「正解するカド KADO: The Right Answer」第11話と第12話(最終回)

東京MXテレビやBSフジで放送されている「正解するカド KADO: The Right Answer」という東映制作のアニメ作品の、第11話と第12話(最終話)を見ました。

世界各地で一般の人々がナノミスハインに直接触れることのできるイベントが開かれ、人々は次々と異方感覚を身に着けていったようでした。もう一人の異方存在の徭沙羅花(つかいさらか、声・M・A・Oさん)によって外の世界とは別次元の空間に匿われていた真道幸路朗(声・三浦祥朗さん)は、異方感覚を身に着けた人類は異方に適応するための変換率が上がるとの説明を受けていました。

沙羅花さんは、異方存在を封じ込めることができるという星形の隔絶体を真道さんに見せ、人間が使うためにはフレゴニクスの除去が必要だと言いました。

総理官邸で開かれていたナノミスハインの説明会では、犬束構造内閣総理大臣(声・中博史さん)もナノミスハインに触れて使い方の練習をしていました。理論物理学者の品輪彼方(声・釘宮理恵さん)も、ヤハクィザシュニナ(声・寺島拓篤さん)から教えられて、ナノミスハインを使ってワムを動かすことができるようになっていたのですが、ヤハクィザシュニナと複製された真道さんと別室に移動するために廊下を歩いていた時、別空間に拉致されました。本物の真道さんと沙羅花さんが連れてきたのでした。真道さんは、品輪博士に協力を求めました。その後同じように拉致した花森瞬(声・斉藤壮馬さん)にも協力を求めました。

真道さんは、ヤハクィザシュニナと対等に交渉するため、知り合いの刑部鍍金へ行き、工場長や従業員に事情を説明して、かつて真道さんと開発したというスーパーメタルという金属を使った、人の手によるフレゴニクスの発生・無効化装置の制作を依頼しました。真道さんは、ヤハクィザシュニナに処理しきれない情報を与えるため、ヤハクィザシュニナの予期しないことを起こそうと考えていました。

犬束総理大臣は、羽深清鷹内閣官房長官(声・斎藤志郎さん)とカドが現れてからの人類に起きた激動の3か月間を振り返りながら、願わくばこの進歩が次の世代の幸福につながるようにと呟いていました。

鍍金工場では、品輪博士の計算により、装置が完成しました。腕の動きで出力を制御するという、一対のワムを二対使ったスーツ型のもので、フレゴニクスを緩衝し合わせて打ち消すというような仕組みの着るタイプの装置でした。真道さんはそれを着て動きを確かめていました。品輪博士に何に使うのかと訊かれた真道さんは、ヤハクィザシュニナを止める、ヤハクィザシュニナは人を異方に連れていこうとしているのだと答えました。それを聞いた品輪博士は何か心を動かされた様子でした。

沙羅花さんから事情を教えられた花森さんは、真道さんが自分一人で異方存在に挑むことを決めて、しかも死ぬかもしれないということに落ち込んでいたのですが、後は頼むと真道さんに念を押されていました。その頃、カドの中ではヤハクィザシュニナが真道さんのコピーを倒して消去していました。狭山湖上のカドは赤茶色に変色して膨張し、関東地方を飲み込み始めました。ヤハクィザシュニナは、沙羅花さんと現れた真道さんに、会いたかったと伝えました。

カドは壊れながら膨張し続け、日本全体を飲み込もうとしていました。犬束総理は災害緊急事態を発令し、自衛隊も準備を始めました。ヘリコプターに乗っていたジャーナリストの言野匠(声・桐本拓哉さん)は、報道すべきものは良いか悪いかではなく事実だ、それが俺たちの正解だと、カドの取材を続けていました。

ヤハクィザシュニナは、人類の特異性とは、全くの同一性のものに別の価値を与える力、1しかないものに1以上の情報を与える力を持っていることだと、真道さんに話し、その人類の未曾有の力はどうやら君と私の内側から生じているらしい、この特異な力を解明するために異方に来てくれないかと懇願しました。

しかし、真道さんは、異方には行けないと、その願いを拒否し、異方に興味はあるがこの世界を愛している、ここには大切なものがあると答えました。ヤハクィザシュニナは、君は君だ、何者にも替えられない、掛け替えのない個人だ、強制的に変換しても意味がない、それをすれば君の心が冒される、真道幸路朗という生き方が冒される、私はそれを望まない、と真道さんに言いながら泣いていました。ヤハクィザシュニナは、とても人間的な存在に変わっていました。

ヤハクィザシュニナは、真道さんを異方に連れていくことを諦める代わりに、手を光の剣に変えて、真道さんを殺すことにしました。真道さんの胸部を突き刺したヤハクィザシュニナは、壊れたフレゴニクス発生・無効化装置を目にし、品輪博士に渡した超空間につながる新しいワムの力がフレゴニクスを中和したと告げ、予測したとおりになったと真道さんに言いました。そして、済まないと謝りながら、真道さんの息の根を止めました。

日本を覆うように広がっていたカドの中で、ヤハクィザシュニナが真道さんの遺体を安置していると、そこに自動車が現れました。車から降りてきたのはセーラー服の少女と少し年を取った花森さんで、少女はナノミスハインで時間を16年経過させた真道さんと沙羅花さんの娘の「ユキカ」だということでした。

地球人と異方存在の娘のユキカさんは、フレゴニクスは異方とこの宇宙をつないだ時に生じる「そご」だから万能ではなく、異方と宇宙の理解が完成しているならフレゴニクスは必要ないのだとヤハクィザシュニナに言い、ヤハクィザシュニナを倒しました。

ユキカさんは、私は人類と異方存在の特異点であり、あなたより高度な存在だとヤハクィザシュニナに言い、進歩とは途中だと思うことだと伝えました。君と同じだな、真道、と真道さんの遺体に手を伸ばしたヤハクィザシュニナは、ユキカさんに消されました。カドにも穴が開き、ゆっくりと消えていきました。犬束総理は、国民の安全確保の徹底を指示していました。

真道さんの遺体のそばに立ったユキカさんは、そうだね、お父さん、彼奴はそんなに悪い奴じゃなかったよ、と「情報を越えたもの」(魂のようなものでしょうか)に向かって呟きました。

1か月後、犬束総理大臣は記者会見を開いていました。ひと月が経ちましたが異方からの再交渉はありません、カドは消失し、ワムは電力を失い、サンサで得た異方感覚は失われ、ナノミスハインも消滅しました、しかし全てが失われたわけではありません、それは異方が存在しているという事実です、今度は人類が自らの足でヤハクィザシュニナに会いに行こうではありませんか、と演説をしていました。

16年後の?花森さんはそのまま現代に残ったようなのですが、ユキカさんがどうなったのかは描かれていませんでした。ただ、最後、沙羅花さんのいた部屋には、三羽の折り鶴とユキカさんのものと似たセーラー服がありました。

脚本は野崎まどさんです(崎の文字は可の上が立のものです)。演出は田辺泰裕さん、渡辺正樹さんでした。ナレーションは、俳優の上川隆也さんでした。

「正解するカド」は、全12話の作品でした。謎が広がっていくような前半がとても良かったということもあり、連続のアニメ作品自体を久しぶりに見ていた私には、寂しいというか、少し残念にも思える後半の、第11話と最終話でした。

異方存在のヤハクィザシュニナが人間的になり、人間らしい感情を剥き出しにするような人物になってしまったというところが私には特に残念に思えた点ではあったのですが、真道さんと沙羅花さんの恋愛もののようになっていた展開も、私には残念に思えました。

沙羅花さんは、当初は社会派SF作品のように思えていたこの物語の中では、少し浮いているというか、いかにもアニメ作品の中に登場する女性らしい女性であるようにも思えていたのですが、回を重ねる毎に私には、もしも沙羅花さんがいなければ、という風に思えてしまうような人物になっていました。

最終回の冒頭の辺りでの沙羅花さんによる解説の台詞も、真道さんがヤハクィザシュニナに殺されるのを見た沙羅花さんの「いやー!」という叫びも、さらにはその後のユキカさんの登場も、私としては、無いほうが良かったように思えました。

情報を作り出す存在として人類を作り、人類を異方に連れていこうとして地球の中の日本に降り立ち、日本政府の交渉人の真道さんと出会ったヤハクィザシュニナが、友人となった真道さんに固執するあまりに当初の目的を見失い、真道さんの命を奪おうと企てて真道さんの未来の娘に消滅させられてしまう、という展開や結末は、結局、日本政府や国連の描写もあった当初の社会派の要素からは離れてしまったものでした。

ヤハクィザシュニナにとっては、自分がまだ進化の途中の存在なのだと気付いたことが「正解」だったのでしょうか。「正解」したために消滅した(あるいは昇華した)のでしょうか。

最初の頃のヤハクィザシュニナのキャラクターが良かったということもあり、それが次第に欲深い人間のように変わっていくという変化(進化?)には、もったいなく思えてしまうところが大きかったのですが、真道さんを独占したくなっていったヤハクィザシュニナに失敗したところがあるとするなら、それは真道さんが(異方存在だった)沙羅花さんに感化されるということを予測しなかったところだったのかなと思います。

ナノミスハインによって作られた16年後の未来のパラレルワールドの?真道さんは、そこの世界に生き続けているのでしょうか。育ての親の花森さんとユキカさんだけがこの世界に戻って来たのでしょうか。花森さんが「育てた」と主張していたということは、ユキカさんはナノミスハインの時間を操る力で成長したわけではないのだろうと思います。それとも、ヤハクィザシュニナに討たれた真道さんは、時間軸に沿った現在の真道さんではなく、沙羅花さんと未来へ行って(未来の自分になって)子供を生んで戻って来た(あるいはそのまま残った)、未来の真道さんで、スマートフォンの動画の中で0歳児を抱えていた真道さんと同じ真道さんだったのでしょうか。ユキカさんは、異方の力をほとんど失ったという沙羅花さんの娘でありながら、どうして異方と宇宙の特異点になることができたのでしょうか。異方の力というものは、「遺伝」をするものなのでしょうか。描かれていないために、分からないままになっていることも多いです。

最終回で良かったのは、犬束総理大臣(見た目は2000年に亡くなった小渕恵三元総理大臣に似ていたように思います)が最後までしっかりとした冷静で知性的な人物として描かれていたところと、品輪博士の「ちょっといってきます」という置き書きでした。品輪博士は、異方の世界に出掛けたのかもしれません。

この作品には、最後までもっと人類の進化というか、異方の道具や感覚が地球の各国の人々の間で使われていくことの顛末を描いてほしかったようにも思えたのですが、途中までは大きな社会派の話になりそうでありながら、最後は人類の個人的な恋愛(あるいは友愛)の感情の話で終わってしまったというような、惜しい印象が残りました。

異邦存在はこの世界を超越する存在だったはずなのに、この世界が異方存在に影響を与えたところで終わってしまいました。あるいはこの作品の物語は最初から、この世界は美しい、というようなことをこの世界の人たちに伝えるための物語だったのかもしれません。

フルCGの映像には、私にはやはり少しぬるぬるとしたような動きが気になるところもありましたが、全体的にはそれほど気にならずに見ることができたような気がします。カドのフレゴニクス?や風景描写もきれいでした。人類に未知の能力を与えようとした異方存在のヤハクィザシュニナが、最初は人間の形ですらなかったように(光でした)、もっと本当の「神」のようだったら良かったのになと思います。例えば映画「シン・ゴジラ」のような話にもなりそうだったのですが、そうはなりませんでした。この作品には、やはり真道さんと沙羅花さんの恋愛要素(そして娘の登場)は無いほうが良かったように思います。ヤハクィザシュニナが人間的になるまでは、真道さんが沙羅花さんに捕まるまでは、もっと面白くなりそうだった不思議なSFの物語でした。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム