「BORDER 贖罪」

テレビ朝日のドラマスペシャル「BORDER 贖罪」を見ました。

私は2014年の春頃のドラマだった「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」を好きで見ていたので、また、先日2週連続で放送されたスピンオフドラマ「BORDER 衝動~検視官・比嘉ミカ~」の前後編が良かったということもあり、3年前の連続ドラマの最終回の続きとなる今作を見るのを楽しみにしていました。(このドラマは本当は22日の日曜日に放送される予定だったのですが、衆議院解散総選挙の開票特別番組のため、1週間延期になったということでした。)

そうして、夜9時からのTBSの日曜劇場の「陸王」の第2話や、夜10時からのNHKのBSプレミアムの「山女日記 山フェスに行こう~常念岳~」は録画をしておくことにして、夜9時の少し前の「カウントダウン」から始まっていたこのドラマを、どのような新作になっているのだろうと見始めたのですが、3年前の最終回の最後の場面からの冒頭の部分から、本当に“3年前の最終回の続き”でした。

先日の金曜日の夕方頃まで、「BORDER」の数話が再放送されていましたが、3年前に続きを撮影しておいたのかなと思えるほど、その3年前の最終回(第9話「越境」)から少しも違和感なく今回の新作の「贖罪」に続いているという感じが、少し不思議な印象でもありました。

銃撃事件を捜査中、頭部に被弾し、脳底動脈近くに留まった銃弾のためか、死者(殺人事件の被害者)と対話をすることができるようになった警視庁捜査一課第二強行犯捜査・殺人犯捜査第4係第一班の刑事の石川安吾(小栗旬さん)は、母親とショッピングモールに来ていた5歳の天川弘志君を誘拐して殺害した、幼児誘拐殺人事件の犯人であるショッピングモールの出入り業者の玩具会社の社員だった安藤周夫(大森南朋さん)をマンションの屋上の端に追い詰めたのですが、「悪」を体現する安藤の、あなたは中途半端な正義を実践しようとして常に私に敗北するとの挑発に乗り、安藤を掴んでいた両手を離して屋上から落としてしまいました。地面を覗き、安藤が転落死しているのを見た石川さんが震えていると、その肩に手が置かれ、背後に立っていた安藤の霊に「ようこそ、こちらの世界へ」と告げられました。

昨夜の「贖罪」では、安藤さんの幽霊に重なるように石川さんの肩に手を置いたのは、様子のおかしい石川さんを心配して駆け付けた、同僚の刑事の立花雄馬(青木崇高さん)でした。

特別検視官の比嘉ミカ(波瑠さん)や班長の市倉卓司(遠藤憲一さん)も心配する中、安藤殺しを疑われた石川さんは、警視庁の監察管理官の久高喬(國村隼さん)の取り調べを受けることになりました。

比嘉さんと立花さんが石川さんを助けようと決意していた頃、石川さんの捜査に陰で協力する情報屋の赤井(古田新太さん)、便利屋のスズキ(滝藤賢一さん)、ハッカーのサイモン(浜野謙太さん)とガーファンクル(野間口徹さん)も、石川さんが安藤を殺した容疑で聴取されているという情報を得ると、石川さんを助けるべく団結していました。

石川さんは、悪のための殺人と正義のための殺人とは何が違うのかと、付きまとってくる安藤の霊から繰り返し問い掛けられて黙っていました。嘘を吐くか、正直に話すべきか迷い、聴取をする久高管理官に、何も思い出せません、と答えていた石川さんは、石川さんの様子を鋭く観察する久高さんの提案で、安藤の転落現場へ赴くことになりました。その頃、サイモンとガーファンクルは近所のマンションに入り、WIFIのパスワードを解除していました。スズキさんは、喪服を来た天川夫妻とすれ違っていました。

車で現場へ向かう途中、石川さんは、交差点の中央付近に立ち止まる女性の姿を見かけました。現場に到着した石川さんは、そこでも、何も思い出せないと久高さんに話していたのですが、そこに再び女性の霊が現れました。女性は、あなたは警察官なのですが、私はある男に殺されました、そいつのことを教えますから捕まえてください、早くしないと死体が処分されてしまいます、警察官ならあなたの仕事全うしてください、と訴えていました。

警察署に戻った石川さんは、久高管理官の助手にコーヒーを頼んで一人になると、殺されたという須藤真実(中村ゆりかさん)の霊に、事件について教えてもらいました。そして、久高管理官に、取り調べを拒否しますと告げ、何か思い出したら必ず戻りますと約束し、釈放された石川さんは、その夜、サイモンとガーファンクルに電話をかけ、「原口知幸」という人物について調べてほしいと頼みました。石川さんが元気そうなのを確かめてほっとしていたサイモンとガーファンクルは、調べた情報をすぐに石川さんのスマートフォンへ送りました。

マンションの下で帰宅する原口知幸(満島真之介さん)を待っていた石川さんは、車で駐車場へ向かう原口に警察手帳を見せて、あなたの部屋から女性の悲鳴が聞こえたと通報があったと声をかけたのですが、原口は石川さんを適当にあしらって駐車場へ入って行きました。

石川さんは、マンションの前の喫茶店で、遺体をどこかへ捨てに行くであろう原口を見張り続けていたのですが、その気配がありませんでした。喫茶店で待つ石川さんの隣に現れた真実さんは、石巻出身の女性で、津波で家族を失っていたようだったのですが、デパートの販売員の仕事をしていた時、優しそうな雰囲気の原口と出会い、身寄りがないと知ってお金を貸してほしいと言うようになった原口にお金を貸していたある日にプロポーズされて仕事を辞め、結婚の話をするために呼ばれた原口の部屋でいきなり絞殺されたということでした。

スズキさんを呼んだ石川さんは、原口が外出したのを見計らって二人で原口の部屋に侵入し、隠されているはずの遺体を探したのですが、見つかりませんでした。石川さんには、きれい好きで部屋に動物はいないと真実さんが話していた原口の部屋の隅に置かれていた、動物の毛が付いている掃除用具のことが引っかかっていたのですが、喫茶店で原口の動きを見張っていたある夜、マンションの住民が犬を連れ出てきたのを見て、管理人に動物を飼っている住民について教えてもらい、ハワイに行って留守にしている原口の隣の部屋にたどり着きました。スズキさんと二人で侵入したリビングに、スーツケースが置かれていました。その部屋には、猫がいました。

原口は、猫の世話を引き受けた隣人の部屋に置いていたスーツケースを、部屋に呼び出した“婚約者”の光岡さんに預けました。そして、レンタカーで光岡さんの部屋に向かうと、重いスーツケースを受け取って車に載せ、ある民家に運びました。外から見ると普通の戸建ての家なのですが、その家の奥には手術室のような部屋があり、遺体を解剖・解体するための道具が並べられていました。原口さんは、スーツケースを開けて真実さんの遺体を取り出そうとした時、スーツケースの中に発信機が入っているのを見つけました。その直後、家の呼び鈴が鳴りました。警察でした。驚きつつ、ドアを開けた原口さんは、警察官から、このようなものがインターネット上で話題になっていると、死体運搬中継なるサイトを見せられました。家の中を調べると言われた原口さんは、観念したのか、薄く笑っていました。

連続殺人犯だったかもしれない原口の逮捕について石川さんは、スズキさんのおかげだと、スズキさんに感謝していました。その翌日の雨の中、スズキさんは、児童ポルノの犯罪に関わっているらしい吉岡という男に声をかけると、その罪を公表しない代わりとして、あることを頼みました。それは、石川さんと安藤がマンションの屋上でもみ合っていた時の目撃者になり、石川さんに有利な証言をすることでした。

久高管理官を待つ警察署内で赤井さんから連絡を受けた石川さんは、久高管理官に、嘘の証言をしました。転落死した安藤が他人の戸籍を使って成り済ましていた身元不明の人物だと知った久高管理官は、目撃者の証言とも一致するとして石川さんを釈放したのですが、石川さんが安藤を殺したことは間違いないと確信していて、石川さんを追い詰めることを決意していました。

赤井さんたちは、正義感の強い刑事の石川さんを、闇の世界にいる自分たちの罪を贖うために存在する希望の光だと考えているようでした。自分たちの光であり続けてほしいと、石川さんに話していました。

刑事として生きるために殺人を認めず、悪の世界にいることを選んだ石川さんは、安藤の霊から、改めて、こちらの世界へようこそ、と告げられました。

石川さんの前に現れた真実さんの霊は、ありがとう、安らかに眠ることができますと感謝していました。あなたが生きている間に助けたかったという石川さんに、その言葉を聞けただけで十分ですとお礼を言って消えていました。

真実さんが消えた後現れた安藤の霊に、石川さんは、死者と話ができるようになってから正義のプレッシャーに押し潰されそうになっていた、悪の世界に行くことができて気持ちが楽になった、と感謝するように話していました。そして、安藤の命を奪った罪を贖うために悪の世界から正義を実践していく、死者の魂を救済すると決意していました。

負け惜しみだと苛立つように言い返した安藤は、あなたは背負ったものの大きさに気付いていない、私のような人間を引き寄せるだろうと石川さんに言い残して消えました。

最後は、公園の場面でした。安藤に殺された天川弘志君の遺体が放置されていたベンチには、花束が手向けられていました。公園の遊具で遊んでいる子供たちを見つめるように立っている男の影が、子供たちの声を闇で包み込むように広がっていきました。

原案と脚本は金城一紀さんです。監督は、「衝動」の時と同じ常廣丈太さんでした。連続ドラマの時と同じく、音楽は川井憲次さんで、オープニングの主題歌はMAN WITH A MISSIONの「evils fall」という曲でした。オープニングの映像も、連続ドラマの時と同じでした。

スピンオフドラマの「衝動」も面白かったですし、3年前の最終回の続きとなる今回のドラマスペシャルの「贖罪」も面白かったです。

刑事の石川さんを取り巻く「表の世界」の人物たちも、「裏の世界」の人物たちも、そのままちゃんと描かれていて良かったです。

私は連続ドラマを見ていたため、今作の物語にも付いて行くことができましたが、登場人物などの説明が少なかったので(それは連続ドラマを見ていた人にとっては良いことだと思うのですが)、連続ドラマを見たことがない人にも楽しむことのできる作品になっていたかどうかは少し分からないようにも思えました。

安藤を名乗っていた殺人犯は、悪のためなら死ぬことができるとも言っていたのですが、そのように何かの目的を達成するために自分の命を差し出す(奪う)覚悟をしている人というのは、ある目的を達成するために他人の命を奪うことについても、躊躇しない部分があるのかもしれません。

ドラマを見ていて、例えば、「国のため」に戦うある国の兵士たちが敵国の兵や敵国の市民を殺害する場合にも、自分の命を捨てる覚悟をしている者の他者の命を奪うことへのハードルの低さを表しているのかなと思いました。

悪のための殺人と正義のための殺人の違いは何か、という疑問を石川さんに投げかける安藤の「悪」の言葉は、石川さんの心の声のようでもありました。ただ、通常は、殺人は「悪」です。仏教でもキリスト教でも、殺人はしてはいけないものとされています。

石川さんは、「正義のための殺人」というような、正当化される殺人はないことを刑事としてもよく知っている上で、命懸けで悪を倒そうとする正義が悪に転じてしまうという矛盾を体現しているのかなと思います。

このドラマがまたいつか作られるのかどうかは分かりませんが、死者と話す能力を持つ石川さんは被害者の無念を晴らすための刑事の仕事を続けていくようでしたし、新たな犯罪者も現れそうでしたし、「BORDER」の物語は続いていくのだろうなと思いました。

今作も重い話でしたが、誠実に作られていたように思いますし、無事に最後まで見ることができて良かったです。良い刑事ドラマでした。
プロフィール

Author:カンナ
ブログ初心者です。
感想などを書いています。
マイペースで更新します。
すきなもの
 月・星空・雨・虹・雪
 飛行機雲・入道雲・風鈴の音
 透き通った水・きれいな色
 富士山・東京タワー・ラジオ・音楽
 本・絵画・ドラマ・(時々)アニメ
 掃除機をかけること
にがてなもの
 人ごみ・西日・甘すぎるお菓子
 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
カウンター
検索フォーム