「龍の歯医者」後編

NHKのBSプレミアムの長編アニメ「龍の歯医者」の後編「殺戮虫編」を見ました。

前編の「天狗虫編」の物語の続きです。

天狗虫と一体化した先輩の柴名(声・林原めぐみさん)との戦いの最中、抜け落ちそうになっていた龍の歯を引き戻そうとして、龍の歯と一緒に激戦地となっている地上に落ちていった新米の“龍の歯医者”の野ノ子(声・清水富美加さん)と「黄泉帰り」をしてその後輩となった元敵国・セルペナーダの少年兵のベル(声・岡本信彦さん)は、地上とは決して交わることがないという龍の歯の粉々になった中から出てきた龍の居場所を示すものを奪いに来た、ベルを殺したセルペナーダ軍の傭兵部隊の隊長のブランコ(声・松尾スズキさん)から逃げ、日本軍の地上部隊に助けられました。

柴名姐さんと通じていたブランコたちは、龍の歯を持った野ノ子を連れて逃げる日本兵を襲って龍の歯を奪い、それから日本軍の飛行機を奪い、日本軍の基地のある龍の背中に乗り込もうとしていました。野ノ子とベルも飛行機に飛び乗り、ブランコに乗っ取られた飛行機が龍にたどり着くのを防ごうとしたのですが、柴名さんとブランコの策略通り、歯の戻ろうとする力によって、飛行機は龍の背中に不時着しました。

日本軍たちは不死身のようなブランコ隊長とセルペナーダ兵に次々と殺されていきました。そして、ブランコは、龍の背中の上の日本軍の基地のような建物の最上階にある、龍宮という神殿を目指して階段を昇って行きました。龍宮では神官たちが龍の「親知らずの歯」を御神体として守っていたのですが、ブランコの目的はその御神体の歯を奪うことでした。

一方、柴名さんは、12年前に天狗虫との戦いで死んだ医師の竹本さんの魂を蘇らせるため、龍の歯の中に飛び込んでいき、歯の奥で竹本さんと再会することができたのですが、それは柴名さんの願望(欲望)によって現れた幻でした。竹本さんとの再会に失敗した柴名さんは、竹本さんの幻から派生したさらに大きな虫歯菌に取り込まれてしまいました。その虫歯菌は龍の歯の奥から外へ飛び出し、歯を痛めた龍は空を飛ぶ力を失って少しずつ地上へ近付いていきました。

龍の歯から外へ飛び出し、戦争中の地上へ躍り出た巨大な蛇玉のような虫歯菌は、敵も味方も関係なく、戦っている兵士たちの頭部を次々と切断しながら伸びていきました。

虫歯菌に兵士たちが殺害されていくのをどうすることもできずに野ノ子と見ていたベルは、虫歯菌が殺しているのは「殺意」を持った人たちであるということに気付きました。よく見ると、死体の山の中に無傷のままの数人の影が見えました。野ノ子は、龍の歯を龍に戻しに行くことにし、見習いのベルにも一緒に来るよう命じました。ちょっとやることがあるからとベルに言われた野ノ子は、下で待っていると告げると急いで走っていきました。

ベルは、床に落ちていた日本兵のピンが付いたままの拳銃を拾うと、一人で龍宮へ向かい、龍宮に安置されていた御神体の親知らずの歯を抱えて階段を下りて来たブランコに銃口を向けました。ブランコは、人を撃ったことがない少年兵のベルを臆病者だと見下していたので、そのようなベルに銃口を向けられ、すぐにベルを撃とうとしました。そうして引き金を引いた直後、「殺意」を持ったブランコの首は虫歯菌に切断されました。ブランコに撃たれたベルもそのまま命を落としたようでした。

野ノ子や先輩の悟堂(声・山寺宏一さん)たちは、龍の歯を戻して柴名さんを取り込んでいた虫歯菌の動きを止めました。戦場の殺戮も止まり、戦争そのものも止まりました。柴名さんは、天狗虫と一体化した時のままの姿に戻り、生きて死ぬ運命に抗う道を求めて飛び立っていきました。

龍宮には御神体が戻り、歯の痛みが治った龍は落とした柄杓を拾って再び空へ浮かび上がりました。龍の歯の周辺には、死者の遺品が溢れ出ていて、その中にはベルが最後に持っていた拳銃もあったのですが、それがベルのものであることに気付く歯医者はいませんでした。ベルが死んだことを知らない野ノ子は、ベルを捜しながら龍の背中の上を歩いていました。

原作は舞城王太郎さん、脚本は舞城王太郎さんと榎戸洋司さん、監督は鶴巻和哉さん、音響監督は庵野秀明さんという、NHKとスタジオカラーとドワンゴの制作の作品です。

後編は、このような話だったように思います。

映画の世界観というか設定は、前編を見た時と同じように、私にはまだ少し難しいようにも思えたのですが、長いエンドクレジットのところで流れていた、RINKUさんという方が歌う小沢健二さんの「ぼくらが旅に出る理由」の歌が、この作品によく合っていたように思いました。

戦争の起きている世界が舞台の、生と死をテーマにしたシリアスな物語でしたが、最終的には、「生きるって楽しい!」という悟堂さんの台詞や、死ぬ運命を受け入れて生きていくということも含めて、生きることを積極的に肯定する話になっていたのかもしれないなと思います。

後編の冒頭の飛行機(旅客機)の場面は、現代の場面ということだったのでしょうか。乗客の外国人の女性は窓の外の雲の中に現れた台風を飲み込む龍の姿を見て驚いていましたが、客室乗務員の日本人の?女性はそのような龍の存在をよく知っていたようでした。

あの世とこの世の境界にいるような存在の“龍”や“龍の歯医者”や“虫歯菌”が何を表しているのかということは、はっきりとは描かれていなかったのですが、龍は“神の国”としての日本を“戦争”の悲劇から守っていたようでもありました。間違っているかもしれませんが、もしかしたら、再び軍国主義化していくかもしれない流れを拒絶するものとしての日本国憲法の第9条のことが関わっている物語でもあったのかなという風にも、少し思いました。

このアニメの物語がすごく面白かったかどうかということは、私にはまだよく分からないのですが、でも、映像や物語の展開から最後まで目を離すことのできない作品でした。私には少し苦手に思えてしまう描写もありましたが、それでも、完成度の高い作品になっていたように思います。私はまだ一度しか見ていないのですが、もう一度前編から見直したなら、また何か作品に対する印象が変わるかもしれません。ともかく、私も見ることができて良かったと思います。
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