戦後4年の広島に家を建てたフロイド・シュモーさんのこと

テレビ朝日の木曜ドラマ「黒革の手帖」の第3話の放送前の時間の、フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」(TBSの「プレバト!!」の後、久しぶりにこの番組を見ました)では、アメリカのカンザス州の農場に生まれた森林学者のフロイド・シュモーさんという方の特集が放送されていました。

シュモーさんは、戦争を嫌う母親から命の大切さを教えられて育ち、19歳の時に始まった第一次世界大戦の時には武器を扱わない後方支援の部署での任務に就きながら、武器を持っていても持っていなくても死の恐怖と隣り合わせにさせられる戦争を憎むようになっていったそうです。結婚してワシントン大学で講師をしていた時、第二次世界大戦が勃発し、日本が真珠湾を攻撃して太平洋戦争が始まると、大学内でも日系の職員や学生が連行され、アメリカ西海岸からの退去命令が出されるようになったそうなのですが、シュモーさんは一般の日系人の強制収容に抗議し、大学を退職して日系人の支援団体に就職して、日系人を助ける活動を行っていたそうです。そうして、3年ほど経った1945年の8月6日、アメリカ軍が広島の町に原爆を投下したというニュースを知って、どのような理由があっても10万人もの市民が犠牲になっていいはずがないと愕然としたシュモーさんは、被害に遭った広島の日本人のために家を建てるということを決断し、募金活動を始め、アメリカ政府やアメリカ軍や広島市長に思いを伝える手紙を書き、少しずつ賛同を得るようになっていった4年後の1949年の8月、アメリカ軍の許可を得て、牧師のエメリー・アンドリウスさんと大学講師のデイジー・デイブスさんと小学校教諭のルース・ジェンキンズさんと共に、広島の地に降り立ち、賛同した広島の学生さんたちなどと一緒に、広島市が提供した土地に家を建て始めたそうです。森の中で育ったシュモーさんは、大工仕事が得意だったということでした。

原爆で家族を失った地元の人たちから、アメリカ人は出ていてと言われることもあったそうなのですが、そのうちに地元の人たちも真面目なシュモーさんに協力するようになり、日本に来てから2か月後に2棟の家を完成させたそうです。「みなみ町平和住宅」と名付けられたその家の入所者は、公平にくじ引きで決められたのだそうです。シュモーさんは、その後も来日し、1945年の8月9日に原爆を投下された長崎にも、人種や国籍を超えて平和を願う象徴としての家を建て続けたそうです。シュモーさんは、朝鮮戦争後の韓国にも家を建てたそうです。そしてアメリカの原爆実験を批判し、アフリカでは難民の救援活動を行ったそうで、日本政府は1982年に勲章を授与し、翌年には広島の名誉市民の称号を贈り、平和活動家に贈られるという谷本清平和賞を贈ったそうです。シュモーさんは、賞金を全て平和活動に使い、2001年の4月20日に105歳で亡くなったそうです。先日にお亡くなりになった、命の大切さや平和の尊さを伝え続けていた医師の日野原重明さんも105歳だったので、シュモーさんが105歳まで生きたと知って、そのことを思い出しました。

21軒あったというシュモーさん作の木造の家は、老朽化のためにほとんど取り壊されてしまったそうなのですが、広島に1軒だけ、当時の外壁が一部保存された状態で残っていて、今は「シュモーハウス」と名付けられた記念館(資料館?)のようになっているようでした。シュモーさんは、みんなで建てた家だからと自身の名前を付けることを拒否していたそうなのですが、シュモーさんの功績を忘れずに伝えるためにその1軒を「シュモーハウス」と名付けたのだそうです。そして、今年の春にリニューアルされたという広島平和記念資料館には、それを機に新しくシュモーさんの功績が展示されるようになったのだそうです。『シュモーおじさん』という絵本も出版されたそうです。

私は、このフロイド・シュモーさんという方のことを全く知らなかったので、このような方がいたのかと驚きましたし、すごいなと思いました。アメリカのシアトルの平和公園にあるという広島の被爆者の佐々木禎子さんの像も、シュモーさんの働きかけで置かれたものなのだそうです。

平和運動を続けていたシュモーさんは、アメリカ人でありながらアメリカ軍の原爆投下を非難していたということなので、アメリカ人のいわゆる「右翼」の方たちからは「左翼」と思われていたかもしれないですし(今の日本でも、反戦の平和運動を行う方は、なぜか「右翼」の側の方たちから「左翼」として敵視されるようです)、そうだとすると、募金活動などになかなか賛同を得られないというだけではなく、シュモーさん自身の命が脅かされるような危険な目にも遭ったのではないかなと思いました。

戦争とは、国家間の武力を行使する争いのことです。交渉に失敗した政府や、外国の財産(人や土地や資源など)を奪おうとする政府が引き起こすものです。軍人だけではなく現地の一般市民も巻き込んで殺傷する戦争を悪いものだと思うということは、普通のことであるように私には思えます。誰かを傷つけたり殺したりするのは嫌ですし、誰かに傷つけられたり殺されたりするのも嫌です。私がその殺傷の当事者になるのも嫌ですし、周囲の人や見知らぬ誰かがその当事者になるのも嫌です。でも、私は嫌だなと思っているだけで、具体的なことは何もすることができていません。シュモーさんは、自国の軍隊が台無しにした他国の地に平和のためにその象徴としての家を建てるという具体的な活動を行いました。森林学者だという自然を愛するシュモーさんの戦争の被害を受けた地に家を建てるという活動は、何というか、芸術家の方の活動のようにも思えました。平和を愛する情熱が深いのだと思いました。

私は昨夜の特集で初めてシュモーさんのことを知ったのですが、少しでも知ることができて良かったです。もっと有名になっても良い方なのではないかと思います。

シュモーさんは、クエーカー教徒だということでした。私はその宗派を聞いたことがないようにも思えたのですが、17世紀のイングランドで作られたキリスト教の宗教団体の一つのキリスト友会(フレンド派)のことを、クエーカーと呼ぶそうです。詳しいことは私にはよく分からないのですが、クエーカーは、非暴力のキリスト教平和主義を重んじる平和教会(歴史的平和教会)の一つで、誠実で平等で質素であることを大切にしているそうです。日本の戦後のキリスト教会は、クエーカーでなくても、カトリックでもプロテスタントでも、平和主義だということなので、そうだとすると、私の持つ一般的なキリスト教会の平和のイメージは、日本のキリスト教の独自のものであるのかもしれませんし、クエーカーはそれに当てはまるものであるのかもしれないなと思いました。

キリスト教の『聖書』(旧約聖書はユダヤ教徒の方も信仰しています)には「殺してはいけない」と書かれているのにどうしてキリスト教の信者は殺すのだろうか、という世界史の授業の時に思うような素朴な疑問は、同じように日本史の授業で習う武闘派の僧侶や仏教徒の武士の場合にも多少疑問に思うことではありますが、そうではない、平和主義を貫いているキリスト教会もあるという事実によって、少し解決するような気がしました。

今上天皇陛下の皇太子時代の家庭教師を務めていらしたヴァイニング夫人、エリザベス・ヴァイニングさんも、クエーカー教徒なのだそうです。私は先ほどそのことを知ったのですが、なるほどなと思いました。『武士道』を著した新渡戸稲造も、最初は思想家の内村鑑三と同じくキリスト教のプロテスタント教派のメソジスト教徒だったそうなのですが、後にクエーカーの信徒となったそうです。クエーカーの考え方は、もしかしたら、日本に合っているのかもしれません。


ところで、昨日には、「第3次安倍晋三第3次改造内閣」の閣僚となった議員たちの名前が発表されていました。

「河野談話」を出した河野洋平さんの息子の自民党の河野太郎衆議院議員が外務大臣になったり、安倍首相と同期の野田聖子衆議院議員が総務大臣になったりしたことを「サプライズ人事」だと言っているコメンテーターの方もいましたが、そのお二人は安倍首相の政策を批判しているというほどでもないですし、一市民の私には特に「サプライズ」とは思えませんでした(そもそも閣僚人事に「サプライズ」など必要ないような気もしますが)。菅義偉官房長官や麻生太郎財務大臣などそのまま留任の方もいます。幹事長も二階俊博衆議院議員のままです。内閣人事局長に任命された、萩生田光一官房副長官に代わった杉田和博官房副長官は、元警察官僚だそうです。自民党への支持率の低下を止めるために行った閣僚人事だとしても、支持率低下の原因と責任がもしも安倍首相自身にあるというのなら、首相を交代しないと意味がないような気もします。

前回の内閣の人たちと比べて分かりやすく変わっているところは、東京大学の出身者や、アメリカのハーバード大学の出身者の、いわゆる「高学歴」の方が増えている点でしょうか。昔の内閣には東大出身者が多かったように思いますが、これまでの安倍内閣にはなぜか東大出身者は少なかったように思います(選ぶ人に学歴コンプレックスでもあるのかなと、何となく思えていました)。

この改造内閣のテーマは「人心一新」だそうです。人心一新とは、人の心を全く新しくするという意味の四字熟語です。でも、人(この場合は自民党の議員さんたち)の心をすっかり新しくすることなどできるのでしょうか。経済再生担当大臣に任命された自民党政務調査会長の茂木敏充衆議院議員の、新しく作られた謎の「人づくり革命担当大臣」というポストの名称も何だか不気味ですし、「女性活躍」とか「女性が輝く社会」とか、「一億総活躍」とか、安倍内閣の使う名称は奇妙です。

安倍首相は会見の中でこの改造内閣を「結果本位の“仕事人内閣”」と呼んでいましたが、これまでの安倍内閣は仕事をしていなかったということを認めたのでしょうか。それとも、時代劇の「必殺仕事人」のように、誰かを殺す(抹殺する)という意味でしょうか。内閣にテーマ名を付けるのは市民や政治評論家のすることで、首相自身が記者会見で主張するようなことではないのではないかと思います。学校法人・森友学園や加計学園の関係者は極力外したということですが、その問題の解決を、自民党はなぜか引き延ばしています。「『日報』問題」を逃げ切ったかのような稲田朋美前防衛大臣を国会へ呼ぶことも自民党は拒否しています。あるいは、安倍首相の言う「人心一新」は、過去の問題をすっかり忘れるということなのでしょうか。

良い内閣に変わるのか、今までの安倍内閣とあまり変わらないのか、まだほとんど始動していないので分かりませんが、2012年の自民党の憲法改正草案の内容を否定しない、あるいは良いと思っている自民党の議員さんたちの考え方を、すぐに支持することは私には少し難しいような気がします。

あと、昨日の報道によると、夕方の5時頃、東京の築地の場外市場で火災があったそうです。発生から8時間後の午前1時頃にようやくほぼ消火された状態となり、発生から15時間後の午前8時頃に鎮火したのだそうです。その火事で怪我をした方はいなかったということなのですが、小池百合子都知事の築地市場の豊洲市場移転の問題も続いている中、大変なことだなと思いました。ちゃんと補償などがなされて、築地の場外市場が直るといいなと思います。
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