映画「クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」

テレビ朝日の「ドラえもん クレヨンしんちゃん 春だ!アニメだ! 3時間アニメ祭り」の中で地上波初放送された映画「クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」を見ました。

2016年の4月に公開された映画です。第24作目の「クレヨンしんちゃん」の映画だそうです。「地上波初放送」と書かれていましたが「ノーカット放送」とは書かれていなかったので、昨夜の映画は「ノーカット放送」ではなかったのかもしれません。

私は昨年にこの映画の予告編を見た時、夢がテーマになっているというのを面白そうに思え、また脚本が劇団ひとりさんだと知って、どのような「クレヨンしんちゃん」になっているのだろうと少し気になっていたので、放送されると知って見るのを少し楽しみにしていました。

巨大な魚に飲み込まれる夢を見た春日部市民たちが悪夢にうなされるようになった頃、ふたば幼稚園に春日部に引っ越してきたばかりの貫庭玉サキ(ぬばたまさき、声・川田妙子さん)という少女が転入してくるのですが、サキは幼稚園の誰とも友達になろうとはしませんでした。夜の夢の中では自由に夢を叶えることができるため、大人も子供も自分の夢を楽しむようになっていたのですが、大原ななこや水着の女性たちと遊ぶ夢を見る野原しんのすけ(声・矢島晶子さん)やアイドルになる夢を見る桜田ネネ(声・林玉緒さん)や漫画家になる夢を見る佐藤マサオ(声・一龍斎貞友さん)や石そのものになる夢を見るボーちゃん(声・佐藤智恵さん)と同じ夢の中で選挙に出馬する夢を見ていた風間トオル(声・真柴摩利さん)は、みんなの夢が何者かに吸い取られているのを目撃し、さらにその夢の中にサキがいないことに気付き、ねねちゃんの説得によりカスカベ防衛隊の一員になったサキが春日部市民の悪夢に関係しているのではないかと考えるようになりました。

春日部市民の悪夢は、母親のサユリ(吉瀬美智子さん)を事故で亡くしてから毎晩悪夢にうなされるようになったサキのために、サキの父親で夢研究者の貫庭玉夢彦(安田顕さん)が開発した他人の夢の力を吸い取る機械によって引き起こされていました。夢彦は、娘を救うため、娘の悪夢を人々から奪った楽しい夢の力(ユメルギー)で緩和しようとしていたのでした。そのことに気付いたネネちゃんもマサオくんもボーちゃんも風間くんも次第に悪夢にうなされるようになり、絶対に嫌いにならないと約束したサキから離れて行ったのですが、いつも一人でいるサキが寂しそうなことを気にしていたしんのすけは、サキから事情を聞いてサキが母親からお守りとして渡されたぬいぐるみの「獏」に悪夢を食べてもらうことを思い付き、野原みさえ(声・ならはしみきさん)と野原ひろし(声・藤原啓治さん)が夢の中の夢彦の行動を抑えている間、妹のひまわり(声・こおろぎさとみさん)や白馬のようになった犬のシロと一緒に獏を探しに行くことにしました。

母親の死にショックを受けたサキは、自分がバカだったせいで母親は死んだと思い込み、自分を恨んでいるであろう母親の幽霊の悪夢に苦しんでいました。しんのすけたちと友達になり、その夢を奪い続けることに心を痛めるようになったサキは、父親の発明した装置を破壊し、意識を失って悪夢の世界に閉じ込められました。装置がなくても深いところでつながっている無意識でサキと同じ夢を見ることができると信じるしんのすけは、そのことを夢彦に訴え、そして、カスカベ防衛隊のねねちゃんとマサオくんとボーちゃんと風間くんと同時に眠り、サキと同じ夢の中に入って、サキを悪夢から救おうと奔走するのでした。

原作は臼井儀人さんの漫画『クレヨンしんちゃん』です。脚本は劇団ひとりさんと高橋渉さん、監督は高橋渉さんでした。

このような映画だったように思うのですが、とても面白かったです。私は「クレヨンしんちゃん」の映画を全て見ているというわけではなく、見たり見なかったりしているのですが、昔の「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」を好きな私としては、今回の「爆睡!ユメミーワールド大突撃」も良くできた「クレヨンしんちゃん」の映画だったように思いました。

貫庭玉サキの名字の「ぬばたま」は「夜」の枕詞ですが、夢が舞台の物語になっていたのも良かったですし、それが最終的にいわゆる“夢落ち”などにはならず、サキちゃんの現実を変えることで、サキちゃんが自らの悪夢(マイナス思考や負の感情)を消滅させることなくそれと上手く付き合いながら前向きに生きていくことができるようになっていくというところも良かったです。現実と夢と意識と無意識の話が、自然に展開しているように思いました。

もしも私が幼稚園生や小学生の頃に見ていたなら、映画「ドラえもん のび太の魔界大冒険」のメジューサ(リメイク作品の「のび太の新魔界大冒険~7人の魔法使い~」では美夜子さんの母親の魂だったという謎の設定に変わっていましたが)のようなサキちゃんのお母さんの幽霊の悪夢の場面はトラウマになったかもしれないとも思えたのですが、そのような場面のある作品のほうが心に残る作品になるようにも思います。

親子愛や兄弟愛や友情は、「クレヨンしんちゃん」には毎回描かれている要素だと思うのですが、今回の作品の中でも、父親が子供を守ろうとする愛情と母親が子供を守ろうとする愛情とが、丁寧に描かれていました。母親が死んだのはバカだった自分のせいだ、母親は自分を恨んでいるはずだと思い込んで苦しんでいたサキちゃんの悪夢に入ったみさえさんが、あなたは私の夢なのだと、亡くなったサユリさんに代わって母親の子供への思いを伝えていた場面もとても良かったです。

夢には、眠っている間に見るようなタイプの夢と、将来の希望としての夢とがありますが、今回の映画ではその両方の「夢」が扱われていました。理想の夢の場面も楽しく思えたのですが、アイドルになって「グッド・ナイト・ベイビー」という昔の歌を歌うネネちゃんが熱愛発覚を疑うファンに脅かされるようになったり、売れっ子漫画家になったマサオくんが編集者に追い詰められるようになったり、ボーちゃんが犬の散歩コースの道端の石ころになったり、立候補して選挙カーで演説をしていた風間くんが選挙に出馬できるのは25歳になってからだと母親に叱られて叩かれたりという、夢が現実に潰されていく場面も面白く思えました。単純に話として面白いということでもあるのですが、大人の作った現実が子供の夢を少しずつ潰していく、子供の夢の芽を少しずつ摘んでいくというようなことは実際にもあることのように思えて、それをこの映画の中で描いているということが、何というか、誠実であるようにも思えました。

「クレヨンしんちゃん」の映画には著名人がそのまま登場しているということもよくあるように思いますが、この映画には、元カリスマホストの城咲仁さんや俳優の大和田獏さんや芸人のとにかく明るい安村さんが登場していました。例えばその時人気の芸人さんが登場する場合、数年後にこの映画を見た人がその人を見て誰だか分からないようになったらどうするのだろうということを、私は勝手に少し心配に思えてしまうところがあるのですが、この映画の中のとにかく明るい安村さんの場面は、とにかく明るい安村さんだということを知らない人が見たとしても、映画の中のしんちゃんが怯えていたように、悪夢的だろうと思いました。

映画の物語が子供向けに作られ過ぎていないようなところも良かったのだと思いますし、感動の押し売りというか、登場人物がやたらに泣くタイプの「“泣ける”映画」という雰囲気になっていなかったところも、私としては好きでした。コメディーとシリアスのバランスが良く、しかも全体的にはシンプルで、優しくて、すっきりとした気持ちで見終えることができました。

自分自身の夢の大きさが玉のように目に見える形になって現れるというのも、面白いなと思いました。現実的ではない夢でも良いのなら、私の夢も?ユメミーワールドでは少しは大きめの玉として現れるかもしれません。

手書きのような線の絵の雰囲気も良かったですし、オープニングの粘土のアニメもかわいかったです。エンディングテーマのメツメイシの「友よ ~ この先もずっと…」という曲も、映画に合っているように思えて良かったです。最後、カスカベ防衛隊の一員になったサキちゃんは、大学で夢の研究を続けることになった父親の関係で外国に渡っていたのですが、父親と一緒に元気に暮らしているようで、映画の中のことなのですが、ほっとしました。

映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」がとても良いので、その作品と「クレヨンしんちゃん」の他の作品とをつい比べてしまうのですが、夢の話だった「ユメミーワールド」も良かったように思います。私には何となく無くても良いように思えるギャグの部分もあったのですが、サキちゃんの個性も良かったですし、父と娘の話というのも「クレヨンしんちゃん」としては新鮮な印象でしたし、ともかく、最後まで楽しく見ることができて良かったです。
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