「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」最終回

フジテレビのドラマ「CRISIS(クライシス) 公安機動捜査隊特捜班」の最終回(第10話)を見ました。最終回は15分拡大版で放送されていました。

脱柵してテロリストとなった元自衛隊の特殊部隊員の結城雅(金子ノブアキさん)が仕掛けた爆弾の爆風に倒れていた警視庁公安部公安機動捜査隊特捜班の班長の吉永三成(田中哲司さん)と大山玲(新木優子さん)、樫井勇輔(野間口徹さん)、田丸三郎(西島秀俊さん)、稲見朗(小栗旬さん)は、少しして意識を取り戻しました。結城さんの爆弾は最初から特捜班のメンバーを殺傷するつもりのものではなかったようでした。公安総務課長の青沼祐光(飯田基祐さん)は、特捜班に別の事務所を用意しました。

閣僚の個人情報を要求した結城さんのUSBメモリーに遠隔操作ウイルスを仕込んでおいたと言う大山さんは、無事だったパソコンで結城さんの動きが現れるのを待ち、結城さんが千葉の九十九里のキャンプ場にいることを突き止めました。夜、特捜班のメンバーとそこへ向かった稲見さんは、特捜班に気付いて動きを止めた車の前に拳銃を構えて立ち、躊躇うことなく急発進して来る結城さんの車を見据えていたのですが、田丸さんに阻止され、車をそのまま行かせてしまいました。田丸さんは、自分を罰するために死のうとするなと、稲見さんを叱りました。

翌日、警察庁警備局長の鍛冶大輝(長塚京三さん)と話していた青沼さんは、結城の標的を知っているのなら特捜班に教えたほうがいいのではないか、結城の逮捕が先ではないかと訊いていたのですが、鍛冶さんは、黙って見ていろと、騒動を楽しんでいました。

田丸さんは、昨夜のことを謝る稲見さんに、お前は俺だ、俺の前でお前を死なせるようなことはできないと伝えました。結城さんのパソコン内のデータを調べた大山さんは、結城さんがある女性と幸せそうに並んでいる写真を見つけました。田丸さんは、女性をどこかで見たことがあると思い出し、1年前の東京駅のホテルの爆発事故の新聞記事を探すと、そこ事故に巻き込まれた被害者の一人だった女性・若尾悠美さん(菊池真琴さん)の写真が掲載されていました。その頃、結城さんは、内閣総理大臣の岸部正臣(竜雷太さん)の家の向かいのマンションの部屋で弓を構え、手作りの矢で家から出て来た岸部首相の左肩を射抜きました。深夜のニュースでは、岸部首相が自宅で転倒して左肩鎖骨を骨折したと報じられました。

翌朝、岸部首相に呼ばれてその自宅を訪問した鍛冶さんは、岸部首相から、昔だったら切腹ものだと嫌味を言われた後、1年前のことが関係しているのかと訊き、使い勝手のいい連中を飼っているんだってなと言われ、あることを頼まれていました。結城さんはわざと矢の位置を外して岸部首相を殺さなかったと考えていた稲見さんと田丸さん、そして大山さんと樫井さんと吉永さんの5人は、鍛冶さんに呼び出され、急遽帰国することになった岸部首相の長男の岸部大介の警護に就くよう命じられました。

岸部首相の長男の大介さんは、過激派組織に感化されてその仲間となり、1年前に東京駅の爆破を計画したが、実行する直前になって怖じ気付き、爆弾の入った鞄をカフェに置いて逃げ出したということでした。カフェ店員の若尾悠美さんやお客さんたちはその爆弾の爆発に巻き込まれて死傷し、首相の家族が事件に関わっていたことを知った警察は、ガスの爆発による事故として公表したようでした。

大山さんは、国家権力から自由でなければいけない警察が権力者の罪をもみ消したということかと呆れていたのですが、警護をするのかしないのかと鍛冶さんに訊かれた5人は、大介さんの警護の役目を引き受けることにしました。空港に到着した大介さんを記者たちから守りながら車に乗せて移動し、しばらく走った後、バイクで追跡して来るマスコミを振り切ろうと一旦停車したのですが、最後までついて来たバイクの記者は、結城さんでした。結城さんは、田丸さんに爆発物の入った鞄を投げて吹き飛ばし、大山さんをヘルメットで殴って倒し、樫井さんを人質にして銃口を向けながら大介さんを連れてビルの中へ退避する稲見さんを睨み、向かって来た吉永さんと戦うために樫井さんを撃つと、吉永さんを蹴り倒しました。そして、ビルのガラス扉を撃ち割って侵入し、エレベーターの示す5階へ向かいました。

5階に到着した結城さんは、稲見さんの気配を感じて銃口を向けて待っていました。同じようにエレベーターのそばに隠れて待っていた稲見さんは、結城さんに飛び掛かりました。左腕を撃たれた稲見さんは結城さんの拳銃を落とし、拳銃を落とされた結城さんは短刀を取り出して稲見さんに斬りかかり、稲見さんは警棒で応戦しました。道具を失うと、二人は素手で戦い始めたのですが、その時拳銃を拾った大介さんが結城さんに銃口を向けました。結城さんは、あっという間に拳銃を奪い返すと、大介さんを撃とうとしたのですが、殺す価値もない奴だと稲見さんに殺人を止められました。

1年前、特殊部隊員だった結城さんは、国家にとって不都合なものを見つけたら採取するようにとの命令を受けて、婚約者の悠美さんの勤務先でもあった東京駅のカフェの事故現場へと向かい、結城さんの手作りの指輪をはめている悠美さんの遺体を発見し、その後、爆発事故が首相の家族による事件が隠蔽されたものだったと知って自衛隊を脱柵し、真犯人への復讐を考える日々を送っていたということでした。

外で倒れていた田丸さんと大山さんと吉永さんは意識を取り戻し、撃たれた樫井さんも、胸ポケットの金属製の製図用の道具?のために怪我を免れていたようで、少しして起き上がりました。自衛隊時代に上層部からの命令で無実の人を射殺したという過去の行いに苛まれていた稲見さんは、結城さんに、俺とお前は同じだ、お前は俺が解放すると言って、結城さんに向かって銃弾を撃ち込みました。銃弾は結城さんの後ろの壁を撃ち抜き、結城さん自身は無事でした。稲見さんは、お前は死んだ、でも生きろ、俺が羨ましくなるくらい生きることを楽しめと、結城さんに伝えました。

稲見さんたち5人は、大介さんを保護し、逮捕した結城さんを連れて外へ出たのですが、その直後、結城さんは何者かに撃ち殺されてしまいました。外にはたくさんの警察官が待機していて、大介さんを急いで車に乗せて連れて行きました。遠くに鍛冶さんが立っているのを見た田丸さんは、このために俺たちはおとりにされたのだと気付きました。特捜班の5人は、去って行く鍛冶さんの姿を見つめていました。

鍛冶さんは、岸部首相から、長男を餌に結城を誘き出し、その後の処分は任せると頼まれていました。警備局長の鍛冶さんへの結城さんの射殺命令は、結城はこのままでは国家の危機となり得ると考えていた岸部首相によって「分かるな」と暗に指示されていたものの、岸部首相が明言したわけではなく、鍛冶さんが「忖度」をして決めたということのようでした。

青沼さんが、あの精神状態で任務に就かせるのは危険では、と心配していた特捜班のメンバーは、それぞれの場所にいました。樫井さんは、警視庁を標的とした爆弾の設計を始めていました。大山さんは、平成維新軍のような人たちとのチャットの画面を覗いていました。吉永さんは、土岐田公安部長(奥田達士さん)の話をぼんやりと聞いていました。田丸さんは、本当の愛国者になりませんかと以前に声をかけて来た男性と教会で会っていました。稲見さんは、女性に電話をかけようとした手を止め、部屋の隅で頭を抱えて苦しんでいました。

そして、「緊急ニュースが入りました」と深夜のニュース番組のアナウンサーが伝える場面が暗転して、ドラマは終わっていました。

原案と脚本は金城一紀さんです。演出は鈴木浩介さんでした。

この国と国民のために戦っていると思っていたことが実は国家と権力者のためだったと気付いた彼らは、こうしてテロリストとなっていった、というような結末は、確かに衝撃的でした。最後のニュースは、特捜班のメンバーの中の誰か、あるいは彼らと似たような思いをして苦しんでいた誰かが起こした事件に関わるものについての報道だったのかなと思えるような終わり方でした。

15分拡大版で放送されていましたが、引き延ばされているように思えるようなところもなく、展開も構成も見事というか、この作品らしい最終回になっていたように思います。

婚約者を首相に家族に殺され、脱柵をして真犯人への復讐の機会を待っていた結城さんと特捜班との戦いの場面、特に仲間だった稲見さんとの、拳銃と拳銃、警棒と短刀、素手と素手の死闘のような格闘の場面の緊迫感や迫力がすごかったので、犯人である首相の息子の大介を殺そうとする結城さんを、殺す価値のない奴だと止めた稲見さんが、生きろと説得し、結城さんがその思いを受け入れた場面は感動的でした。そして、稲見さんたちと外に出た結城さんが警察に射殺されて倒れる場面には驚きましたし、このために俺たちはおとりにされたのだと気付き、逃げるように立ち去って行く鍛冶さんの姿を見つめる特捜班の5人の絶望感や虚脱感が、ドラマを見ている私にもよく伝わってくるように思いました。

前回の第9話を見た時にも思ったことではあるのですが、この国と国民のためと思って行っていたことが実は国家と権力者(為政者)のために行っていたことだったと気付いて苦しんでいる公務員の方は、実際にはどのくらいいるのでしょうか。

学校法人・加計学園の加計孝太郎理事長の「腹心の友」の安倍首相が議長を務める国家戦略特区の制度を利用して、愛媛県今治市が無償譲渡したという土地に大学を建設する加計学園にだけ獣医学部の新設が認められていたということに、国民のために公平公正でなくてはいけない行政が官邸や内閣府によって歪められ、真実が国民に隠されていると感じた前文部科学省の事務次官の前川喜平さんは、文部科学省の職員が野党に示し、与党の松野文部科学大臣や菅官房長官が出所不明の怪文書だと主張していた当時の関連文書を、本物だと認めて告発し、記者会見を開いて官邸の行政への介入や圧力の存在を訴えていましたが、昨夜の報道によると、文書に関して再調査を行うとした文部科学省の義家文科副大臣は、加計学園問題に関して、(例によって「一般論」と断りつつも)文書を流出させて内部告発をした者(公益通報者)は国家公務員法違反として処罰の対象になり得るという趣旨の発言して、文科省の職員の方たちを脅かしていました。公益通報者を守ると言うことができなかった義家文科副大臣にとっての「公益」の「公」とは、国民のことではなく、国家や為政者のことなのかもしれません。

妻が安倍首相夫人の友人だった学校法人・森友学園の籠池前理事長は、安倍首相やその仲間の人たちに見限られたために国家によって守られることはありませんでしたが、友人である安倍首相がトップダウンで進めるという国家戦略特区での獣医学部の新設が文科省によって認められる過程に何か不正が行われていたかもしれないと疑われている加計学園の加計理事長や、詩織さんという女性への性犯罪で高輪署では逮捕令状まで出されていたのに突然一転して不起訴処分となったという安倍首相夫妻の友人の元TBS記者の山口敬之というジャーナリストは、国家によって守られています。

公共放送だというNHKは4つもテレビの放送の電波を持っているのに、安倍首相に近しい学園の問題や、性犯罪の刑罰をこれまでよりももう少し重くする条文を盛り込んだ刑法改正案や、戦前・戦中の時の治安維持法のように警察権を拡大し国民を今まで以上に監視するための「共謀罪」が創設される組織犯罪処罰法改正案についての審議や答弁が行われる国会中継を、なぜか放送していません。

国家権力から自由でいなくてはいけない警察が権力者の罪ともみ消しただけでしょうという、大山さんの台詞も良かったです。

戦前に為政者が国民への国家主義や軍国主義のための教育に利用したものとして戦後に否定した「教育勅語」を園児に暗唱させていた森友学園事件からも分かるように、安倍政権の人々は「明治憲法」下の日本や戦時中の日本の社会の在り方に憧れている?ようなのですが、その時の為政者たちが日本を結果的に敗戦させたということの責任については、どのように考えているのでしょうか。昨日の報道によると、2005年に起きた、乗客106人と運転士が死亡して562人が重軽傷を負ったというJR西日本の福知山線の脱線事故に関して、業務上過失致死傷の罪で強制起訴されていたJR西日本の元会長の井手正敬被告と南谷昌二郎被告、元社長の垣内剛被告に、裁判所から無罪の判決が下ったということでした。TBSの「NEWS23」の取材で、自宅のドアホンから答えていた井手元会長が、今は淡々とした気持ちだと答えていたことに少し驚きました。遺族からは、誰も責任を負わないのはおかしいと、個人の刑事責任だけでなく企業の責任を追及して処罰する「組織罰」(法人罰)の導入を求める声が上がっているそうなのですが、東日本大震災の時に福島第一原子力発電所の事故を起こした東京電力の責任も罪として問われていないですし、日本は組織のトップが責任者として責任を取らないことが多いのだなということを、改めて思いました。

特捜班の5人が「この国の未来のために」何をするのかは分かりませんが、特捜班を利用した鍛冶さんは、自分が裏切った特捜班の5人がどのように変わっていくかまでは考えていなかったのでしょうか。何かが起きた時には、テロリストと認定して殺せばいいと思っていたのでしょうか。ドラマの印象では、「国家の危機」に備える警備局長の鍛冶さんは、「この国の未来のために」、自分が育てた特捜班の中からテロリストが育てばいいという風には思っていないようでしたが、あるいは心のどこかでは、そのように思っていた部分もあったのでしょうか。

フジテレビのドラマらしくないというか、WOWOWとの共同制作のドラマのようなというか、そのような印象のドラマでもありました。映像も映画のようで、演じている俳優さんたちのアクションのすごさもあったのですが、物語の事件を見ていて辛く思えるというか、過酷に思える部分もありましたし、本当の国家の危機とは何か、というこのドラマのテーマを、私もいろいろ考えることができたところが特に良かったのだと思います。特捜班のメンバーが事件を解決しても悩み続けるというところも、良かったように思います。最後まで見応えのある良いドラマでした。
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