ドラマ「女の勲章」

先日の土曜日の夜9時からフジテレビで二夜連続で放送されていた、「山崎豊子ドラマスペシャル 女の勲章」を見ました。録画をしておいたものです。

大阪の船場の裕福な羅紗問屋の娘として生まれ育ち、小さい頃から和服よりも洋服が好きだった大庭式子(松嶋菜々子さん)は、女中のキヨ(江波杏子さん)と暮らしていた戦後のある日の市場で、焼失した実家にあったミシンを見つけ、これからは婦人服の時代が来ると考えて洋裁教室を開き、教室の優秀な生徒だった津川倫子(ミムラさん)と坪田かつ美(相武紗季さん)と大木富枝(木南晴夏さん)、そして東京大学のフランス文学科を卒業したという船場の布問屋の四男の八代銀四郎(玉木宏さん)と共に、甲子園の地に設立した聖和服飾学院の院長として、関西デザイナー協会の会長の安田兼子(浅野ゆう子さん)の反感を買いながらも、ファッション業界の寵児となっていくのでした。

脚本は浅野妙子さん、演出は西浦正記さんでした。音楽は得田真裕さん、主題歌は薬師丸ひろ子さんの「追憶」という曲でした。ナレーションは加賀美幸子さんでした。

原作は、私は未読なのですが、山崎豊子さんの小説『女の勲章』です。1961年に発表された作品で、過去にもフジテレビでドラマ化されたことがあるのだそうです。

第一夜の物語の冒頭の式子さんの子供時代の辺りはとても良かったのですが、次第に野心家の銀四郎さんを巡る式子さんと倫子さんとかつ美さんと富枝さんの愛憎劇のようになっていき、欲望が渦巻く展開に私は見ていて少し疲れたような気持ちにもなってしまっていたのですが、第二夜の物語の、式子さんが銀四郎さんの恩師である東京大学教授の白石庸介(長塚京三さん)への自身の恋心を追い求め始め、経営のことしか頭にない銀四郎さんの束縛から逃れようとする辺りからは、またこのドラマを面白く思えるようになっていました。

長塚京三さんの演じる白石さんは、式子さんの父親のような存在でもあったのかもしれないとも思えたのですが、世俗的なものや人からは距離を置きたいと思っている人でした。白石さんの少し浮世離れしているような清潔なところが、銀四郎さんに振り回される経済的な活動に疲れていたお嬢さまの式子さんには、救われるような要素になっていたのかなと思います。

玉木宏さんの演じる野心家の銀四郎さんは、とても嫌な感じの人物だったのですが、白石さんの台詞にあったように、確かに「卑劣だが逞しい」人物でした。白石さんは、式子さんも結局は銀四郎さんのように逞しく生きてきたと思うに至ったようだったのですが、式子さんにとっては、白石さんにそのように思われたことは辛いことだったのではないかと思いました。

原作の小説を未読の私は、フランスのメーカーと提携したファッションショーを成功させるという栄光と白石さんに去られるという挫折を味わった式子さんが、その当日の自分の服を着せてペンダントを下げたドレスフォームの首に刺した裁ち鋏で、服飾学院の未来を弟子の3人の女性たちに託した後、実家の家紋を模したステンドグラスの光が差し込む講堂で首を突き刺して自殺をするという展開に驚き、悲しい気持ちになりました。

でも、その一方で、白石さんへの恋を叶えることができなかった式子さんが銀四郎さんの言う通りに割り切ってファッション業界の第一人者として仕事を重視して生きていくというほうを選ばなかったことは、船場のお嬢さまの式子さんらしい結末でもあったように思えました。

式子さんが亡くなった時、私には高齢のキヨさんが生きていたかどうかよく分からなかったのですが、もしも生きていたならキヨさんは悲しい思いをしただろうなということも少し思いました。

式子さんの死も服飾学院の宣伝に上手く利用していた銀四郎さんは、現実的で下衆で卑劣な逞しい商人でしたが、小さい頃から憧れていた式子さんへの思いをあのような形でしか表現することができない人でもあったようでした。莫大な借金があるというのは式子さんを白石さんから引き離して日本へ連れ戻すための嘘だったということなので、実際に服飾学院の経営は銀四郎さんの手腕によって成功していました。

昭和2年頃の船場の場面で式子さんの母親を演じていたのは元宝塚歌劇団の壮一帆さんでした。式子さんは正妻の娘だったようで、挨拶に来ていた父親の愛人を月船さららさんと愛加あゆさんが演じていました。

『女の勲章』のモデルは、大阪府出身のファッションデザイナーの上田安子さんだそうです。日本で初めてファッションショーを開いた方なのだそうです。

2011年のNHKの連続テレビ小説の「カーネーション」(とても好きで見ていました)は、「コシノ3姉妹」(コシノヒロコさん、コシノジュンコさん、コシノミチコさん)の母親の小篠綾子さんの人生を実話に基づいて描いた物語ということでしたが、同じ大阪の上田安子さんは、そのドラマの中には登場していなかったような気がします。実際には、何か接点はあったのでしょうか。

私は過去の「女の勲章」のドラマを未見なのですが、今回の二夜連続スペシャルドラマの「女の勲章」は、衣装もすてきでしたし、劇中の音楽も、とても良かったです。何となくなのですが、「魔法少女まどか☆マギカ」(このアニメ作品も好きで見ていました)の曲に少し似ていたような気もしました。今作の愛憎劇の部分は私には少し苦手にも思えたのですが、全体的には、良いドラマになっていたように思います。第一夜で挫折せずに、最後まで見ることができて良かったです。
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