「列島誕生ジオ・ジャパン」と、アイヌ民族の遺骨のことなど

先日のNHKで放送され、録画をしておいた「NHKスペシャル」の「列島誕生ジオ・ジャパン」の「第1集・奇跡の島はこうして生まれた」と「第2集・奇跡の島は山国となった」を見ました。50分ずつの放送でした。

島国であり山国であり美しい四季のある日本列島の成り立ちを、約3000万年前からの地殻変動や地質の研究から考える番組でした。

他局の有名な作品から取ったようなテーマ名の駄洒落や司会の和久田麻由子アナウンサーのギャグ?など、「NHKらしくない」と言わせるところがとてもNHKらしい演出で、私には、VTRだけのほうが良かったようにも思えたのですが、そのVTRの科学ドキュメンタリーの部分はとても面白く、最後まで興味深く番組を見ることができました。

私は日本列島がアジア大陸から切り離されてできたものだということは以前に聞いて知っていましたが、二つに切り離されたものが一つにつながってできたものだということは知らなかったので、日本は二本だった、ということに驚きました。言葉は駄洒落的ですが、その解説はとても分かりやすかったです。

地震の話の時にもよく聞きますが、日本の下には、西の大陸側のユーラシアプレートと、北の北アメリカプレートと、東の太平洋プレートと、南のフィリピン海プレートがあります。その動きによって、大陸から切り離された大地は日本列島になったそうです。番組では、後に日本列島になる一部分が大陸から切り離されていく様子がCGで紹介されていました。東日本のほうは反時計回りに、西日本のほうは時計回りに大陸から離れ、そのバラバラの島が、プレートの動きによって組み合わさり、海底火山のマグマから作られた巨大な花崗岩の浮上や太平洋沖の島々の衝突や大地の隆起によって、後に一つの細長い山国の、清流の水と樹々の豊富な日本列島になったのだそうです。

アジア大陸のところに現在の地名が書かれていなかったので、私はそれがどこだろうかと気になって、本棚の地図を取り出して見てみました。岐阜県の飛水峡にあるチャート(放散虫という珪酸質の骨格を持つ海のプランクトンの死骸が堆積してできた赤茶色の石の層です)は、ロシアのハバロフスクにあるチャートと同じなのだそうで、そのことから、番組では、その辺りは昔はつながっていたと結論付けられていました。番組のCGの地図によると、日本列島は、日本海側は石川県の能登半島や富山県の富山湾、太平洋側は静岡県の伊豆半島の辺りで東西に分かれていました。でも、ユーラシアプレートの図で考えると、そこに伊豆半島は入っていません。伊豆半島は北アメリカプレートかフィリピン海プレートの上にあります。番組で紹介されていた和歌山県の紀伊半島のように、地下の巨大な花崗岩によって浮かんできた大地は、全て中央構造線から南の地ということになります。地図と併せて見ると、番組で紹介されていた解説がよりよく分かるような気がしました。

岐阜県の飛水峡の辺りが今のハバロフスクの辺りから別れた東日本だとすると、図のユーラシアプレートの線の区切られ方のように真っ直ぐなものではないのだろうとも思いますが、ともかく、地図で見ると、能登半島のあった辺りは今の朝鮮半島の北朝鮮のハムフン(咸興)という町の辺りと重なるようでした。アジア大陸の今のロシアの辺りから切り離された大地が東日本(東北日本)に、今の朝鮮半島の辺りから切り離された大地が西日本(西南日本)になったようでした。アジア大陸の隙間に海水が入り込み、日本海になっていました。

大きな山脈が多いのは東日本ですし、番組によると、大地の作られ方だけではなく山の作られ方も、東日本と西日本とでは異なっていました。「天下分け目の関ケ原」というわけではないかもしれませんが(関ヶ原も岐阜県です)、東日本や西日本など、何気なく使っていた日本列島をざっくりと二つに分ける言葉が、実は地質学的なものだとは知りませんでした。

「ジオ・ジャパン」の番組で紹介されていた日本列島成り立ちの説が正しいのかどうかは、地質学に詳しくない私にははっきりとは分かりませんが、面白い説だなと思いました。

それにしても、日本列島が今の形になるまでの変化の単位が1万年ということに驚きます。今年は西暦2017年なので、皇紀で言うと(皇紀とは、日本書紀の記述に基づいて神武天皇の即位の年を元年と定めた紀年のことだそうです)皇紀2677年ですが、1万年は2千年の5倍です。

番組によると、日本列島の中で最後にできたのは今の千葉県の房総半島の辺りということなのですが、それでも50万年前なのだそうです。

BS朝日で放送されていた「ダイワハウススペシャル 沖ノ島 ~藤原新也が見た祈りの原点~」では、7月にユネスコの世界文化遺産に登録された福岡県の宗像市の沖にある宗像大社の神領(御神体島)で、沖津宮が鎮座する女人禁制の沖ノ島のことが紹介されていたのですが、録画をしておいたこの「沖ノ島」の番組よりも「列島誕生ジオ・ジャパン」の番組のほうを先に見て悠久の歴史の流れに圧倒されたため、沖ノ島の信仰も古いもののはずなのですが、ホモ・サピエンスと呼ばれている今の人間の歴史と同じくらい、宗教の歴史は古いといっても新しいものだなと思いました。

日本の本州で発見された最古の人骨は、静岡県の浜松市で発掘された浜北人(浜北原人)のものだそうです。約1万4000年前のものなのだそうです。

先日の報道によると、138年前の明治時代に北海道の札幌市内のアイヌ民族の墓地からドイツ人旅行者がドイツへ持ち出した遺骨が、7月31日に外交ルートを通じて日本に返還されたそうです。盗掘されたアイヌの方の遺骨が返還されるのは初めてのことだそうです。北海道のアイヌ協会の方たちは、アイヌ民族の遺骨を研究資料として保管している大学や国立の博物館などに、返してほしいと頼んでいるそうなのですが、なぜかなかなか返してもらえないのだそうです。

NHKのBS1の「国際報道」の番組では、日本のアイヌ民族だけではなく、アメリカのネイティブアメリカンやオーストラリアのアボリジニの遺骨にも「返還問題」があるということを伝えていました。私は、先住民族の方の遺骨が研究資料として盗まれていたということも知らなかったのだと思います。「返還問題」のことも知りませんでした。

オーストラリアでは返還の動きが進んでいて、メルボルン博物館のアイヌ民族の遺骨も日本に返還されることになったそうなのですが、日本国内に保管されているアイヌの遺骨の返還は、進んでいないのだそうです。国内の12の大学には1600体以上の遺骨が保管されているそうなのですが、返還されたのはなぜかそのごく一部なのだそうです。

アイヌ協会の方は、「全身骨」で返してもらいたいと話しているそうです。それはそうだろうと思います。

国の方針では、身元が分かっている遺骨は子孫に返還するとしているため、身元の分からない大部分の遺骨はいつまでも返還されないそうなのですが、その一方で、研究者の中には、今遺骨を返すのは時期尚早だと考えている人もいるそうです。

国立科学博物館の篠田副館長は、研究を続けていけばアイヌ民族の成り立ちが細かく分かる、自分の祖先がどんな生活をしていたかは遺骨の研究なしにはなかなかできない、という風に話していました。でも、研究に必要だというのなら、研究に必要なデータだけを大学や博物館に残して、本物の遺骨は返還すればいいのではないでしょうか。あるいは、アイヌの方たちの許可を得た遺骨を研究に使うようにすればいいのではないかなと思います。遺骨を勝手に盗掘されたアイヌの方たちは、先祖の遺骨を埋葬したいと訴えていました。

NHKのBSプレミアムのスーパープレミアム「玉木宏 音楽サスペンス紀行 マエストロ・ヒデマロ 亡命オーケストラの謎」と「『死の都』に響いた『未完成交響曲』~1943.9.28 戦火のワルシャワ公演を再現する~」は、指揮者・作曲家の近衛秀麿さんの特集でした。ナチスの弾圧にあえぐポーランド人音楽家たちは、秀麿さんの指揮で、ナチスの軍人たちを前に、シューベルトの「未完成交響曲」を演奏したそうです。私は、秀麿さんのことを、以前にNHKのBS1で放送されていた「戦火のマエストロ・近衛秀麿 ユダヤ人の命を救った音楽家」で知ったように思います。

近衛文麿さんの特集でしたが、8月の戦争関連の特集でもあったのだろうと思います。戦争時代を直接生きていない私は、今年もまたいくつかの戦争関連の特集の番組を見ることができるといいなと思います。

昨夜には、NHKのBSプレミアムで新潟県の長岡の花火大会を生放送していました(今日はBS日テレで生放送するそうです)。昭和20年の8月1日の長岡空襲の翌年に長岡市民が復興に立ち上がって「長岡復興祭」を開催し、昭和22年に花火大会が復活したということでした。花火大会の前日の8月1日には、白菊という大玉の花火を打ち上げるそうなのですが、それは、慰霊の花火なのだそうです。

「ジオ・ジャパン」の番組では、日本列島は“奇跡”の島だということが繰り返されていたように思います。和食のおいしい出汁も、日本列島の急流の水があるからできるのだと伝えていました。急流の水はミネラル分が解け出す前に流れる、と言っていたので、軟水だということなのだろうと思いますが、番組の中では軟水だとは言っていませんでした。

日本列島は“奇跡の島”なのかもしれませんが、地球も度々“奇跡の星”だと言われています。日本列島以外の地にも、この地球の中に“奇跡”と人が呼ぶような地はあるのだろうと思います。そのように日本の美しい自然を絶賛しながら、一方では政府が、東日本大震災の東京電力福島第一原子力発電所の事故のことを忘れたかのように原子力発電所の再稼働や新設を計画したり、10万年も毒性が消えないという核のごみ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の建設を船着き場のある海辺の町に計画したり、在日米軍基地を建設するために沖縄の辺野古の海のサンゴを破砕して埋め立てたりしているというのを、とても不思議に思います。

地球温暖化という現象が本当であるなら、日本の四季がいつまで続くのかどうかも分かりません。例えば私が小学生の頃は、真夏でも気温が30度を超える日があるのは珍しいことだったように思います。紅葉が12月になるようなこともありませんでした。今このように考えても全く意味のないことではあるのですが、もしも人間がいなかったなら、あるいは人間が今のように蔓延る前には、地球は、今の日本列島を日本人が“奇跡の島”と呼ぶ以上に、もっと美しい場所だったのだろうと思います。
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