映画「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」

昨日のテレビ朝日で放送された映画「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」を見ました。

「新・のび太の日本誕生」は、映画ドラえもんの第10作の「のび太の日本誕生」のリメイク作品として2016年の3月に公開された、ドラえもんの映画の第36作です。

とても好きで小さい頃に何度も何度も繰り返し見ていた「のび太の日本誕生」(原作と脚本は藤子・F・不二雄さん、監督は芝山努さん)が「リメイク」されると知った時には、「のび太の魔界大冒険」のリメイク作品の「のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~」をテレビ放送で見た時の新作オリジナルのエピソードの残念さのことを思い出し、「日本誕生」の物語も奇妙な変更のされ方をしてしまうのだろうかと気になっていたのですが、公開時に意外と評判が良かったという印象もあったため、声優の方が一新されている今回の「新・のび太の日本誕生」の地上波初放送を見るのを、私も少し楽しみにしていました。

「のび太の日本誕生」は、現代の日本には安心して家出をすることのできる誰のものでもない土地がないと考えタイムマシンで7万年前の日本に家出をしたドラえもんとのび太くんとしずかちゃんとスネ夫とジャイアンが、時空乱流に巻き込まれて現代の野比家に現れた本物の原始人のヒカリ族のククル少年と出会い、奇襲に遭ったククルの家族や村人たちを凶暴なクラヤミ族とトコヤミの宮の不死身の精霊王ギガゾンビから救うために立ち上がる、という物語です。

そうして見始めた昨夜の「新・日本誕生」は、ノーカット放送ではなかったかもしれないのですが、始まり方が昔の「日本誕生」とほとんど同じだったことに感動し、特に前半は、その台詞や展開が昔の映画と重なるように思えて、少し安心しました。のび太くんが作り出したペガとグリとドラコが同じくらいの比重で描かれているように思えたところも、良かったです。「日本誕生」に現代的な設定を加えてグレードアップさせたものであるようにも思えていました。

ただ、遮光器土偶のツチダマが登場する辺りの後半からは、昔の「日本誕生」とは違う雰囲気に変わっていたような気がします。

私はおそらく「日本誕生」を見て遮光器土偶という存在を知ったので、今でも遮光器土偶を見ると「日本誕生」のツチダマのことを思い出すのですが、「新・日本誕生」のツチダマは、原作や昔の「日本誕生」で描かれていたものや歴史の教科書や博物館で見る遮光器土偶と違い、声や形に人間味がありました。しかも、種類の異なる土偶が全部で5体いました。

上手く伝えることができないのですが、何というか、遮光器土偶というものへの「神秘性」のようなものが失われていたように思います。「リニアモーターカーごっこ」から逸れてしまったのび太くんが吹雪の中マイナス50度の寒さに耐える場面からも、「寒さ」の描写が少し失われていたように思います。ラーメンを見ると思い出す「ラーメンのお汁、飲んでおけばよかった」というようなのび太くんの名台詞もなくなっていて、少し説教的な場面に代わっていました。タイムパトロールの船が扮していたマンモスもいませんでした。その代わりに、のび太くんが吹いたククルの犬笛によってすぐにペガとグリとドラコが助けに現れたのですが、ククルの犬笛と狼のエピソードも「新・日本誕生」オリジナルのものでした。ツチダマが形状記憶セラミックで出来ているということをドラえもんは知らずにドラミちゃんが突き止めて兄に教えるという部分も、のび太くんのママが家出をしたのび太くんを心配する場面が多かったのも、そうでした。

近年の新しいドラえもんの映画に多いように思われる(といっても私は新しいドラえもんの映画をまだ3作か4作しか見たことがないのですが)「感動」を描くための演出も過剰であるように思えたのですが、それとは別に、全体的に説明的な台詞が多かったという印象もありました。

歴史の勉強になる、という部分もあるとは思いますが、それほど台詞や図で細かく説明をしなくても、物語がしっかりと作られていたなら、映画を見ている幼稚園生や小学生の想像力で十分に分かるのではないかなと思いました。

後半の最後のほうは特に、昔の「日本誕生」よりも“冒険活劇”の要素が出ていたように思います。

私は昔の映画「ドラえもん のび太の日本誕生」を好きで何度も見ていたので、どうしてもそれと比べてしまうところがあって、「新・のび太の日本誕生」だけを見ている人のほうが、このリメイク作品をもっと面白く見ることができたのではないかなと思います。タイムパトロールがペガとグリとドラコを空想サファリパークに連れて行くとのび太くんに話す場面も、ペガとグリとドラコとのび太くんの別れの場面も、私は、やはり昔の作品の場面のほうが好きでした。

ドラえもんの映画の物語はSFとファンタジーの世界の物語だと思うのですが、昔の作品にはあった未知のものへの怖さのような感覚が、「感動」を多めに盛り込もうとしているように見える近年の新しいドラえもんの作品の中には、あまり描かれないようになっているのかなと思います。

昔の作品と比べるのはあまり良くないことであるとは思いながら、やはり、新シリーズになってもドラえもんのオープニングの主題歌は「ドラえもんのうた」のままのほうが良かったように思いました(例えば、声優さんが一新する際に、大山のぶ代さんの声の部分を今の水田わさびさんの声に変えたカバー曲にするというようなことはできなかったのでしょうか)。そして、「日本誕生」のエンディングのテーマ曲の「時の旅人」が良かったということも、改めて思いました。

「時の旅人」の作詞は武田鉄矢さんで作曲は堀内孝雄さんで歌は西田敏行さんだったのですが、今から思うと、昔のドラえもんの映画のテーマ曲の多くは武田鉄矢さんが作っていたものだったということは、すごいことであるように思えます。何というか、子供へ向けた作品なのに子供向け過ぎないというか、子供に媚びない渋さというか、あるいはむしろこの映画を見て成長していくであろう子供の未来に寄り添っているというか、そのようなところをすばらしく思います。今は「タイアップ」が多いのだと思いますが、何十年か後に映画を見た時にも台詞や演出や音楽に違和感が少ないような作品を作ってほしく思います。

映画「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」の脚本と監督は八鍬新之介さんでした。つい昔の映画と比べてしまってばかりいたのですが、でも、良いところもたくさんあったように思いますし、少なくとも「のび太の魔界大冒険」のリメイク作品を見た時よりは、最後まで楽しく見ることができました。

今日から公開となる新作(第37作)は映画「ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」だそうです。「のび太のふしぎ風使い」を含むそれ以降は、映画のタイトルが(ダサいと言ってはいけないのかもしれませんが)少し幼い人向け過ぎるような気もします。でも、イラストレーターの丹地陽子さんとヒョーゴノスケさんという方の手がけた「のび太の南極カチコチ大冒険」の6種類のポスターは、絵画的で詩的で、とてもすてきでした。私はインターネット上の画像で見ただけなのですが、東京の新宿駅の地下通路に明日までの期間限定で飾られているそうです。
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