映画「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」

2016年に公開されNHKのBSプレミアムで放送された、イギリスのBBC制作のドラマシリーズの特別編の、映画「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」を見ました。

私はBSプレミアムで放送されていたドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」のシリーズを好きで見ていたので、この映画が放送された時にも嬉しく思っていたのですが、ドラマの劇場版というのは日本の場合はあまり成功していないような印象があるので、「シャーロック」の場合は大丈夫だろうかと、少し見るのを怖く思っているうちに、何となく録画をしておいたままになってしまっていました。それが先日、来月の7月に「シーズン4」となる新作の三作が放送されるということを知り、改めて再放送もされるそうなのですが、昨年の5月に録画をしておいたままになっていたものを今更ながら見てみることにしたのです。(映画は2016年公開ということですが、冒頭のプレミアムシネマの字幕には、「2015年 イギリス」と出ていました。)

映画(吹き替え版です)は、「シーズン3」の第3回「最後の誓い」の、親友のジョン・H・ワトソン(マーティン・フリーマンさん)とその妻で外国の諜報部員だったメアリー・ワトスン(アマンダ・アビントンさん)を守るために新聞社社長のマグヌセンを殺したことでイギリスを出ることになり、兄のマイクロフト・ホームズ(マーク・ゲイティスさん)とワトスン夫妻に見送られて飛行場を飛び立ったシャーロック・ホームズ(ベネディクト・カンバーバッチさん)が、その直後の、イギリス中のテレビに死んだはずのジム・モリアーティ(アンドリュー・スコットさん)の姿が映し出されるという出来事のために呼び戻されたところの続きから始まり、1895年のヴィクトリア朝のイギリスのロンドンの世界の、第二次アフガン戦争に軍医として従軍して負傷して帰国したジョン・ワトソンがベイカー街の221Bでシャーロック・ホームズと暮らし始めるという物語に変わっていました。

探偵のホームズと医者で作家のワトソンは、スコットランドヤードのレストレード警部(ルパート・グレイヴスさん)から、白いウェディングドレス姿でベランダに立ち2丁の銃で道行く男性たちに向かって銃弾を撃ち続けていたエミリア・リコレッティ(ナターシャ・オキーフさん)が、そのまま銃口を銜えて自殺をした結婚記念日の夜に阿片窟に現れ、夫のトーマス・リコレッティ(ジェラルド・キッドさん)を銃殺したという事件について訊かされ、自殺をした妻が幽霊となって現れて夫を殺した事件の真相を探ることになりました。

霊安室でホームズは、男装の?フーパー(ルイーズ・ブリーリーさん)に案内されて、鎖で巻かれて保管されていた、急に右手の指に血が付いていたというエミリアの遺体を確認しました。「私にも鋭い分野がある、ホームスにも鈍い分野がある」とフーパ―に話していたワトソンは、エミリアは敗血症を患っていたのではないかと診断していました。その頃、ワトソンの妻のエミリーは、マイクロフト・ホームズに呼ばれて密かにある任務を命じられていました。

数か月後、ワトソンは妻のエミリーと暮らすためにホームズの221Bの部屋を出ていたのですが、忙しいワトソンは妻とすれ違いの生活を送っていたようでした。朝電報でホームズに呼び出されたワトソンは、二人でディオゲネスクラブへ向かい、「完全沈黙」のルールを守って受付の人と手話で話しながら、食べ過ぎで太っているホームズの兄のマイクロフトと会いました。マイクロフトは、「敵」が近付いているが正しいのは向こうだと弟に教え、レディ・カーマイケルと会うよう言いました。

221Bを訪ねて来たレディ・カーマイケル(キャサリン・マコーマックさん)は、マイクロフトと知り合いだった夫のサー・ユースタス・カーマイケル(ティム・マッキナリーさん)のもとにある朝オレンジの種が5つ届けられ、それを見た夫が死だと呟き、エミリア・リコレッティの幽霊に地獄へ連れて行かれると恐れるようになった、という話をして、夫を助けてほしいと二人に相談しました。

幽霊について考えるワトソンと幽霊など存在しないと断言するホームズは、ユースタスが殺される事態を阻止するため、カーマイケルの屋敷へ急ぎ、夜の間庭の小屋から屋敷を見張ることにしたのですが、リコレッティの幽霊が窓辺に現れたように見えた直後、夫人の叫び声が聴こえ、二人で小屋を飛び出して屋敷のガラスを割って中へ入りました。自分たちの割ったのとは別のガラスの割れる音が聴こえていたホームズは、廊下に倒れている、胸に短剣の突き刺さったユースタスの遺体を発見しました。到着したレストレード警部は、ホームズに、遺体にメモが残されていることを教えました。メモには「MISS ME?(会いたかった?)」と記されていました。ホームズが兄のマイクロフトに呼ばれて会いに行くと、兄は血の付いたそのメモを持っていて、リストを渡すよう言いました。ホームズはリストを渡さず、モリアーティが会いに来るということを考えていました。

ハドスン夫人(ユーナ・スタッブスさん)は、2日間瞑想し続けているというホームズを心配していました。ホームズは、次々と浮かんでくる小さな新聞記事を手に取って眺め、悪魔が来るのを待っているのだと言いながら注射を見ていたのですが、すると、そこへライヘンバッハの滝に落ちて死んだはずのモリアーティ教授が現れました。モリアーティは、人間は埃のようなものだと言っていつもの狂気を見せながら、持っていた拳銃を銜えて引き金を引き、自らの後頭部を破壊してもなお生きている姿をホームズに見せ、人間は落ちるから死ぬわけではない、地面に着くからだと言いました。

そこで、現代の場面になりました。着陸した飛行機の中で精神の迷宮の中にいたシャーロックの意識が戻りました。シャーロックは、夢の中で解決しかけていた、昔のリコレッティの花嫁の事件の真相にたどり着くため、再び迷宮の中に潜りました。

1895年のロンドンのホームズは、コカインを使ったことをワトソンに注意されて目を覚ますと、メアリーが危険だと言って、二人で今は使われていないという古い教会へ向かいました。そこにいたメアリーは、ホームズと驚くワトソンを中へ案内し、秘密結社の儀式が行われている様子を見せました。ホームズは、儀式に割って入ると、エミリア・リコレッティの事件の真相を語り始めました。

エミリアには初めから協力者がいました。派手な格好でベランダから銃を乱射したエミリアは、自殺をしたように見せかけ、阿片窟へ向かって夫を殺害し、その後自殺をして、協力者が用意したエミリアによく似た女性の遺体と入れ替わっていたのですが、それは自分の夫と自分を裏切った元婚約者、男性社会に対する復讐のためでした。秘密結社を作っていた協力者は、男性社会の中で参政権も与えられずに虐げられている、主婦を始めとする女性たちでした。

ホームズがユースタスを殺すに至ったリコレッティの事件の真犯人はレディ・カーマイケルだと推理した時、そこにウェディングドレスを着たリコレッティの花嫁が現れたのですが、それはモリアーティでした。モリアーティは、戸惑うホームズに、ここに現実はない、これは君の夢の中だと言いました。

現代のシャーロックは、自分の推理を確実にするため、リコレッティの墓を掘り返すことにしました。シャーロックは、エミリア・リコレッティのお墓にはエミリアの遺体と入れ替わったもう一人の遺体が治められていると考えていました。他にやるべきことがあるだろうとワトソンが怒ってメアリーと帰った後、シャーロックは兄とレストレード警部補との3人で墓地を掘っていたのですが、夜になって深いところから出て来た棺の中に入っていたのは、朽ちて白骨化した一人の女性の遺体でした。シャーロックがその下をさらに掘り進めようとしていた時、忘れない、というエミリアの歌声が聴こえ、ミミズのたかるエミリアの遺体が棺から出て穴の中のシャーロックの上に落ちてきました。

1895年、ホームズは滝の手前の崖の上に倒れていて、目を覚ますと、そこにはモリアーティがいました。モリアーティは、自分をホームズの弱点だと言い、精神の宮殿の中でホームズと一緒に死ぬことを望んでいました。しかし、モリアーティがホームズと一緒に滝壺に落ちようとしていた時、そこへワトソンが助けに現れました。ワトソンは、銃口を向けてモリアーティから親友のホームズを引き離し、ホームズと二人でモリアーティを滝壺へ突き落しました。そして、どのように戻るのかと訊かれたホームズも、初歩的なことだよとワトソンに答え、滝壺へ向かって飛びました。

シャーロックは、飛行機の中で目を覚ましました。そしてすっきりとした様子で、兄に言われて取り出した薬の?リストを破り捨てて飛行機を降りました。メアリーに続いて降りようとするワトソンに、兄は、弟のことをよろしくと頼み、弟が破ったメモを拾って手帳に挟んでいました。手帳には「赤ひげ」と、昔の犬の名前が書かれていました。

ヴィクトリア朝のロンドンの、221Bの部屋に戻ったホームズとワトソンの二人は、ホームズが失敗した事件でもある今回のエミリア・リコレッティの事件の題名を考えていて、ワトソンが「忌まわしき花嫁」と名付けていました。パイプをふかしながら、夢で見たことのいくつかをワトソンに話して聞かせていたホームズは、僕は時代を超える男だと笑っていました。

脚本はスティーヴン・モファットさんとマーク・ゲイティスさん、監督はダグラス・マッキノンさんでした。

原案はアーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズの思い出』の「マスグレーヴ家の儀式」ということなのですが、ドラマの時と同じく、他の物語の要素もいろいろ混ざっていたように思います。

ドラマの特別編を映画化したものだということなのですが、確かにそのような印象でした。ドラマのシリーズを好きで見ていた私としては、最後まで楽しく見ることができました。21世紀のロンドンを舞台にしたドラマの「シャーロック」の物語と、19世紀のロンドンを舞台にした小説の『シャーロック・ホームズ』の物語とが同時に描かれているというところも、面白く思いました。幽霊や骸骨の出てくるホラーの部分も良かったですし、婦人参政権運動のことが扱われていたようなところも良かったように思います。

ただ反対に、コナン・ドイルの探偵小説は読んだことがあるけれどベネディクト・カンバーバッチさん主演のドラマシリーズは見たことがないというような方にとっては、映画としてはよく分からない作品になっていたのではないかなと思います。例えばテレビ朝日のドラマ「相棒」の劇場版のように、やはりドラマを「シーズン3」まで見ている人のための映画なのだろうと思います。

ドラマ「シャーロック」のシャーロックとワトソンは、初めから名探偵シャーロック・ホームズと医師のジョン・ワトソン博士であって、シャーロック・ホームズやジョン・ワトソンの子孫というような存在ではないので、今回の映画の中の過去の19世紀のロンドンの世界も、本当の過去の世界というよりは、シャーロックの精神の迷宮(夢)の中の世界だったのだろうと思いますが、花嫁事件はシャーロックのいる現代を遡る本当の過去の世界で起きていた事件ということだったので、二つの過去がシャーロックの中で同時に存在していたというか、そのようなところも、シャーロック自身の「迷宮」を表していたのかなと思いました。現代でも人気のある名探偵シャーロック・ホームズは、まさに「時代を超える男」なのだと思います。

あと、家の埃のほとんどが実は人の皮膚の剥がれたものだということを、モリアーティとホームズが話していましたが、私は埃の多くは洋服などの繊維なのではないかと思っていたので、少し驚きました。

夜のカーマイケル家の庭の小屋の中で、ワトソンが、どうして独りでいるのかということをホームズ(懐中時計にアイリーン・アドラーの写真を入れているのをワトソンに見つかって少し慌てていたようでした)に問い詰めていた場面などは、このドラマらしい場面でもあったように思います。「高機能社会不適合者」を自称するシャーロックと、そのようなシャーロックを人間的な存在にするワトソンとの友情が魅力的です。兄のマイクロフトが弟を心配するという兄弟愛の要素も、今回の映画(特別ドラマ)の中ではこれまでのドラマの時よりも増えていたような印象がありました。

ともかく、何となく見ることができずにいた、映画「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」を、私も最後まで楽しく見ることができて良かったです。感想を書くことができるかどうかは分からないのですが、今度放送されるという新作の「シリーズ4」のドラマも楽しみです。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム