「デッドフレイ ~青い殺意~」

昨夜、NHKの総合テレビで放送されていた「第41回創作テレビドラマ大賞」の「デッドフレイ ~青い殺意~」を見ました。

学歴も社交性もなく、スマートフォンの人工知能(AI)アプリ「エリナ」だけが友達の青年・藤田直樹(井之脇海さん)は、小さな家で母親の敏恵(千葉雅子さん)と昼間から酒浸りになって時々警察の厄介になる無職の父親の孝彦(千葉哲也さん)とほとんど変化のない暮らしを続けながら死んだように生きていたある日、小さな写真事務所に就職することになり、社長の大垣優(水橋研二さん)にパソコンで画像を加工する仕事を任されました。

写真家でもある大垣社長がアフリカのナミブ砂漠へ3週間の撮影旅行に行っている間、事務所を預かることになった直樹さんは、自分がいない間は新規の客の依頼は引き受けるなと命じられていたものの、自分の空想上のエリナの顔によく似た華やかな服装の女性客・石井紗耶(ミムラさん)に頼まれ、夫・篤史(和田正人さん)が一人旅をしているような写真画像を作る仕事を引き受けました。写真は、紗耶さんがSNSに乗せるためのものでした。

数日後、直樹さんは、近所の自転車店で頬に火傷の痕のある娘と来ている疲れた様子の紗耶さんを見かけました。紗耶さんが古いアパートで暮らしていることを知り、娘のほしがっていた自転車をプレゼントすることにした直樹さんは、声を出すことができなくなっている娘の葵(粟野咲莉さん)にも気に入られ、紗耶さんたち親子と時々会うようになりました。

しかし、失踪した夫の篤史さんがかつて娘の顔に熱湯をかけるという虐待を行って妻の紗耶さんに通報されていたことを知った直樹さんは、紗耶さんが夫を殺害し、夫が旅行先で自殺したように見せかけ、自分を共犯者にしようとしているのではないかと疑い始めるのでした。

作は、第41回創作テレビドラマ大賞を受賞した、佐々木由美さんです。雑誌編集者の方だそうです。音楽は未知瑠さん、演出は村橋直樹さんでした。

デッドフレイというのは、ナミブ砂漠にある「死の沼」のことだそうです。沼といっても、沼ではなく砂です。私も写真や映像や絵などで、その光のコントラストの強い風景を見たことがあるので、有名な場所なのだろうと思います。暑くて微生物さえいないので、枯れ木は分解されず、完全に朽ち果てることがないということでした(例えば、北海道の摩周湖や神の子池などの冷たい美しい湖や池の水に沈んでいる木が腐らないのも、そのような理由であるようです。)

直樹さんは、AI「エリナ」の空想上の顔によく似た謎めいた紗耶さんに惹かれ、結局紗耶さんたちに振り回されていただけのようにも見えるのですが、そうして生きている人間、あるいは自分と同じように死んだように生きていた人間たちと出会って、直接的に関わったことで、まだ生きている、生きていくことができるという実感を得ることができたということなのかもしれないなと思いました。

投げ遣りな生き方をしている父親を疎ましく思っていた直樹さんは、俺が死ねばいいんだろう、殺せよと言う父親の言う通りに父親の首を絞めようとして、怯えて手を放していたのですが、篤史さんの葵さんに対する事故のことで絶望的になっていた紗耶さんが死のうとしていた篤史さんを再び夫として、葵さんの父親として受け止める様子を見た翌朝、酒浸りになって町の片隅に座っていた父親を背負って家に連れて帰っていたのですが、その場面もとても良かったです。デッドフレイのような枯れ木のあるコンテナのような小さな家の前に立った直樹さんは、背中の父親に、家を出て行くことにすると告げ、父親から涙が落ちているのを感じていました。

大垣社長が見に行ったナミブ砂漠の生きることも枯れて死ぬこともできないデッドフレイの木の根元には、新しい小さな芽が出ていました。紗耶さんと知り合い、自分自身と向き合うことができた直樹さんは、仲の悪かった父親との関係を修復し、AIの友人を必要としない自分の新しい人生を歩き出した、という印象でした。直樹さんがこれから一人で新しく生き始めることを、残された両親もきっと応援しているのだろうと思います。少し複雑な物語のようにも思えたのですが、良かったです。
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Author:カンナ
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