ドイツに眠る医師の肥沼信次さんの特集

先日の日曜日の夕方の頃に日本テレビで放送されていた、「ドイツが愛した日本人~佐々木蔵之介が巡る、ある医師の物語~」というドキュメンタリー番組を見ました。

ある医師というのは、1908年の東京の八王子に外科医の肥沼梅三郎の次男として生まれ、来日したノーベル賞受賞者のアルベルト・アインシュタインに憧れて、日本医科大学と東京帝国大学に進学して放射線医学の研究者となり、第二次世界大戦前の1937年にドイツのベルリン・フンボルト大学に留学した、肥沼信次さんという医師のことでした。

その肥沼さんのドイツでの足跡と、当時のナチス・ドイツのホロコーストの歴史を、俳優の佐々木蔵之介さんが巡るというドキュメンタリー番組で、当時の肥沼さんの活躍は再現ドラマで描かれていました。

肥沼さんは、ナチ党のヒトラー政権下のドイツの戦況が悪化して日独伊三国同盟を締結した日本の大使館の役人たちが次々と帰国をする中、ドイツに残って研究を続けることを選び、ドイツの敗戦が決定的となったためにアジア人初となる教授資格を得るための論文の提出には至らなかったそうなのですが、敗戦後の1945年の9月、ドイツを占領した旧ソ連軍の命令で、旧ソ連軍が設置したポーランドとの国境に近いドイツのヴリーツェンというベルリンから東の古都の伝染病医療センターの初代所長となり、チフスやコレラなどの伝染病に罹った人々の治療に当たることになったそうです。

しかし、その半年後、患者さんたちの治療に奮闘していた肥沼さん自身も発疹チフスに感染してしまい、感染を隠して耐えながら患者さんたちの治療を続けていたそうなのですが、ついに倒れてしまい、戦争で夫を亡くしたシュナイダー夫人とその娘と、家政婦のエンゲルさんたちに看取られる中、1946年の3月8日、日本の桜の花を見せたい、桜の花を見たいと言い残して、亡くなったのだそうです。37歳だったそうです。とにかく一人でも多くの人の命を救うために医師としてできる限りのことをしようと尽力なさっていた方だったようでした。その後、ヴリーツェン市には、日本の桜が贈られたのだそうです。

佐々木蔵之介さんのドイツの取材の旅は昨年のクリスマスの頃に行われたようで、佐々木蔵之介さんは、ベルリンのカイザー・ヴィルヘルム記念教会の近くのクリスマスマーケットに大型トラックが突入したテロ事件を身近に感じて、改めて命の重さや尊さを感じたと話していました。

肥沼さんをよく知るエンゲルさんは、肥沼さんのことを、とても優しい人だったと話していました。ヴリーツェン市には、「肥沼信次博士の墓」と日本語でも記されたお墓があり、肥沼医師の治療を受けた市民の方たちがそのお墓を守っているそうです。祖父が肥沼さんに助けられたという少年は、肥沼さんのことを「ヒーロー」だと話していました。佐々木蔵之介さんが訪れていた地元の学校では日本のことも教えられていましたし、肥沼信次さんは本当にその町の人たちに愛されているのだなと思いました。

肥沼さんは、ユダヤ人たちが迫害されていたその当時のナチス・ドイツのアーリア人至上主義の雰囲気の中で、物理学者の湯川秀樹さんのことだけではなく、江戸時代の和算(数学)の関孝和さんのことをも例に挙げて、アジア人の日本人にも昔から優れた能力があるのだということを講演したこともあったのだそうです。

肥沼さんは日本人の医師ですから、肥沼さんが立派な人で現地の方たちにも尊敬されているという事実に、番組を見ていて少し嬉しい気持ちになりました。でも、日本人として誇りに思う、という風に思うのは少しおこがましいのではないかというような気持ちにもなりました。肥沼さんは立派な方でしたが、当然のことながら、それは日本人全員が立派ということではなく、肥沼さんが偶然にも立派な日本人医師だったのだと思います。

放射線の研究者である医師の肥沼さんが亡くなってからもうすぐ約71年経つということになるのだと思いますが、もしも今肥沼さんが生きていたならば、今の時代に再び“ナチス”のような雰囲気が漂い始め、日本にも新たな世界大戦の気配が迫りつつある状況をどのように思うのだろう、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故による放射能汚染の被害の実態が市民に隠されているかもしれないことについてどのように思うのだろうということも、この番組を見ていて少し思いました。

肥沼信次さんという医師の方のことを(本当は有名な方なのかもしれないのですが)私は全く知らなかったので、何だろうと気になって何となく録画をしておいたくらいだったのですが、このドキュメンタリーを見ることができて、私も少しでも知ることができて良かったです。
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