映画「美女と野獣」(2014年)

日本テレビの「金曜ロードSHOW!」の枠で地上波初放送されていた映画「美女と野獣」を見ました。

現在映画館ではアメリカのディズニーのアニメーション映画「美女と野獣」(1991年公開)を実写化した作品が公開されているということですが、今回の映画「美女と野獣」はフランスとドイツの合作で、2014年に公開されたものだそうです。

『美女と野獣』は、何度も映画化や舞台化がなされている有名な作品ですが、もともとは1740年にフランスのヴィルヌーヴ夫人という人によって書かれた「異類婚」の民話のような物語なのだそうです。そのためか、昨夜の「金曜ロードSHOW!」では、「発祥の地が贈るもうひとつの『美女と野獣』」と言われていました。脚本と監督は、クリストフ・ガンズさんです。

物語は、ある家の母親が子供たちを寝かしつけるために絵本を読み聞かせる場面から始まっていました。ベル(レア・セドゥさん、声・渋谷はるかさん)には3人の兄と2人の姉がいて、豪商の父親(アンドレ・デュソリエさん、声・塾一久さん)と7人で暮らしていたのですが、ある日、父親の帆船が荒れた海の底に沈み、父親が破産してしまいました。

田舎暮らしを始めた一家の中ではベルだけがその生活を生き生きと楽しんでいました。放蕩三昧の兄たちや婿探しに忙しい姉たちや仕事に忙しい父親とゆっくり暮らすことができると思っていたからでした。しばらくすると、沈んだ帆船が発見され港に引き上げられたという知らせが入り、家族は街に戻ることができると喜んだのですが、ベルは家族で暮らすことができなくなると寂しく思っていました。長男と港へ出かけることにした父親が末娘のベルにお土産は何がほしいかと訊くと、ベルはバラの花がほしいと答えました。

長男と港に到着した父親は、積み荷の中の宝を取り戻せると思っていたのですが、借金のために全てを差し押さえられてしまいました。それを知った長男は父親を置いてどこかへ行ってしまいました。父親は長男を捜しに酒場へ向かったのですが、そこで、長男にお金を貸しているというペルデュカス(エドゥアルド・ノリエガさん、声・斉藤次郎さん)の一味に取り囲まれ、追われることになりました。ペルデュカスたちから逃げた父親は、馬に乗って家に帰ろうとして、吹雪の森の中で遭難してしまいました。一緒に崖から落ちた馬は足を挫いてしまいました。一人で森の中を歩いた父親は、灯りに気付いてその方へ進み、バラの花の咲く蔓に囲まれた古城にたどり着きました。寒さをしのぐため廃墟のような古城の中に入った父親は、用意されていたような豪華な食事に手を付け、大きな箱の中の宝飾品の一部を持ち帰ることにしました。誰かの手当てを受けて傷を治していた馬と一緒にお城の庭へ出た父親は、美しい赤いバラの花の木を見て、末娘のベルがバラの花がほしいと言っていたことを思い出し、一輪を手折りました。その時、命より大切なバラの花を盗んだなという声がして、バラの大木の上から野獣(ヴァンサン・カッセルさん、声・山路和弘さん)が飛び掛かってきました。

バラの花を誰にあげようとしたのかと訊かれた父親は、何よりも愛しい私の娘にあげようとしたと答えました。野獣は、バラの花の大小は命だ、家族と別れるために1日だけ与える、馬の耳に「何よりも愛しい」と言えば馬がこの森へ案内する、もしも戻って来なければ家族を一人ずつ殺すと言い、父親を家に帰しました。家に帰った父親は、森で起きたことを子供たちに話しました。父親の話を聞き、父親が持ち帰ったバラの花を見たベルは、父親がバラを盗んだのは自分が頼んだせいだと責任を感じ、家族を失うことを恐れました。そして、急いで支度をすると、兄たちが止めるのを遮って家の外へ飛び出し、父親の代わりに馬に乗って一人で森へ向かいました。お城へ連れて行って、と馬に頼んだベルが、「何よりも愛しい」と呟くと、イバラが開いて道ができました。翌朝、古城に到着したベルは、顔や手などがバラの棘で傷だらけになっていたのですが、お城の中の泉に手を浸すと傷がすっかり治りました。用意されていたドレスを着て食堂に降りたベルは、その席に現れた古城の主から、城の中は自由に見ていいが、日が暮れてからは絶対に外へ出てはいけない、夜7時には必ず食卓に着けと命じられました。ベルは、グラスに映った主が野獣の姿であるのを見て驚愕しました。

部屋に戻ったベルは、自分によく似た人形がプレゼントされていることに気付き、喜んで飾っていました。ベルは、夜、夢を見るようになりました。夢の中では、王子の帰りをお城で待っていたプリンセス(イボンヌ・カッターフェルトさん、声・甲斐田裕子さん)が、仲間たちや犬たちと共に鹿の狩猟を楽しんで戻って来た王子に、金の女鹿は殺さないでと頼んでいました。王子たちは、金の矢で金色の毛の女鹿を狩ろうとしていました。朝、ベルは、庭で見かけた鹿を追ってバラの森の奥に入り、金の矢の刺さった白い石像がプリンセスの姿にそっくりであることに気付きました。

ある夜、ベルは、塔の上の部屋で野獣が自分で狩った獣を食べる姿を目撃しました。ベルは、家族に会わせてほしいと野獣に頼み、その代償としてダンスを踊ると約束しました。ダンスを踊ったベルは、家族に会わせてほしいともう一度頼みました。しかし、野獣は、自分は約束を守ったことなど一度もないとベルの願いを無視しようとしました。野獣を突き放したベルは、王子の服なんか着てぞっとする、あなたは人の服を着た獣だと怒り、お城の外へ飛び出しました。草原のような庭を走り抜けて、オーロラの輝く下の凍った湖の上を渡ろうとしました。その時、追って来た野獣に追いつかれてしまいました。氷の上でベルを捕まえた野獣は、ぞっとすると言ったベルをさらに脅そうとしたのですが、野獣の重みで氷が割れ、ベルは冷たい水の中に落ちてしまいました。野獣は、とっさに爪をベルのドレスにかけ、ベルを引き揚げて助けました。

お城の部屋のベッドの上で目を覚ましたベルの手元には、赤いバラの花が置かれていました。野獣は、ベルを一度家族の元へ帰すと約束しました。喜んで支度を始めたベルは、夜の7時には帰ると約束しました。野獣は、泉の水を入れた小瓶のペンダントをベルに渡し、何かあったら使うよう言いました。帰って来なければ、と言う野獣に、家族皆殺しなのでしょうとベルが言うと、野獣は、俺が死ぬと答え、夜明けに発つよう言って部屋を出て行きました。

赤いドレスを着て田舎の家に戻ったベルは、真っ先に父親の元へ向かいました。病床の父親は、瀕死の状態でした。父親の隣で眠ったベルは、夢を見ました。夢の中では、王子たちが森に現れた金の女鹿を狙っていました。仲間や犬たちと金の女鹿をお城の庭に追い込んだ王子は、女鹿を目がけて金の矢を放ち、矢の刺さった女鹿はその場に倒れました。狩りの成功に喜んだ王子が女鹿に駆け寄ると、女鹿は人間の女性に姿を変えました。金の矢が刺さって倒れていたのは、プリンセスでした。瀕死のプリンセスは、自分は森の精であり、人間の愛というものを知りたくて人間の姿になることを許してもらい、王子と出会って愛を知ったと打ち明けました。驚く王子の頭上には、暗雲が立ち込めました。プリンセスは、自然界の神である父親に、王子を許してほしいと頼んだのですが、娘を殺された父親は激怒し、王子に呪いをかけました。王子を野獣の姿に変え、呪いを説くことができるのは人間の女性だけだか、誰もお前を愛さないだろうと神は言いました。

目を覚ましたベルは、野獣に手渡された泉の水のことを思い出し、瀕死の父親に飲ませました。すると、父親はすぐに元気になりました。ベルに呼ばれた二人の姉たちも父親が元気になったことを喜びました。しかし、そこに長男と次男の姿はありませんでした。ベルのコートの赤い宝石のブローチを見て驚いた上の二人の兄たちは、古城に宝石を取りに行くことにしたのですが、ベルを裏切ってはいけないと止める三男を殴って気絶させて家の外に出た時、占い師のアストリッド(ミリアム・シャルランさん、声・早川舞さん)を連れたペルデュカスたちに見つかってしまい、ペルデュカスたちを古城へ案内しなければいけなくなりました。

ベルの馬に乗り、森の古城へ案内させた兄たちは、ペルデュカスたちと一緒にお城の食べ物を盗み、宝飾品を盗んで帰ろうとしました。その様子を見張っていた野獣は、巨大な土人形たちを操り、庭を歩いて帰ろうとしていた盗賊たちを次々と叩き殺していきました。

3番目の兄から事情を聞いたベルは、時計を見て帰りの時間が迫っていることに驚き、その兄と森の古城へ急ぎました。森のイバラは古城への道を閉ざしていたのですが、ベルが彼の元へ帰してと森の神に祈ると、道が開きました。再び傷だらけになりながら森の奥へ進んだベルは、巨人に襲われている兄たちを助けに向かいました。赤いドレスを来たベルの姿を見た野獣は、巨人の動きを止めました。ペルデュカスは、ナイフを取り出し、ベルを人質に取りました。刃を当てられたベルの首から血が流れました。ベルは隙を見てペルデュカスから逃げたのですが、ペルデュカスを殺そうとした野獣を、あなたは人間だったのではないかと止めました。狡猾なペルデュカスは、アストリッドが石像から取ってきた金の矢を野獣に突き刺しました。すると、土の巨人は崩れ始め、盗賊たちはその瓦礫に襲われました。ペルデュカスは、転んだアストリッドを助けずに逃げようとして、呪われました。地面から這い上がってきた植物に身体を乗っ取られ、苦しみながら死んでいきました。

ベルと3人の兄たちは、襲い掛かってくるバラの蔓と戦いながら、金の矢に倒れた野獣を古城の中へ運びました。そして、ベルの指示で、瀕死の野獣を部屋の泉の中に入れました。野獣が生き返らない理由を考えたベルが金の矢を引き抜くと、野獣ははっと生き返りました。泉に浮かび上がった野獣が、怖くなくなったらいつか愛してほしいとベルに言うと、ベルは、もう愛していると言いました。ベルの涙が泉に落ちると、呪いは解けて、野獣は王子の姿に戻りました。

絵本の物語は終わりました。子供たちを寝かしつけようと絵本を読み聞かせていた母親は、ベルでした。兄や姉たちは街へ出て暮らした、王子は花屋になったと答える母親に、子供たちは、家と同じだと言いました。家にはベルの父親がいました。ベルが出た夕方の庭にはバラの花が咲いていて、その小道の向こうでは、帰ってきた夫が手を振っていました。

昨夜に見た映画「美女と野獣」は、このような物語でした。

「地上波初放送」ではあったようなのですが、「本編ノーカット放送」とは言われていませんでした。少なくとも、最後のエンドロールの部分はカットされていました。

私は、ディズニーのアニメーション映画の「美女と野獣」は見たことがあるのですが、原作の『美女と野獣』は未読です。なので、原作と比べることはできないのですが、今回の2014年のフランス版の映画「美女と野獣」も、とても面白かったです。

ディズニーのアニメーション映画の物語とは、全くと言うわけではないかもしれないのですが、かなり違っていました。ベル(ベルという名前は、そもそも本名ではなく、「美女」という意味のあだ名なのだそうです)は、アメリカの映画では、村で変わり者と思われている科学者の読書好きの一人娘でしたが、今回のフランスとドイツの映画では、商人の6人の子供の末娘でした。

母親を亡くしているというところは同じなのですが、母親を亡くしていて、父親の影響である運命に導かれていくというところや、性格の悪い兄や姉がいるというところは(この映画の兄や姉はそれほど性格が悪いというほどではなかったかもしれませんが)、「シンデレラ」の話にも何となく通じるところがあるような気がしました(あるいは、「おとぎ話」には意外とよくある設定なのかもしれません)。

ディズニーの映画では冒険物語でもあったように思うのですが、この映画は、冒険物語というよりは、サスペンスのような印象でした。映像も美しくて、ファンタジー作品であるということ以上に、何というか、幻想的な雰囲気がありました。衣装もすてきでした。現代風でもあるのですが、パリのルーヴル美術館の展覧会で見ることができるような絵画に描かれている当時の洋服に似ているようにも思えました。お城の中にいた子犬の妖怪?のような存在は少し謎でしたが、背が高過ぎない野獣の姿は、リアルでした。音楽も、全体的に静かで良かったような気がします。

王子を愛していた森の精が、呪われた王子を救うため、森に現れて捕らえられたベルに夢を見せて、王子の過去を教えて導くというようなところも良かったです。森の精の化身だったプリンセスの愛情が深いです。

現代でも何度も作られる「美女と野獣」は、多くの人に愛される、よくできた作品なのだなと改めて思いました。完全版を見たわけではないのですが、私もこの映画を見ることができて良かったです。
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