「堂場瞬一サスペンス 『検証捜査』」

一昨日、テレビ東京で放送されていたドラマ特別企画「堂場瞬一サスペンス『検証捜査』」を見ました。夜9時から11時6分頃まで放送されていた2時間ドラマです。

仲村トオルさんの主演の刑事ドラマということで、もしかしたら面白そうかなと思い、予告編を見た時には少し暗い話のような印象でもあったのですが、見てみることにしました。実際には、暗いというよりは、重い話だったのですが、とても良かったです。

神奈川県警で起きた冤罪事件の捜査を検証するために警察庁によって集められた、事件に関係のない他県警の警察官で結成された特命班が活躍するドラマでした。

主な登場人物は、警視庁本部から伊豆大島署へ左遷され妻と子供に家を出て行かれた神谷悟郎(仲村トオルさん)、東京出身の北海道警の保井凛(栗山千明さん)、警察庁の理事官で胃薬を手放せない永井高志(滝藤賢一さん)、大阪府警の監察官の島村丈(角野卓造さん)、福岡県警の皆川慶一郎(平岡祐太さん)、埼玉県警の桜内省吾(深水元基さん)、2年前の戸塚での連続婦女暴行殺人事件の犯人として逮捕され顧問弁護士の石井一樹(六角精児さん)によって無罪を勝ち得た柳原真治(忍成修吾さん)、神谷さんが左遷されるきっかけとなった大森事件の容疑者の酒田誠(野間口徹さん)、犯人の手首を鍵で傷つけたという証言が神奈川県警によって消されていた戸塚事件の被害女性の堺涼子(渋谷飛鳥さん)、柳原を逮捕した神奈川県警捜査一課管理官の重原功(市村正親さん)、柳原の取り調べを行った神奈川県警捜査一課の松崎次弘(金田明夫さん)、神奈川県警捜査一課長の中田誠司(堀部圭亮さん)、警視庁伊豆大島署巡査の谷本(中村靖日さん)、山田と名乗って神谷さんに近付いた神奈川県警の内部告発者の新島剛(高橋光臣さん)、警視庁捜査一課の刑事で神谷さんの後輩の天野大(和田正人さん)です。

原作は、私は未読なのですが、堂場瞬一さんの小説『検証捜査』です。脚本は櫻井武晴さん、監督は内片輝さんでした。

ドラマで扱われている事件が「連続婦女暴行殺人事件」ということだったので、私には、その点では見たくないドラマのほうに入るところなのですが(TBSの「3年B組金八先生」の第6シリーズも、第1話のその場面のために私はそれ以上見続けることを辞めてしまいました)、何となく見始めた今回の「検証捜査」には、その事件が興味本位的に描かれるような場面はほとんどなかったようにも思います。

脚本も構成も演出も映像も音楽も、良かったです。警察対警察、というところは、TBSの先の春ドラマだった「小さな巨人」もそうでしたが、劇画調?だった「小さな巨人」よりもシリアスで、いわゆるハードボイルドな印象の作品でした。

最近の刑事ドラマには珍しくタバコの煙が充満しているような喫煙の場面もありましたが、性犯罪事件の被害者の女性たちや凛さんの苦しみを描いていたこのドラマには、必要な場面だったのだろうと思います。

事件は、東京都の大森で起きた事件と神奈川県の戸塚で起きた事件と二件あり、当初の容疑者は、神谷さんが取調中に激昂してしまった性犯罪の前科のある酒田と戸塚事件で逮捕され無罪となった柳原と二人いたのですが、神奈川県警の柳原の調書から省かれていた、鍵で犯人の手首を切ったという生き残った被害女性の涼子さんの証言を神谷さんと凛さんが得たことから、管轄の異なる二件の事件の共通点と、神奈川県警が戸塚事件で冤罪を作ってまで前科者の柳原を逮捕した真相が少しずつ明らかになっていきました。

重要な資料を神谷さんに送った後の新島さんが、防犯カメラのある場所で自殺をした理由が、私にはよく分からなかったのですが、自殺をしなければならなくなるほど、内部告発をした新島さんは、重原管理官など神奈川県警の幹部によって追い詰められていたということだったのでしょうか。

重原管理官たちが柳原を戸塚事件の犯人として逮捕して冤罪を作ったのは、いつまでも犯人を逮捕できないことへの市民やマスコミからのプレッシャーに耐えることができなかったからのようでした。重原管理官は、警察組織の威信を保とうとして、前科のある柳原を、真犯人ではないと知りながら、戸塚事件の犯人として逮捕していました。柳原のアリバイを証言したアルバイト仲間は証言後に死亡したということでしたが、殺されたのでも自殺をしたのでもなく、病死だったようでした。大森事件の犯人として神谷さんに疑われていた酒田さんは、前科のある人ではあったようなのですが、神谷さんが酒田さんを探し出して会いに行くと、今は妻と子供のために真面目に働く人になっていて、涼子さんの証言した傷もありませんでした。そこで神谷さんは、酒田さんから、酒田さんが神谷さんの元相棒の天野さんに脅されていたことを知り、凛さんが握手をしようと手を差し出してきた天野さんに少し怯えていたようだった理由にも気付いたようでした。

凛さんが、直接会った柳原の雰囲気から性犯罪者だと気付いた時のように、天野さんに怯えていたのは、男性だからということではなく、その人も同じ性犯罪者だったからでした。被害の相談に乗ってくれた女性警察官の勧めで北海道警の警察官になった凛さんの、人を見極める目と“勘”は当たっていたのでした。天野さんが警察官から犯罪者(婦女暴行殺人者)になったのは、天野さんの告白したことによると、大森事件を一緒に調べていた神谷さんが被疑者の酒田さんの言動に激昂して暴力を振るったことで左遷されてしまったことがきっかけだということでした。大森事件の内容に興味を持っていた天野さんは、「タガが外れる」て欲を押さえることができなくなり、大森事件のような事件を戸塚で起こしていたのでした。天野さんの手首には、事件後一人で外出することができなくなった涼子さんの証言通りの傷がありました。柳原は、神谷さんが事件を整理して推理したように、大森事件の犯人でした。

逮捕された直後の雨の中、どうせ死刑になるのだからと、性犯罪者を憎む凛さんに進んで殺されようとしていた、和田正人さんの演じる殺人者の天野さんの狂気の迫力も印象的でした。天野さんは、先輩の神谷さんへの思いも含めて、何か複雑な人物でもあったように思いました。

性犯罪者は殺されるか死刑になるかしてすぐに死ぬべきだと、ドラマの中の凛さんにように私も思ってしまうところがあるのですが、凛さんが犯人を殺しそうでありながらも、苦しみを乗り越えることができないから背負って生きるべきだと神谷さんに説得されて、警察官として最終的には犯人を殺さなかったことに、ドラマを見ていてほっとしました。ドラマの中のことではあるのですが、凛さんのような警察官は必要だと思いました。

特命班のメンバーが最初から冷静にまとまっていて仲違いをしない感じも良かったです。神谷さんが天野さんを殴るのを、天野さんを逮捕した皆川さんと桜内さんは認めていました。

検証捜査に神経をすり減らして胃潰瘍になっていた永井理事官が、治療を終えて戻って来た時に特命班のメンバーに言っていた、人は保身に走ると簡単に罪を犯す、という言葉も良かったです。そうかもしれないなと思いました。

真犯人を捕まえることよりも柳原を犯人に仕立てて逮捕することで、神奈川県警は犯人を逮捕できないという穴を埋めることを優先してしまい、戸塚事件の冤罪を作ってしまった重原管理官は、その後どうなったのでしょうか。重原管理官は、警視庁の刑事の天野さんのことは知らなかったと、神谷さんに話していました。

最後は、北海道に戻る凛さんを神谷さんが見送る場面でした。「今はもう自分を襲った相手を殺そうとは思わないだろう。」と言う神谷さんに、凛さんは、「はい。でも、まだ助けは必要かもしれません。」と答えていました。凛さんと神谷さんの間に少しずつ構築されていた信頼関係が最後の別れの場面ではっきりと描かれている感じも、良かったのだと思います。さっぱりとした終わり方でした。

以前テレビ朝日で放送されていた、仲村トオルさん主演の「アナザーフェイス」という2時間の刑事ドラマの2作もとても良かったのですが、その作品も堂場瞬一さんの小説を基にしたドラマで、監督が内片輝さんでした。私はこの「検証捜査」のドラマの監督が「アナザーフェイス」でも監督を務めた方だということを知らずに見ていたのですが、後で同じ方だと知って、堂場瞬一さんと仲村トオルさんと内片輝さんの組み合わせは合っているのかもしれないなと思いました(「アナザーフェイス」には、特に映像や演出が良かったという印象があります)。

怖く思える場面も少しありましたし、重いテーマの作品でもあったように思うのですが、良い刑事ドラマでした。見ることにして、最後まで見ることができて、良かったです。


ところで、これはこの「検証捜査」のドラマのテーマとも少しつながりがあるように思えることなのですが、昨日には、東京地方検察庁が、女性への集団準強姦容疑で逮捕された東京慈恵医大病院の医師の松岡被告と船橋中央病院の元医師の上西被告(二人は別の事件の公判中でもあるそうです)と、東邦大医学部4年の研修医の柁原被告の3人を不起訴にしたという報道がありました(千葉大学医学部生の3人の事件とは別です)。でも、不起訴の理由はなぜか明らかにされていないそうです。3人は否認や黙秘を続けているということなのですが、それでどうして不起訴処分になるのか、不起訴の理由が明らかにされないのか、奇妙に思いました。菅義偉官房長官の秘書官だった警察官僚の中村格刑事部長(事件当時)が、ジャーナリストの詩織さんに対する、安倍首相の友人のジャーナリストで『総理』という安倍首相を賛美する本の著者の山口敬之氏の性犯罪をもみ消すために逮捕状が出ていたのを取りやめさせ、その後東京地検が嫌疑不十分として不起訴処分にしたということも、まだ忘れてはいけない事件なのだと思います。「検証捜査」では内部告発を行った警察官は自ら命を絶ってしまったようでしたが、実際の警察官や検察官の中にも勇気のある方がいるのなら、国民のためにも、この謎の不起訴処分の背景を告発してほしく思います。


それから、私は昨日に報道を見て知ったのですが、一昨日の九州地方や島根県の豪雨の被害に驚きました。報道では、豪雨の水そのものよりも、山からの大量の流木による被害が大きかったのではないかと言われていましたが、大洪水の被害の様子の映像を見て、また東日本大震災の時の津波のことを思い出しました。テレビの報道番組で見ていても怖く思えたので、現地の方はもっと怖かったのではないかと思います。真冬の寒い時に災害が起きるのも大変だと思いますが、真夏の蒸し暑い時に災害が起きるのは、それ以上に大変だろうと思います。先日の台風は3号でしたし、豪雨はまだ続くのでしょうか。災害はいつ来るか分からないですが、災害が起きた後の行政の対策が迅速に上手に行われるといいなと思います。
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