「お笑い芸人vs.原発事故 マコ&ケンの原発取材2000日」

先日の日本テレビの深夜の「NNNドキュメント’17」の「お笑い芸人vs.原発事故 ~マコ&ケンの原発取材2000日~」を見ました。

「おしどり」というアコーディオンと針金細工を使う夫婦漫才師のマコさんとケンさんは、今から約6年前の2011年の3月11日の福島第一原子力発電所の爆発事故に関して東京電力が行って来た記者会見の最多出席者なのだそうで、そのお二人の原発取材に奔走する姿を追った約55分のドキュメンタリー番組でした。番組のナレーションは、マコさんを支える夫のケンさんでした。

マコさんとケンさんは、2011年、原発事故のことが気になって記者会見の映像を見ていた時、会見場の前のほうに座っていたフリージャーナリストの方が良い質問をしようとすると、周囲に座る大手メディアに在籍する記者たちに妨害されるという状況を見て、フリージャーナリストを応援しようと記者会見場に行くようになったそうです。

自身でも質問をしてみるようになったマコさんは、最初は、お笑い芸人のくせにと文句を言われたり、女には分からないだろうと東京電力の担当者からバカにされたりもしたそうなのですが、必死に勉強し(勉強のために読んだたくさんの分厚い本は、放射能汚染を心配する母親たちからの寄付で買ったものだそうです)、的確な質問をぶつけることができるようになったそうです。『週刊SPA!』の編集主任の方の協力で記事も書くことができるようになって、そうして記者会見場に通うことができるようになり、質疑の様子を中継で見る人たちの支持も得るようになり、今では全国各地で講演も行っているそうです。

医大で生命科学を学んでいたというマコさんは、阪神・淡路大震災の時、被災者を助けることができるのはお笑いの力だと感じでお笑い芸人さんになったそうなのですが、そのような閃きと行動力がすごい方なのだなと、番組を見ていて思いました。

番組では、飯館村を取材していたマコさんに会ったことがあるという水俣病患者の坂本しのぶさんの母親のフジエさんにも話を聞いていたのですが、被害者自身が動いて頑張らないと他人も国も何もやってくれない、被害者が自分で頑張らないといけないと言っていたと話していたフジエさんは、60年、70年続いている水俣病よりも福島は辛いし酷いと思う、水俣の人たちは海のものさえ食べなければいいけれど福島はどうしようもないと思う、畑も山も田んぼもみんな元に戻すということはあり得ないと思う、人を頼ってもあてにならないから被害者の自分たちが頑張らないといけないと思う、と話していました。

爆発事故が起きても「原発ゼロ」にせずに原発再稼働や原発事業を推進しようとしている日本政府は、これからアジアやアフリカの国々に50基の原発を売り込む予定があるそうで、マコさんの解説によると、政府は原発を海外へ売るため、「日本の原発は事故を起こさない」から「日本の原発は事故が起きても大丈夫」とするために、3月末で被災者の支援を打ち切り、福島の立ち入り禁止区域を解除して町に帰還できるようにして、被災者が自分たちの手で町の除染を行いその地に住み続けるという“モデルケース”を作って世界にアピールしようとしているということでした。講演会場に来ていた方たちも驚いていたのですが、私も驚きました。その人体実験的な感じを怖く思えたのですが、経済界に支えられている今の安倍政権なら実行しそうなことであるようにも思えました。

福島県の被災者たちは被害者なのに、福島県放射線健康リスクアドバイザー?や福島県立医大といった福島県の組織が、国の方針に従うように、放射性物質による健康被害の状態の検査をしなかったり、詐欺のようなデータの図を示して放射能汚染と甲状腺がんには因果関係はないと結論付けようとしたりするということも(どうしてそのようなことをするのだろうと少し不思議に思えるのですが)本当に酷いことであるように思いました。

子供の健康を心配する母親たちの要望を受けたマコさんの働きかけにより、福島県の南の北茨城市の豊田市長は、18歳まで検査を無料ということにしたそうです。豊田市長は、国が悪い、国の責任において周辺地域の検査をやるべきだが待ってはいられないので市が市民を守る、と話していました。

2013年のブエノスアイレスの国際オリンピック委員会(IOC)の総会の記者会見で、安倍首相が「汚染水は完全にブロックされている」、「アンダーコントロール」だと発言したことには、当時の東京電力の社員も驚いて政府に問い合わせたそうです。マコさんに質問された担当者は、放射能の影響は「無い」ではなく「少ない」と答えていました。

様々な関係者たちとつながりを深めることのできるマコさんの取材によって、改善されていることが多いこともすごいなと思えたのですが、マコさんによると、最近は、これまでよりもさらに情報が出なくなっているのだそうです。

2014年には、マコさんは、ドイツ連邦放射線防護庁の方に呼ばれて核戦争防止国際医師会議というものに参加したそうなのですが、年間20ミリシーベルトの福島の土地に住民たちが戻るという日本政府の方針に、ドイツならそれは作業員が作業を行うレベルのものだ、子供も妊婦も戻るのか、日本の国民はそれを受け入れたのか、ドイツ国民なら許せないととても驚かれたのだそうです。

マコさんはドイツから、ローマ教皇フランシスコへ「子供の被曝を危険と考える母親たちは科学的ではないとなじられます」と手紙を書き送り、「ジャーナリストとして真実を追求し、伝え、より平和な社会に貢献してください」との返事をもらっていました。手紙の一部が紹介されていたのですが、ローマ教皇さまの署名入りの手紙でした。すごいです。

事故直後、行政は、放射線被曝の調査を、住民の負担になるという理由ですぐに行わず、甲状腺の検査の2巡目に基準以上の人が数十人出て来るようになって変わったそうなのですが、1巡目の検査で何もないということになった68人中62人が2巡目で悪性か悪性疑いとなったそうです。

マコさんは、本当にその情報は正しいのかということを自ら調べることが大切だと話していました。昨年の2016年の12月には、マコさんとケンさんは、平和共同ジャーナリスト基金賞という市民が選ぶジャーナリスト賞を受賞したそうです。推薦人の一人の都留文科大学の講師の女性の方は、井上ひさしさんの「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」という言葉を挙げて、おしどりのマコさんとケンさんの活動をそのような感じがすると話していました。

マコさんは、アコーディオンを売るようなことになったら原発の取材は諦めると話していたのですが、事故から約6年経ち、半減期が30年のセシウムが9割弱残っている中、東京電力を訴える裁判の原告の被災者たちが何人も亡くなっているそうで、裁判へ行った帰りの1月末の電車の中で泣いていました。

番組の最後、マコさんとケンさんは、「自分で知って、調べて、考えること。大切なのは、中立ではなく独立すること。そういう方が一人でも増えてくれればと思います」と視聴者に伝えていました。マコさんは端的に明るくサクサクと話していたのですが、すごいジャーナリズム精神です。「中立ではなく独立」というのは、考えなくてはいけないことをちゃんと考えて、隠されている事実を追求して市民に公表するジャーナリストの方にとって、本当に大切なことなのだと思いました。

何となく録画をしておいた番組だったのですが、とても良い特集でした。約55分があっという間に思えました。「NNNドキュメント」は、日本テレビの良心だなということも改めて思いました。

同じ頃、TBSで放送されていた「報道の魂(JNNルポルタージュ)」の「なぜ、私は変わったのか?元総理・小泉純一郎と3.11」では、「3.11」後に「原発ゼロ」を訴えて活動するようになった小泉純一郎元総理大臣の特集が放送されていました。小泉さんは今何をしているのか、ということを伝える特集という感じで、小泉さんの新しい意見や主張が伝えられていたというのとは少し違っていたように思うのですが、小泉さんの地元の城南信用金庫の協力を得て、原発事業を推進しているアメリカ政府も日本政府も実害を認めようとしない、「トモダチ作戦」で被曝した方たちへの支援を行っているというのは、やはり立派なことだなと思います。

小泉純一郎さんがどうしてテレビ番組などへあまり出演しないのか、私にはよく分からないのですが、テレビはまだ影響力があるので、出演したほうが小泉さんの考えがより良く広まるようにも思いました。


ところで、昨日は「北方領土の日」ということでした。ロシア(旧ソ連)のミハイル・ゴルバチョフ元大統領と海部俊樹元総理大臣がインタビューに答えていた先日のNHKのEテレの「ETV特集」の「北方領土 重い扉を開く」では、日本の北方領土(国後、択捉、歯舞、色丹)が旧ソ連に占拠されることになった第二次世界大戦末期のヤルタ会談からの現在までのアメリカとの駆け引きと外務省の交渉のタイミングの悪さの歴史が簡潔に伝えられ、安倍首相とプーチン大統領の昨年末の首脳会談で決まった「共同経済活動への検討をする」は日本にも良いことだということが主に言われていたように思うのですが、ロシアが日本から戦争で奪った北方領土(すでにロシアの人たちが長く暮らしていますし、しかも昨年国後と択捉にはロシアのミサイルシステムが配備されたそうです)を日本に返すという決断をするようになるのは、なかなか難しいことであるように思えました。

番組の解説によると、今のところは、日米安全保障条約が日露平和条約の締結への障害となっているのだそうです。アメリカのトランプ大統領がロシアのプーチン大統領との関係を改善することができて、日米安全保障条約という日本とアメリカの軍事条約もロシアの脅威とはならなくなるなら、北方領土問題は解決する、ということなのかもしれませんが、でも、プーチン大統領の支持者が「保守派」であるなら、保守としては自国の領土を減らすようなことは望まないでしょうし、ゴルバチョフさんの元通訳の方が話していたように、「共同経済活動」(元々は90年代にロシアのほうが主張していたことだそうです)によって日本とロシアの国民の交流が盛んになれば「国境」というものは気にならなくなるという、よく分からない考え方で押し通されることになるのなら、やはり北方領土は日本には返ってこない(ロシアが返さない)という意味なのではないかなとも思いました。

あと、昨日のニュース番組などを見ていて、なぜか突然出てきたようにも思える文部科学省の天下り問題も酷いと思いますし、東京都の築地市場の豊洲移転の責任者を追及する問題も、アメリカのトランプ大統領の入国制限の問題も、報道をすることは大事なことだとは思いますが、沖縄県の名護市の辺野古に米軍基地を建設したい政府が海の工事を県への申請を通さずに再開したということも、もう少し丁寧に伝えてほしく思いました。
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