「宮沢賢治の食卓」第1話

WOWOWプライムの「連続ドラマW」の新ドラマ「宮沢賢治の食卓」の第一話「幸福のコロッケ」を見ました。

第一話は、大正10年の夏、東京の本郷の部屋で売れない小説を書いたり、近所の喫茶店から流れて来るレコードの音楽を聴いたり、商店街のコロッケを食べたりしながら過ごしていたある日、いつも気にかけている病気がちな妹のトシ(石橋杏奈さん)の大病の電報を受けて急いで岩手の花巻の実家に帰った宮沢賢治(鈴木亮平さん)が、母親のイチ(神野三鈴さん)の様子からトシの病の知らせは嘘だと知るも、賢治の性格を理解しない頑固な父親の政次郎(平田満さん)から長男として家業の質屋を継ぐよう迫られる中、貧しい農夫の吉盛(柳沢慎吾さん)とその子供たちと出会い、本当の「幸(さいわい)」を分かち合うことの喜びを知っていく、という話でした。

今回のその他の主な登場人物は、ドラマの語りも務めていた宮沢家の次男の清六(井之脇海さん)、次女のシゲ(畦田ひとみさん)、三女のクニ(荒田悠良さん)、花巻高等学校の教師を務めていたトシさんの知り合いの音楽教師の藤原嘉藤治(山崎育三郎さん)でした。

私は、昨年に生誕120年を迎えた宮沢賢治(宮澤賢治)の作品(小説や詩など)を好きで読んだことはありますが、その実家の質屋のことや家族のことをよく知らなかったので、宮沢賢治の良き理解者である最愛の妹のトシさんの他に姉妹がいたということも、トシさんが学校の先生だったということも知りませんでした。「永訣の朝」の詩のイメージのためか、私は、トシさんは子供の頃に亡くなったものと勝手に思い込んでいたのだと思います。

父親の営む質屋からお金を借りることができなかった子供たちのために、賢治さんは、井戸掘り?を手伝ったり、口に出して言うことができない感情を手紙に書いて伝えることができるからと男の子に字を教えたりしていたのですが、ある日、自分のチェロを質に入れて借りたお金を吉盛さんに渡そうとして、吉盛さんに気持ちだけで十分だと断られてしまいました。吉盛さんは、昔賢治さんの父親の政次郎さんがお酒を持って訪ねて来て一緒に飲んだということを話して、幸せを分かち合うとはそういうことで、賢治さんのしていることは施しだと言いました。

父親に叱られ、人は天に与えられた道を歩まねばならないと諭されてショックを受けた賢治さんは、質屋にならなければいけないのかと思い詰め、トランクの中の小説の原稿を燃やそうとしていたのですが、この小説は兄そのものだ、これを燃やしたら兄が燃えてしまう、とトシさんに止められました。小さい頃から不思議な兄と接してきたトシさんは、兄の世界観が誰かの幸せの役に立つと信じていました。

その帰り道、大根を売りに行く途中の吉盛さんの姉弟に遭遇した賢治さんは、男の子から手紙を渡されました。手紙には、「せんせい ありがとうございました」と書かれていました。“幸せの分かち合い”に感激した賢治さんは、ある日トシさんから、農学校の開学の知らせのチラシを渡され、訪ねて来た先生から教員に欠員が出たから兄に来てほしいと頼まれたということを伝えられました。はっとした賢治さんは、帰宅してすぐの時にも、東京で食べたコロッケを再現して家族に作っていたのですが、両親を呼び出すと再びコロッケを作って出し、一つのコロッケを半分に割って両親に渡しました。そして、教師になりたいと父親に言い、これこそが自分の天に与えられた道なのではないかと、父親を説得しました。トシさんの加勢もあり、父親は、賢治さんの願いを認めることにしたようでした。コロッケを食べて、悪くないと呟いていました。おいしいとは言わないようで、トシさんやイチさんは笑っていました。

兄の賢治さんに教師の仕事が見つかったのは、実は、医者から教師の仕事を続けるのは無理だと言われた妹のトシさんが、藤原さんに頼んでいたからでした。賢治さんは、妹に支えられながら稗貫農学校の教師になるという新しい人生を歩み始めていたのですが、物語のこの秋頃の時は、トシさんが亡くなる一年前の出来事だということでした。

ドラマの原作は、私は未読なのですが、魚之目三太さんの漫画『思い出食堂』の『宮沢賢治の食卓』です。

脚本は池田奈津子さん、監督は御法川修さんでした。音楽はサキタハジメさんでした。

予告編を見て、私も見るのを楽しみにしていたドラマだったのですが、第1話はとても良かったです。鈴木亮平さんの演じる明るい宮沢賢治さんも良かったですし、石橋杏奈さんの演じる兄思いで意志の強い妹のトシさんも良かったです。

このように言ってはいけないのかもしれませんが、何というか、地上波で放送されても良いドラマであるように思えました。宮沢賢治の「食卓」とは何だろうと気になっていたのですが、このドラマでは毎回賢治さんが東京で食べたおいしい料理を再現するのかもしれません。衣がサクサクとしたじゃがいものコロッケがおいしそうでもあり、ドラマを見ていて、みんなで食卓を囲むことはみんなと幸せを分かち合うことなのだなと思いました。“料理ドラマ”というわけではないようでしたし、自分の思う幸せをみんなと分かち合いたいと願う賢治さんの素朴で純粋な気持ちが真っ直ぐに描かれた良いドラマであるように思いました。

第2話のサブタイトルは「夢のシチュウビーフ」でした。昔は「ビーフシチュー」ではなかったのでしょうか。教員の櫻小路ヤス(市川実日子さん)など、新しい人物も登場するようでした。私の家のテレビはWOWOWに加入していないので、無料放送の第1話しか見ることができないのが残念なのですが、少なくとも第1話は、とても面白かったです。脚本も、演出も、音楽も、映像も良かったです。エンドロールには、一般の方の撮影した岩手県の風景写真が何枚か出ていたのですが、その岩手の自然風景もとてもきれいで、宮沢賢治はその写真の中の風景と同じくらいの、あるいはもっと美しい様々な光景をいつも見ていたのかもしれないなと思いました。
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Author:カンナ
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