松林桂月の「春宵花影」という作品

先日のテレビ東京の「開運!なんでも鑑定団」で紹介されていた、松林桂月の「春宵花影」という作品がとてもすてきでした。

持ち主の馬屋原さんの祖先は戦国時代の毛利輝元に仕えていたのだそうです。松林桂月さんという日本画家のことを私は知らなかったのですが、1876年に山口県の萩に生まれた方で、日本美術協会に入って南画を学び、南画に革新をもたらし、日展の創設にも尽力して、1963年に87歳で亡くなったのだそうです。2014年の頃には、没後50年の回顧展が開かれていたそうです。

日本美術院の菱田春草や横山大観などと同時期に活躍していた方のようなのですが、番組の解説によると、日本美術協会の画家は師匠の作風を踏襲して学んだことによる影響から免れることができなかったため、日本美術院の画家と比べると、今でも有名な方というのは少ないのだそうです。

馬屋原家の古い蔵にあったという「春宵花影」の掛け軸を鑑定したのは安河内眞美さんで、鑑定額は400万円という「本物」だったのですが、出品作の「春宵花影」も、 1939年(昭和14年)のニューヨーク万国博覧会に出品されて高い評価を受けたというもう一つの「春宵花影」も、とてもきれいでした。

「春宵花影」は、東京国立近代美術館に所蔵されているそうです。東京国立近代美術館には行ったことがあるので、私が行った時には展示されていなかったのかもしれません。月と夜桜を墨の濃淡で描いた絵で、少し大きな絵なのだそうですが、「没骨」という輪郭線を描かない技法による桜の花の、光の下でとてもふんわりと咲いている感じが、テレビの画面で見ても、よく伝わってくるような作品でした。

桜の花は、私の見ていた映像では、浮かび上がるように青白く光って見えたのですが、番組の解説によると、そこには胡粉が塗られているということでした。胡粉は白色という印象が私にはあるので、胡粉に青色を混ぜたものを塗っているのか、あるいは本当は淡い青色ではないのか、どちらなのだろうと少し気になりました。

番組に出品された掛け軸の「春宵花影」も、墨の濃淡の美しい月と桜の絵でした。東京国立近代美術館の「春宵花影」のほうが写実的で華やかなのだと思いますが、馬屋原さんの掛け軸の「春宵花影」はそれよりもシンプルで、鋭くて、幻想的な雰囲気の作品でした。どちらもすてきな作品でした。

「雨後」という写実的な葡萄の絵も、没骨の手法で描かれた墨画の作品で、とてもきれいでした。

菱田春草の作品は、当時には朦朧体と批判的に呼ばれていたそうなのですが、松林桂月の作品にも、番組で紹介されていたものを見た限りでは、朦朧体のような作品が多くあるようでした。初期の頃の作品は「南画」だったのかもしれませんが、「春宵花影」のような作品は、そもそも「南画」とは呼ばないのかもしれません。

「鑑定団」の番組については、昨年に出品された「国宝級の曜変天目茶碗」の真贋の疑惑がまだ晴らされてはいないことは気になります。鑑定士の方たちみんなで鑑定するコーナーも今はないですし、石坂浩二さんがいなくなった頃からさらに番組の質や方針が変わったのでしょうか。疑惑の残るままでは、他の鑑定も、過去の鑑定も、怪しく思えてしまいますし、その天目茶碗を鑑定した中島誠之助さんを含め出演している鑑定士の方と番組の名誉のためにも、今の番組の中で再鑑定をして疑いを晴らしたほうが良いように思えます。その結果、本物ではなかったとなっても、それはそれで良いのではないでしょうか。そして、一種の長寿の美術番組として、(私は毎週の放送を欠かさずに見ることができているというわけではないのですが)これからも続いていってほしく思います。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム