「NHKスペシャル」の仮設住宅と災害救助法と放射能災害による分断についての特集

昨日は東日本大震災から6年目の日で、NHKでは「ニュース7」が1時間の拡大版で放送されていました。

夜の8時からは「NHKスペシャル」の「シリーズ東日本大震災 “仮設6年”は問いかける ~巨大災害に備えるために~」が放送され、続いて夜の9時からは「シリーズ東日本大震災 避難指示“一斉解除” ~福島でいま何が~」が放送されていました。(ドラマ「精霊の守り人II」はお休みでした。)

「シリーズ東日本大震災 “仮設6年”は問いかける ~巨大災害に備えるために~」は、約11万人の被災者の居場所を作るために作られた約5万3千戸の仮設住宅に6年経った今でも約3万5千人の人が新しい家を持つことができずにそこでの生活を余儀なくされているという状況を伝える番組でした。取材をしていたのは、有働由美子アナウンサーでした。

結露とカビと虫の発生に苦しめられている小さな“仮設”の住宅から被災者が出ることができないのは、生活の再建ができないからで、それには仮設住宅で生活をし続けていることからくる気持ちの落ち込みと、入居者が高齢者であるという理由があるそうなのですが、問題は、現代社会が高齢化社会であることが考慮されずに、第二次世界大戦後の昭和22年に作られた「災害救助法」という法律が被災者の生活を少しでも良くするための「壁」となっているということにあるようでした。

昨夜の番組で伝えられていたことによると、70年前の「災害救助法」は、今の時代の大規模災害に合わない部分が残されている法律であるようでした。

災害後すぐに仮設住宅が作られるということ自体は、それなりに良いことであるようにも思えるのですが、作る仮設住宅の大きさや、補助金で支給される部屋の広さなどが厳密に決められていて、被災者の側に立った法律にはなっていないのだそうです。

しかも、原則としては2年後には仮設住宅から出て行ってもらうという風に決まっているために、「仮の住まい」というところを、「半恒久的な住まい」に変えたほうがいいのではないかという意見が出ても、政府に却下されてしまうのだそうです。

昔は厚生省と国土省が管轄し、「縦割り行政」の弊害があるということで今は「内閣府」の管轄になっているそうなので、内閣府が本気で被災している方たちを助けようと思えばすぐに災害救助法などを改正することはできそうに思えるのですが、有働さんが話を聞いていた参事官の方たちは少し笑いながら否定していました。

政府は、結局、被災した国民を国が助けることには消極的で、被災者自身の力で自分たちの町や村を“復興”させるべきだと考えているのかもしれないと思いました。

今、首都直下地震が起きた場合、被災者の住宅支援はどうなるのかという住宅被害のシミュレーションも紹介されていて、政府の考えでは、仮設住宅と併せて空き家を活用すれば被災者の暮らしを支援できるということだったのですが、普通に考えると、地震が起きて住んでいる人の家が壊れるのなら隣の空き家も壊れるので、一体どういうことなのだろうと奇妙な感じがしました。専修大学のシミュレーションでは、18万人の人が仮設住宅にも空き家にも入ることができずに路頭に迷うことになるのではないかということでしたが、実際はもっと酷いことになるかもしれません。政府の被害想定が楽観的であることに驚きました。

「災害救助法」を変えるチャンスは、阪神・淡路大震災の時にもあったそうなのですが、改正されることはなかったそうです。有働さんが話を聞いていた参事官の方は、今の東日本大震災の仮設の問題が解決してから改正のことを考えるというようなことを答えていて、もしかしたら明日巨大地震が来るかもしれないのに、巨大地震が来て町が崩れて被災者が続出してからでは遅いのに、政府は「災害救助法」を変える気がないのだなということがよく分かりました(与党は「日本国憲法」の改正を目指しているようですが、おそらく「災害救助法」を改正する方が簡単なのではないかと思います)。

「シリーズ東日本大震災 避難指示“一斉解除” ~福島でいま何が~」は、東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故(メルトダウン)の影響による避難指示が解除されることになる福島の市町村において、町が消滅するという危機感から帰還を急ぐ町長と、一部が除染されただけで放射能に汚染されている状態から元の状態に回復しない町に帰ることはできないと考える住民との間の溝が深まり、分断が起きているということを伝えるものでした。

取材をしていたのは、有働さんと同じく「あさイチ」に出演している解説委員の柳澤秀夫さんでした。

飯館村で被災した元酪農家の長谷川さんという方が、放射能災害の被害の本質は「分断」にある、放射能の災害は家族も友達も地域もバラバラに引き裂いていくと話していたのが印象的でした。

飯館村の75パーセントは山なのに、その山の除染は進んでいないのだそうです。環境省の参事官の方(だったように思いますが)は、技術的に難しいというようなことを答えていました。年間被曝線量の限度は1ミリシーベルトと言われていますが、避難指示解除区域は、「空間線量率から推定された年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であると確認された地域」ということになっているそうです。20ミリシーベルト以下だから安全という国(復興庁)の基準は、安全ではないように思えます。

政府は原子力発電の施設や技術を海外へ輸出するために、あるいは原発事故後の日本の安全を海外へアピールするために、帰還困難区域の指定も5年後には解除して、住民たちが自分で除染をして暮らし続けるという「モデルケース」を作ろうとしているそうなのですが、もしかしたら、そこに暮らす人の健康のことはどうでもいいと思っているのかなと怖く思いました。

避難指定を解除し、経済的な支援を打ち切って、除染作業で出た汚染された土を詰めた黒い袋が積まれている場所にもう安全だからと言って町の人たちを半ば強制的に帰そうとするということは、“復興”ではないような気がします。

報道によると、昨日には、東京電力の本社の前で原発の再稼働への反対を訴える方たちによる集会が開かれていたそうです。TBSの「報道特集」では、被曝した牛の病気のことが特集されていたのですが、福島の生物の被曝を研究している方は、鳥や虫や植物などいわゆる「下等」の生物には遺伝が時々見受けられるけれど、牛などの「高等」の生物にはまだ見受けられない、でも、まだ分からないので大丈夫だと言い切ることはできない、というようなことを話していました。取材をしていた金平茂紀キャスターが、震災当時の東京電力の幹部たち(勝俣恒久会長や清水正孝社長など)が一人も罰せられていないのは異常だというような趣旨のことを言っていたのですが、本当にそうだなと思いました。
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