「有識者会議」が「退位は一代限り」を示したこと

昨年の8月8日、天皇陛下の象徴としてのお務めについてのビデオメッセージでのお言葉がありました。私もNHKの放送などで見ていました。

昨日には、日本政府は、経団連の今井名誉会長という方を座長とした官邸の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の論点を整理してまとめたものを公表したということが報道されていました。

その退位についての「論点整理」は、やはり官邸が望むように、「現在の天皇陛下の一代限りの(特例法による)退位が望ましい」という方向でまとめられたものだということでした(論点としては、皇室典範改正か特例法かということは取り上げなかったそうですが、一代限りにしようとしているということは、特例法にしようとしているということでもあるのではないでしょうか)。「有識者会議」に集められた「有識者」がそのような意見の方たちばかりなのだから、当然その方向で決まるだろうと思いますが、天皇陛下の昨年の8月のお言葉の真意を政府が忖度していないことを、とても残念に思えました。

昨日から国会が始まり、先日のNHKの「日曜討論」の中でも話していたのですが、天皇陛下の退位(譲位)についての民進党の幹事長の元総理大臣の野田さんの意見は、正しいと思います。正しいですし、まともだと思います。

昨年の天皇陛下のお言葉を聴いた方、あるいは読んだ方は、今の天皇陛下が高齢のご自身のためだけに譲位をしたいと話していたのではないことはよく分かるのではないかと思います。今の天皇陛下は、戦後の『日本国憲法』の下で初めて天皇になられた方で、象徴天皇としてその憲法を守って日々を過ごし、政治に関わる発言を出来得る限り控えているのに、天皇陛下の退位について、今の政府が憲法に沿わずに、『皇室典範』の改正をせずに、謎のその場しのぎの特例法で一代限りの退位にしようとしているというのは、酷いことであるように思えます。

報道によると、新聞や民放のテレビ局の世論調査の結果「一代限りの特例法」で良いと思っている国民が8割いるということなのですが、本当なのでしょうか。もしもそうだとするなら、それはメディアにも原因があるような気がします。昨夜の「時論公論」の解説も、政府の「一代限りの特例法」に向けた話し合いを推進するようなものでした(というか、天皇陛下の譲位が後の時代にも憲法違反と疑われることのないように皇室典範を改正したほうがいいというようなことは言われていませんでした)。

先日のBS朝日の「激論!クロスファイア」というジャーナリストの田原総一朗さん司会の番組には民進党の大串さんと自民党の武見さんという議員さんがゲストに来ていたのですが、自民党の武見さんは、最初には、退位のことと一緒に女性天皇や宮家のことも考えないといけないので『皇室典範』の改正には時間がかかるから無理だということを話していたのに、テレビ朝日のアナウンサーの本間智恵さんが、女性天皇のことも考えたほうがいいのなら早く話し合いを始めたほうがいいのではないかと武見さんに言うと、女性天皇のことと退位のことは別に考えなくてはいけないと、最初と矛盾したことを言っていました。やはり自民党は単に『皇室典範』を改正したくない(改正を避けたい)ということなのだろうと思いました。

昨日のテレビ朝日の「報道ステーション」では、昨年に100歳で薨去された三笠宮崇仁親王が、71年前の今の憲法が公布された日に、意見書を提出していたということが伝えられていました。残されている意見書によると、三笠宮さまは、天皇に譲位という最後の道だけは明けておく必要がある、天皇に死以外に譲位の道を開かないことは新憲法第18条の「何人もいかなる奴隷的拘束を受けない」という精神に反しはしないか、として、全ての天皇に制度として譲位を認めるよう考えていたそうです。天皇に会議での譲位の発議を認めるようにしてはどうかとも考えていたそうなのですが、三笠宮さまのその意見書が正式に取り上げられることはなかったそうです。

もしも三笠宮さまがご存命であったなら、何か今の政府に意見を伝えることもあったでしょうか。即位の日を元日にすると政府が検討しているということに対して宮内庁の訂正があったように、このままではもう一度お言葉によってお気持ちが表明される必要が出てくることにもなるかもしれません。

退位できるようにするということは決まっているようですし、日本政府は、それでも、あるいは最終的にはちゃんと天皇陛下の真意を忖度して、天皇の譲位についての法律を恒久的な制度とするために、後の時代にも憲法違反と疑われることのないように、『皇室典範』を改正することにするのでしょうか。でも、今のところはそう見えないですし、官邸主導の「有識者会議」の方向性がそのまま政府の方向性として、これまでのように、国会での議論もほとんどなされないうちに、「一代限りの特例法(特別法)」の案が通ってしまうような気がします。

そもそも、神話時代の?神武天皇から数えると、今上陛下は第125代の天皇陛下で、代々の中に女性天皇は10人いて、男性天皇のみということにして女性天皇を禁止にしたり、「天皇に死以外に譲位の道を開かない」ようにしたのは、明治時代の政治家が作った『大日本帝国憲法(明治憲法)』からだそうです。当時の政治家が明治憲法下の『皇室典範』で天皇の自由を封じ込めたのが、戦後の新憲法(『日本国憲法』)下の『皇室典範』に受け継がれたということなのだそうです。近代日本は明治時代から始まったのかもしれませんが、歴史によると(当然のことながら)日本は明治時代よりも前からあって、『皇室典範』の定めに従うことになった天皇はまだ明治天皇から3代であり、その前の神話の時代から?江戸時代までの122代の天皇には『皇室典範』の定めは関係なかったのです。

3日前のアメリカのトランプ新大統領の就任演説の内容を分析して解説することも大事なことかもしれないとは思いますが、トランプさんの人格や政策の方針に懸念を持つのなら、日本のメディアは、トランプさんの演説の場合と同じくらい、日本の安倍首相の施政方針演説の内容も分析して解説付きで伝えたほうが良いような気もします(私は演説の放送を見ていなくて、後で新聞の記事で読みました)。アメリカやヨーロッパでの保守政党の興りを自由経済や民主主義の存続のために良くないものと思うのなら、一緒に今の日本の政治のことも重ねて伝えたほうが誠実であるように思えます。

戦後70年を過ぎたから憲法を改正するという意味もよく分かりませんが(どうして70年経ったから今の憲法を変えなくてはいけないということになるのでしょうか)、外交にも失敗し続け、「テロ“等”準備罪」なる「共謀罪」を新設しないと2020年の東京オリンピック・パラリンピックを開けないなどとも言い出している安倍政権は、まだしばらく続いてしまうのかもしれないですし、もしもそうなら、せめて与党の自民党の中からちゃんとした議員さんが新星のように現れてくれるといいなと思います。
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