「正解するカド KADO: The Right Answer」第9話と第10話

東京MXテレビやBSフジで放送されている「正解するカド KADO: The Right Answer」という東映制作のアニメ作品の、第9話と第10話を見ました。

カドの中の異方存在のヤハクィザシュニナ(声・寺島拓篤さん)から話があると言われた真道幸路朗(声・三浦祥朗さん)は、ヤハクィザシュニナの出した小型のカドを通ってこの世界と異方の境へ出ると、ヤハクィザシュニナから異方の説明を受けました。ヤハクィザシュニナによると、異方とは3次元の37乗の世界ということでした。情報処理能力が高い分、情報不足に陥ってしまった異方は、処理するための情報を得るため、繭の糸のように情報を紡ぎ出す存在を生み出すことを思い付き、知的存在としての人間を作ったということでした。

物質の質量や時間を操ることができるらしい「ナノミスハイン」を使って異方の説明を受けた真道さんは、ヤハクィザシュニナとは神なのかと驚くのですが、ヤハクィザシュニナはそれを否定しました。そして、ヤハクィザシュニナは、一緒に異方へ行かないかと真道さんを誘ったのですが、戸惑って返事に詰まって固まる真道さんの様子を見ると、早まったなと呟き、自分から異方の話を聞く前の真道さんをこの世界に残すために、話を聞いたこれまでの真道さんを消そうとしました。

カドの外では、「サンサ」を見て目覚めたようにカドを分析しようとしていた科学者の品輪彼方(声・釘宮理恵さん)に、徭沙羅花(つかいさらか、声・M・A・Oさん)が、ヤハクィザシュニナの力なしでカドの中に入る方法を考えてもらおうとしていたのですが、真道さんがヤハクィザシュニナによって消されようとしたその時、「操のようなもの」と沙羅花さん自身が言っていた右手の薬指の指輪が割れ、次の瞬間には沙羅花さんはカドの一部を壊して侵入し、ヤハクィザシュニナの前に立ち塞がって真道さんを守りました。ヤハクィザシュニナだけではなく、沙羅花さんも「異方存在」だったようです。

前回の第8話の最後のヤハクィザシュニナにも少しそのような雰囲気の表情があったのですが、今回の第9話から急にヤハクィザシュニナが人間的になり、しかも悪役のようになっていて、さらに徭沙羅花が地球人の真道さんを救う異方存在のヒーロー(女性なのでヒロインかもしれませんが)的存在に変身するとか、ヤハクィザシュニナが真道さんを異方に誘っていたことも含め、いろいろ唐突な感じがしてしまいました。

今回の話によると、人間は異方が高速に処理するための情報をほぼ無限に(無尽蔵に?)得るための装置やプログラムとして作り出されたものということでしたが、そうであるのなら、3次元の37乗という世界がどのような世界なのかとか、異方存在のヤハクィザシュニナが神なのかどうかということはともかくとしても、異方は決して万能の存在ではないということになるように思います。

私としては、この作品のヤハクィザシュニナには、人間的なものを超越したキャラクターであってほしかったように思います。そもそも、登場した頃の異方存在は光のようであって、人の形でさえありませんでした。

異方存在が人とコミュニケーションを取るために人の形を取るという部分は良いとしても、欲望ような、人間的な心理を持っているかのようなところまで人に似ているというのは、私には少し残念に思えます。

それとも、むしろヤハクィザシュニナのほうが、この世界にいる間に、人間のことを学ぶうちに、人間の感覚を身につけてしまったということなのでしょうか。日本政府の犬束構造総理大臣(声・中博史さん)との交渉を望んだり、言野匠(声・桐本拓哉さん)たちメディア関係者を利用したりしていたのも、人に「正解」を出してもらうためだったように思うのですが、ヤハクィザシュニナが「ナノミスハイン」で真道さんを操ることができるように人類を操ることができるのなら、ヤハクィザシュニナにとっては政治的な交渉など最初から不要だったのではないかとさえ思えてしまいます。

このままでは、ヤハクィザシュニナは、徭沙羅花さんの考えていたように、「この世界」へのただの「侵略者」ということになってしまいますし、この作品の最初の頃にあった社会派の要素がどこかへ行ってしまいそうでもあります。

第10話は、冒頭から少し特殊な雰囲気でした。過去に遡り、ずっと昔の何もなさそうな白い空間に少しずつ何かが増えていきました。闇ができて、光ができて、この宇宙ができました。「ト」、「ワ」、「ノ」、「サ」、「キ」、「ワ’」は、重力が流れて質量が偏っていく現象を稀有なものとして見つめている長い間、ゆっくりと?会話を続けていました。「異方特異点」に触れたいと言うもの(「ワ」)が現れ、空間の歪みが起こることを気にしつつも、低次元の「繭」の中に入ることになりました。宇宙の中に誕生した惑星の一つの地球の中に生命が誕生し、人類が生まれ、空から降りてきたピンク色の光が植物や哺乳類の中に入りました。そして、現代の24年前の世界になって、日本の東京の下町に、徭家の第2子として長女の沙羅花さんが生まれました。

沙羅双樹の花から名付けられた沙羅花さんは、全ての人は与えられた時間を懸命に生きるのだということを父親に教えられて育ち、心配する父親の反対を押し切ってアメリカのニューヨークへ留学し、国際外交官として帰国し、真道さんと出会いました。そのようなことが、第10話では描かれていました。

カドの中でヤハクィザシュニナに消されそうになった真道さんは、異方存在だった(異方存在に変身した)沙羅花さんに助けられ、異方の情報をほとんど失っているという沙羅花さんを庇ってヤハクィザシュニナに脇腹の辺りを撃たれて失血死したのですが、沙羅花さんの特別な治療を受けて傷を癒しました。

この世界をずっと見つめ続けてきました、というような沙羅花さんの言葉を聞いて、手塚治虫の漫画「火の鳥」のようだなと、何となく思ったのですが、ヤハクィザシュニナが神的存在であるなら、私は人が大好きなんです、と頭に光輪を乗せている沙羅花さんは、天使のようなイメージの存在でしょうか。宇宙人?が地球人として生まれ変わるというところは「W3」のようでもありました。

真道さんの隣でなぜか大きめの白いワイシャツをかけて服を身に着けずに眠っていた沙羅花さんの場面は、私には(このように言ってはいけないかもしれないのですが)少し鬱陶しく思えてしまう場面でしたが、このような展開を好きな方もいるのかもしれません。「正解するカド」は、真道さんと沙羅花さんの普通の恋愛物語の要素もあったのだなと、少し寂しい感じもしました。

一方で、「正解」とは何かと訊く真道さんに、情報の繭として生み出された人類が異方に取り出されることという風に答え、真道さんには自分の意志で異方に来てほしかったと話していたヤハクィザシュニナは、お前は間違っていると沙羅花さんと一緒になって言う真道さんを撃った後、床に広がる流れたばかりの真道さんの赤い血に触れていました。

カドの外では、品輪さんたちが修復されるカドの壁を眺めていたのですが、そこが改めて開くと、ヤハクィザシュニナと共にもう一人の真道さんが外に出てきて、沙羅花さんは異方存在だったといい、沙羅花さんを閉じ込めたという小さな星形を品輪さんたちに見せ、さらにナノミスハインを見せました。それから、政治家やマスコミ関係の人々の参加する日異共同イニシアティブ合同委員会でナノミスハインの説明を行いました。

第10話の最後は、ヤハクィザシュニナがビルの屋上から青空を見上げる場面でした。そのまま静かにエンドロールが流れてきて、いつもとは違うエンディングになっていました。

脚本は野崎まどさんです(崎の文字は可の上が立のものです)。演出は齋藤昭裕さん、田辺泰裕さんでした。

面白いには面白いのですが、方向性が以前よりも分からなくなってきました。謎が増えているのか、減っているのかもよく分かりません。もともとの真道さんのいる空間と、複製されたもう一人の真道さんのいる空間は、パラレルワールドにはなっていないようですが、真道さん自身はパラレルの存在になっているということなのかなとも思いました。

ヤハクィザシュニナは、カドで変換して異方へ連れて行く人間は一人でいいと真道さんに話していたので、異方と感性の近い日本人の中の誰でもいいというのなら、むしろ真道さんではなく、物理学者の品輪さんのような人に相談したほうが早いのではないかというような気もしたのですが、でも、どうしても、真道さんがいい、真道さんでなくてはいけない、ということなのでしょうか。

この作品の世界には今のところ未来はないのですが、時間を操ることもできるのなら、もっと未来の人に異方のことを打ち明けたのなら違ったのかなとも思います。異方存在のヤハクィザシュニナが今の世界に現れた理由というか、必然性のようなものがよく分かりません。異方の能力の多くを失っているという沙羅花さんへのヤハクィザシュニナの攻撃手法が、高次元的なものではなく、3次元的だったところも少し気になりました。

カドと共に羽田空港に現れたヤハクィザシュニナは、かつての異方存在仲間が人間として生まれた沙羅花さん(指輪はいつから着けていたのでしょうか。いつ自分が異方存在であることを知ったのでしょうか)のいる時と場所であることを知っていて、今の日本の東京に現れたのでしょうか。私としては、社会派SFのようだった物語が真道さんと沙羅花さんの恋愛ものにはならないでほしいように思いますし、例えば「魔法少女マギカ☆まどか」のキュゥべえのように、ヤハクィザシュニナが悪役になるということにはならないといいなと思います。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム