「嫌われる勇気」第7話

フジテレビのドラマ「嫌われる勇気」の第7話を見ました。

爆発事件の犯人を見たと言う佐藤と名乗る男性(板尾創路さん)に助けを求められ、警視庁捜査一課8係の応接室に連れて行った刑事の青山年雄(加藤シゲアキさん)は、佐藤さんに頼まれてその鞄の中を出すことになり、タブレットパソコンとスマートフォンの入っていた鞄の奥からクマのぬいぐるみを取り出すと、タブレットにぬいぐるみが爆発する映像が映し出され、スマートフォンに電話をかけて来た犯人からぬいぐるみから手を離すと爆発すると脅されました。

出勤した刑事の庵堂蘭子(香里奈さん)は、犯人から勝負の相手として指名され、爆弾のタイマーを止めるためのクイズの答えを見つけるために犯人が手紙でヒントを送ったという企業へ急ぎました。

別の事件の捜査を終えて警視庁に戻る途中、どこかへ走っていく蘭子さんの姿を目撃した刑事の浦部義孝(丸山智己さん)と小宮山正明(戸次重幸さん)は、8係の部屋から出ることができない係長の半田陽介(升毅さん)と三宅隆俊(桜田通さん)と鑑識課の村上由稀菜(岡崎紗絵さん)から、その部屋の机の上に置かれていた別の事件の証拠品のペン型の盗聴器の電波を受信した鑑識課の梶準之助(正名僕蔵さん)を通じて何が起きているかの事情を知り、浦部さんは爆弾を止めるための答えを探す蘭子さんのもとへ向かい、小宮山さんは帝都大学の犯罪心理学の教授の大文字哲人(椎名桔平さん)に犯人像のプロファイリングを依頼しに行きました。

脚本は大石哲也さん、演出は及川拓郎さんでした。

今回は、犯人に爆発物を持たされた青山さんや8係の仲間たちを助けるために蘭子さんが東京の街を奔走し、そのような相棒の蘭子さんを青山さんが信じて待ち続けるという話で、サブタイトルは、「より大きな共同体の声を聴け」というものでした。アドラー心理学の「共同体感覚」をテーマにしていたようです。

犯人から私は誰かという四つ目のクイズを出された蘭子さんは、三つのクイズの答えが警視庁のデータベースにアクセスする番号になっているということに気付き、犯人が元警察官の佐藤太郎さんだと知りました。浦部さんと共に佐藤さんの部屋を調べた蘭子さんは、何年分もの年賀状が綺麗に並べられた引き出しと、家計簿に几帳面に張られたレシートと、蘭子さんが表彰された機関紙が切り刻まれているのを見つけ、約40年間無遅刻・無欠勤で定年退職をした佐藤さんの犯行動機を推理しました。

青山さんを人質に取った佐藤さんは、さらに自分の身体に巻き付けた爆弾を見せながら脅し続けていたのですが、蘭子さんは脅しに応じず、タイマーが切れるとぬいぐるみの爆弾は小さな音を立てて止まりました。蘭子さんは、佐藤さんが本物の爆弾を使っていないと信じ、佐藤さんの犯行動機が自分を思い通りに操って走り回らせることだったのだろうと考えていました。

遺失物センターでの仕事一筋だった佐藤さんは、退職後、自分の送別会が開かれないままになっていることや、年賀状の枚数が激減したこと、職場の仲間が自分のことを忘れたように仕事をしている様子などに、どこにも自分の居場所がなくなったと孤独感を感じていたようでした。

ドラマの冒頭では、蘭子さんがもうすぐ店仕舞いをするという商店街の常連になっていたらしいパン屋さんでコロッケパンを買っていたのですが、佐藤さんもそのパン屋さんの常連客でした。佐藤さんはそこで蘭子さんを見かけ、蘭子さんが警察官として表彰されていることを知り、一方的な憎しみを持つようになったようでした。

蘭子さんは、監察医の相馬めい子(相楽樹さん)に勝ってきてもらったコロッケパンを佐藤さんに渡し、自分が本当には必要とされていなかったのだと嘆く佐藤さんに、あなたは見返りを求めているが、社会への貢献と見返りは無縁のものだと言いながら、それでもあなたは今でも貢献している、パン屋さんは40年間通ってくれたお客さんがいたから頑張って続けることができたと言っていた、そのお客さんはあなたのことです、という風に話していました。佐藤さんは、コロッケパンを食べながら涙を流していました。

最後、蘭子さんは、閉店したパン屋さんに「長い間お疲れさまでした」とカードを付けた花籠を贈っていました。

「嫌われる勇気」と「共同体感覚」は矛盾しないということについて大文字さんと話していた青山さんが佐藤さんに言っていたように、庵堂さんは誤解されやすい人だけれど自分勝手な人ではない、ということが、今回は何というか、急に少し強調されて描かれていたような印象でした。

良い話だったと思いますし、決して悪いということではないのですが、報道によると、「日本アドラー心理学会」の会長の方からフジテレビにクレームが入り、ドラマの打ち切りか脚本の改善の要求がなされていたということがあったようなので、その影響もあったのかなと思いました。

インターネット上に公開されていたその学会の方のフジテレビ宛ての?文章によると、「共同体感覚」とは「他者と共同し協力して生活する能力のことを意味」するものだそうです。そして、そのことから主人公が「『相互理解のための努力』や『一致に到達する努力』や『意見や信念を分かちあうための努力』の側面を放棄しているように見受けられます。」、「ドラマの中の考え方には『他者の利害』という見方が完全に欠落している気がします。それではアドラー心理学とは言えません」などと書かれていたのですが、一視聴者の私には、このドラマの主人公の蘭子さんがそのような努力を放棄しているような人には見えませんでした。

単独行動に見えることが多かったとしても、主人公の蘭子さんは事件の解決のために行動していて、ちゃんと刑事たちと協力していましたし、被害者や加害者の気持ちを汲み取るということもしていたように思います。日本テレビのドラマ「明日、ママがいない」の時のように、テレビ局が不思議なクレームに配慮して放送中の連続ドラマを打ちきりにするというようなことがなければいいなと思います。

「共同体感覚」を扱っていた今回の話は、一人はみんなのために、みんなは一人のために、という「三銃士」の台詞のような話だったようにも思うのですが、ドラマによると、「共同体感覚」とは、自分が社会に貢献していると実感できること、でした。

定年後の孤独感から蘭子さんを妬んでいた犯人の佐藤さんは、最終的にはそのことを実感することができたということだったのだろうと思います。

「共同体」については、家庭や学校、会社、地域、国、宇宙など幅広く例が出されていたのですが、アドラー心理学の最終目標に置かれているものの一つという「共同体感覚」が、共同体のために見返りを求めずに行動し貢献することであるとするなら、それは良いことであるようにも思えるのですが、一歩間違えると危険なことであるようにも思えます。

それでも、「共同体感覚」というものが、自分は共同体の一員なのだ、社会の一員なのだと自覚をし、それについて自信を持つことなのだとするなら、その地域社会の中である程度健康的に生活をしていくためには必要な感覚であるような気もしました。私はアルフレッド・アドラーの心理学のことをよく知らないままなので、もしかしたら間違っているのかもしれませんが、ドラマの原案となっている岸見一郎さんと古賀史健さんの著書『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』も自己啓発本のようですし、アドラー心理学は「出世」の役に立つ心理学なのかもしれません。

このドラマは少なくとも、アドラー心理学会の会長の方が指摘するような、「日本のアドラー心理学の啓発・普及の妨げ」というようなことにはなっていないように思いますし、原案や原作のあるタイプの他のドラマや映画と同じように、『嫌われる勇気』や「アドラー心理学」の宣伝に貢献しているのではないかと思います。


ところで、昨夜のTBSラジオの「荻上チキ・Session-22」では、昨年の春にNHKの「クローズアップ現代」を降板した元キャスターのジャーナリストの国谷裕子さんと評論家の荻上チキさんが対談をしていて、私は途中から聴くことができたのですが、キャスターはどうあるべきか、メディアはどうあるべきかについて話をしていました。国谷さんがいなくなってリニューアルされた「クローズアップ現代+」は春からまたリニューアルされるそうなのですが、国谷さんが今も番組を持っていたならどのような社会問題が扱われていたのだろうということも思いながら聴いていました。

あと、昨夜には、フジテレビの夜11時台の報道番組の「ユアタイム」でも、少しだけ、学校法人森友学園への大阪府豊中市の国有地払い下げ問題とその学園が運営する幼稚園での差別や人権問題と新設される小学校のホームページから「内閣総理大臣夫人」の安倍昭恵さんのメッセージが削除されたという話題を流していました。キャスターの方たちによるコメントはありませんでした。日本テレビで報道されているかどうかは、最近日本テレビの報道番組を見ていないので分からないのですが、「ユアタイム」で少しだけ報道されたのを見て、日本テレビと同じくらいの政権寄りの?フジテレビでも、この問題をさすがに全く伝えないというわけにはいかなくなったということなのかもしれないなと思いました(あるいは「バランス」の悪さを指摘されないように、一切報道していないということではないと示すためでもあったのかもしれません)。
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