及び、放送の際に編集をしないという条件で行われたものだそうで、昨夜の「NEWS23」では、約13分ほどの放送だったのですが、CSのTBSチャンネルでは約30分の完全版が放送されるのだそうです。私の部屋のテレビはCSに加入していないため、残念ながらその番組を見ることはできないので、30分くらい昨夜の「NEWS23」の中でそのまま放送してくれたら良いのにとも思えたのですが(元総理大臣の小泉純一郎さんのインタビューの時もそうでしたが)そうはできないテレビ局の事情があるのかもしれません。
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