「先住民が問うトランプ政権」

一昨日の土曜日の夕方のTBSの「報道特集」の「先住民が問うトランプ政権」という特集の録画をしておいたものを見たのですが、番組では、番組の司会の一人の金平成紀さんが、オバマ前大統領の時に許可が下りなかったものをトランプ新大統領が大統領令を使って再開した、アメリカのノースダコタ州とイリノイ州をつなぐように設置される長い石油のパイプラインの工事に対する反対活動を行っているノースダコタ州のスタンディングロックという土地のスー族という先住民族の方たちへの取材の様子が伝えられていました。

キャンプ地の先住民族の少年が、金平さんたちを、植物を束ねたものを燃やした煙で出迎えていたのですが、それは、煙で物や人を清めて受け入れるというような先住民族の出迎えの儀式なのだそうです。お寺のお焼香のようなものでしょうか。

インタビューに応じていた先住民族の方たちは、ここのことがみんなに正しく理解されていないことが腹立たしい、自分たちはパイプラインを北に作るというのなら反対はしないが、北の白人たちがパイプラインを受け入れないので南の先住民族の地に作ろうとしている、先住民族の土地ならいいということはないと話していました。

先月の24日頃の取材ということで、一面の雪景色だったのですが、工事再開に抗議する先住民族の300以上の部族の人たちや外部の人たちの集まるキャンプ地周辺では、工事を進める政府側の警察官や保安官との間で衝突が起きているのだそうです。

逃げようとしていた無抵抗の女性が保安官にゴム弾?で撃たれこともあるそうで、撃たれて大怪我をして目や舌の感覚が麻痺しているという男性もいました。水の保護を訴えて祈りを捧げている時に捕まり腕に番号を書かれて犬小屋のような檻に入れられたという女性もいました。国連の人権に関するヒアリングを行うという国際インディアン評議会という会に来ていた人は、儲け話の邪魔はさせないということなのだろう、これは先住民族の主権を奪う行為だ、先住民族の神聖な土地が脅かされていると話していました。工事のために先祖の墓地をブルドーザーで潰されたという方もいました。

トランプ大統領が大統領令を出して作ろうとしている「ダコタ・アクセス・パイプライン」を請け負う会社の株を、トランプさんは大量に保有していたそうで、また、エネルギー省の長官に任命された人も、その会社の役員だった人なのだそうです。

スタンディングロックの行政庁舎には、先住民族の男性が腰につながる紐を矢で地面に固定した状態で立って弓を前方に向けているという姿の銅像が置かれていたのですが、それはこの先祖から代々受け継いできた聖なる土地を守るために戦い抜くという決意を表したものなのだそうです。先住民族の伝統の歌も披露されていました。

スタンディングロックは、貧しさのランキングで「全米ワースト10」に入ったこともあるそうなのですが、先住民族の方は、それは資本主義社会の価値のことで、心の豊かさでは負けないと笑っていました。パイプラインの工事の問題には、そのことで、このように人々が団結するのが初めてのことだという点で、今大きな意味があるとも話していました。

先住民族の一人である歴史学者のジョン・イーグルさんという方は、移民としてアメリカ大陸に来た人々と先住民族たちの間には根本的な違いがあると言い、私たちの先祖はこの土地に眠るが彼らの祖先は海の向こうに眠っている、自分たちには土地と水を守る責任がある、先住民にとっては水が世界で一番の薬なのだと話していました。

アメリカの運輸局の調査によると、パイプラインの事故は、2016年までの20年間に1万1458件起きていて、1年にすると約573件起きているということになるそうです。先住民のイーグルさんは、政府は石油は燃えないと言うがその裏付けはない、今事故がなくても子供や孫の代で事故が起きるかもしれないから許すわけにはいかない、今という時は歴史として語り継がれていく、トランプさんは歴史のどちら側に立ちたいのでしょうかと話していました。

イーグルさんへのインタビューの放送は短いものだったのですが、実際には1時間ほど話していたのだそうです。

世界中の先住民族についての知識を持っているというイーグルさんは、最後に日本について触れて、「沖縄の人々にメッセージを持ち帰ってもらえるならば、こう伝えてください。自分たちの土地を守ろうとしているあなたたちと我々は同じ場所に立っています。彼らのために祈ります。勇気を持ってください。成し遂げられます」と伝えていました。

イーグルさんが沖縄の話を始めたということに少し驚いたのですが、スタンディングロックと沖縄の構造はよく似ているということは、番組を見ていた私にもよく分かるような気がしました。先祖代々の土地や水などの環境を守ろうとしている住民の意向を無視して力で工事が行われていくというところや、白人が優位でマイノリティが低く見られるというところ、本土からの沖縄への差別意識など、確かによく似ているように思いました。アメリカのスタンディングロックの人々と日本の沖縄の人々のことだけではなく、世界各地の少数民族の人々が似たようなマジョリティに虐げられる社会構造の被害に遭っているのかもしれません。

アメリカは移民大国と言われていますが、白人至上主義として移民を排斥しようとしている方たちというのは、自分たちの祖先が元々はアメリカ大陸へ渡って来た移民だったということは、どのように思っているのでしょうか。人類皆兄弟、というのはさすがに広過ぎるようにも思えますが、例えば日本人で韓国や中国ことを悪く言うばかりの人たちは、昔の日本に渡来人が多かったことや、シルクロードの文化や中国の文化や韓国の文化が日本の文化にも多くの影響を与えてきたという、今につながる歴史のことをどのように思っているのでしょうか。少し不思議な感じがします。

先日の報道によると、沖縄県の名護市辺野古に早く米軍基地を建設したい政府は、辺野古の海の岩礁破砕について、沖縄県への許可申請は不要と判断したそうです。沖縄県は、再申請は必要だとする文書を防衛局へ送ったということなのですが、オバマ政権の次にトランプ政権の来日したアメリカのマティス国防長官の発言に背中を押されたような気持ちになって安堵しているらしい安倍政権は、これまでの過去の場合もそうだったように、結局は、反対運動や抗議活動を行う人たちを排除して、工事を強行してしまうのかもしれません。政府の予定では6日の今日から工事を再開するということが、報道では伝えられていました。

番組では、アメリカの先住民の方たちが反対している石油パイプラインの建設には、日本の企業も投資をしていると言われていました。関係のある外国へ大金を渡す活動をしている安倍政権は、日本の国民の年金の積立金もアメリカへの投資に利用しようと考えているそうなので(国会で安倍首相は新聞報道を否定し、年金の会社は独立行政法人だから自分とは関係ないというようなことを述べていましたが)、あるいは、アメリカから依頼されたなら、その先住民の方たちの土地の環境破壊を伴うパイプラインの建設自体にも直接協力をしていくのではないだろうかとも思いました。

水や土地が汚されることを恐れる人々の願いは、(築地市場の豊洲への移転を進めた過去の東京都知事たちもそうなのかもしれませんが)、資本主義社会に生きる経済活動の発展を何よりも重視する人たちには届き難いことなのかもしれません。

在来種よりも外来種のほうが強いというか、結果論かもしれませんが、侵略されている側よりも侵略している側のほうが強いように思います。侵略している多数の側が押し通そうとしているものを侵略されている少数の側が覆すということは、簡単なことではないのだろうと思います。無力感に苛まれてはいけないのだと思いますが、戦後の日本で政治的な革命?が成功した例はないので(隣の韓国ではあるそうですが)、勇気の足りない私などは、相当に徹底抗戦をしない限りは(あるいは徹底抗戦をしても)多数者の圧力を退けて多数者の意見に反対する少数者の考えを実現させることは難しいのだろうなという気もしてしまうのです。昨日のTBSの「THE世界遺産」でも沖縄の琉球王国の首里城跡や神聖な御嶽のことが紹介されていましたが、琉球国がなくなったのは今から約138年前のことだそうです。自分たちの先祖代々の土地と水を守りたいと願っている先住民族、少数民族の方たちの願いが、届くようになるといいなと思います。
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