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特集ドラマ「どこにもない国」前編

昨夜、NHKの特集ドラマ「どこにもない国」の前編を見ました。

夜9時の放送時間が重なっていた、テレビ朝日の「アガサ・クリスティ 2夜連続ドラマスペシャル パディントン発4時50分~寝台特急殺人事件~」は録画をしておくことにして、内容をあまりよく知らないまま、私はこちらのドラマを見ることにしました。

ドラマは、昭和22年の1月10日、たくさんの日本人を乗せた船が日本へ向けて海を渡っている場面から始まり、昭和20年の8月9日(アメリカ軍が長崎に原爆を投下した日)の満州にソビエト連邦軍が侵攻してきた時に遡り、日本国内に玉音放送の流れた15日を経た19日のソ連占領下の満州の、丸山邦雄(内野聖陽さん)の話になっていました。

原案は、丸山邦雄さんの三男のポール・邦昭・丸山さんの著書『満州 奇跡の脱出』だそうです。

私はこのドラマを見るまで、丸山邦雄さんが建設会社社長の新甫八朗さんやその部下の武蔵正道さんたちと共に実現させた、旧満州に置き去りにされた飢えや病や略奪や暴力に苦しむ約150万人の同胞(日本人)を日本に帰国させようという旧満州在留邦人の祖国引揚げのことを、全く知りませんでした。この引揚げは、「葫芦島在留日本人大送還」と呼ばれているそうです。

丸山邦雄さんは、政治や経済を学んだ学者で、戦前にアメリカのジョージ・ワシントン大学やコロンビア大学に留学して満州に渡り、鞍山の満州製鉄株式会社(昭和製鋼所、鞍山製鉄所)の社員となった方だということでした。

日系アメリカ人の妻の丸山・メアリー・万里子(木村佳乃さん)と4人の子供たちと満州で暮らしていた丸山さんは、帰国の方法を考えていたある日、英語が堪能であることから、満州製鉄理事長で東京市長にもなったことのある元陸軍大将の岸本綾夫(片岡鶴太郎さん)の依頼で、満州製鉄を占領したソ連軍の将校の通訳を務めることになりました。

満州に取り残された日本人が地元の人たちの復讐やソ連兵に苦しめられている姿を街や駅前で目撃した丸山さんは、スパイ容疑でソ連軍に捕らえられた岸本さんに相談に行き、協力者として紹介された建設会社社長の新甫八朗(原田泰造さん)に会いに行きました。

新甫さんは、集団で略奪に来た中国人たちに、日本人がしたことを思えば怒るのも無理はないと理解を示し、欲しいものは自由に持っていっていいと、その人たちを建物の中に案内していました。朝鮮半島南部で終戦を迎え、部隊を逃げ出して400Km歩いて満州に戻ったという新甫さんは、最初は丸山さんのことを学者には分からないと批判的に見ていたのですが、同胞を救いたいという丸山さんの熱意を理解し、あなたが来なければ自分一人で実行するところだったと、屋根裏に隠れていた妻のマツ(蓮佛美沙子さん)を呼んで大金の入った鞄を取り寄せました。新甫さんは、さらに下関で出会ったという、中国語が堪能な部下の武蔵正道(満島真之介さん)を呼び、事情をすぐに理解して二つ返事で引き受けた快活な武蔵さんを一緒に連れて行くことにしました。

丸山さんは、岸本さんはスパイではないと訴え続けていたのですが、その後中国共産党軍によって処刑されてしまいました。

丸山さんの妻の万里子さんは日本人を満州から脱出させるという夫の計画を応援し、夫がいない間一人で二人の子供を抱えて逃げることに不安そうな新甫さんの妻のマツさんを元気付けていました。

万里子さんがクリスチャンだったことから、丸山家と新甫家は、11月、奉天を離れ、大連のカトリック教会に身を寄せることになりました。病気に苦しむ日本人や中国人の治療に当たっていたレイモンド・レイン司教が身元を引き受けてくれることになりました。

丸山さんと新甫さんと武蔵さんは、翌年の2月、中国共産党と対立している国民党軍に密かに相談に行き、終戦後に国民党軍の仲間になった稲葉さんという元日本軍人の通訳で劉参謀長に事情を話しました。劉参謀長は、日本の軍曹に助けられたことがあると話し、3人のために満州を出るためと再び入るための旅券を書いてくれました。丸山さんと新甫さんと武蔵さんは、国民党軍の協力者二人の案内で中国人の振りをして汽車に乗り、満州を出ました。

汽車の中では日本語を話してはいけない、鼻をかむときにハンカチを使ってはいけないなどと国民党軍の人に注意されていた丸山さんは、途中の駅でトイレを借りようとして日本人だとばれて中国の兵士に捕まっていたのですが、劉参謀長の旅券を見せると、劉参謀長の諜報部員であると理解され、すぐに解放されました。

日本行きの船に乗って密航する前、先にGHQに話を通しておいたほうがいいと考えた丸山さんは、みんなの反対を押し切ってアメリカ軍の駐留施設に向かったのですが、中で話を聞こうと建物の中に案内され、そのまま捕まって牢に入れられてしまいました。まだ諦めてはいけないと新甫さんたちに訴えていた丸山さんは、明日には処刑されるだろうと伝えにきた通訳(田中要次さん)が丸山さんの首に下がっていた十字架(ロザリオ)に気付いたことにはっと思い出し、大連の教会のレイン司教が自分たちの身元引受人だと話しました。丸山さんは、通訳が連れてきた神父さまにレイン司教からの手紙を見せました。そして、神父さまからGHQに話が通ったようで、3月9日、丸山さんと新甫さんと武蔵さんは、アメリカ海軍の船に乗って日本を目指しました。

作(脚本)は大森寿美男さん、演出は木村隆文さんでした。音楽は川井憲次さんでした。語りは柴田恭兵さんでした(丸山さんの息子さんの役のようでした)。

終戦直後の時代を描いた歴史ドラマということもあり、ほぼシリアスな展開だったのですが、時々コミカルに思えるところもあって、脱出劇の緊張感とのメリハリもあったように思います。

ドラマの話の中の満州には、日本軍(関東軍)の兵士の姿はすでにどこにもありませんでした。そのため、現地の日本国民が優先的に逃げる関東軍の兵士たちに見殺しにされるという場面もありませんでした。なぜ日本国民が取り残されているのかということの具体的な解説もありませんでした。ただ、敗戦した国家に見捨てられた形で取り残されていることは事実であり、丸山さんたちはそのような日本人を日本に帰そうと考え、その計画を実現させるために奔走していました。

タイトルにもなっている「どこにもない国」は、日本が敗戦した昭和20年8月15日後の満州のことでもあり、心の中の理想郷である「ユートピア」のことでもありました。

学者の丸山さんには、理想主義的なところがあったようでした。新甫さんは、丸山さんの信念の強さを、ユートピア主義と呼んでいました。

長い間満州に暮らし、敗戦してアメリカの占領下に置かれている日本の様子が分からない丸山さんと新甫さんは、満州はどこにもない国になったが日本もあるかどうか分からないと話し合っていました。丸山さんたちは、「どこにもない国」から「どこにあるか分からない国」へ行こうとしていました。

当時の日本(大日本帝国)の傀儡国家だった中国東北部の旧満州国(満州は満洲とも書くそうです)は、昭和7年2月から昭和20年の8月18日頃まで存在したそうです。満州国は日本の傀儡国家ではなかったという説もあるそうなのですが、その国の実権を握っていたのは、清朝の最後の皇帝で満州国皇帝となった愛新覚羅溥儀ではなく、その一帯を支配下に置いていた日本軍(関東軍)でした。

日本の敗戦後の満州は、そこに生きていた日本人にとって、私には想像できないくらい、本当に酷い、怖い場所になっていたのだろうと思います。NHKの「村人は満州へ送られた~“国策”71年目の真実~」や「告白~満蒙開拓団の女たち~」などのドキュメンタリー番組でも伝えられていました。日本へ帰ることができなかった子供たちは、中国残留孤児となりました。山崎豊子さんの小説『大地の子』のドラマでは、中国残留孤児となった日本人の過酷な人生が描かれていました。

「どこにもない国」も太平洋戦争(大東亜戦争)の時代の戦地の話なので、見ていて辛い気持ちになる場面もあったのですが、地図や路線図、当時の実際の映像や写真も出ていて、時間と場所、物語の流れも比較的分かりやすく、集中して見ることができたように思います。前編が良かったので、放送時間に見ることができるかどうかはまだ分かりませんが、来週の後編の物語も楽しみにしたいと思います。


ところで、私は昨年からNHKのBSプレミアムで日曜日のお昼に再放送されていた2007年の大河ドラマ「風林火山」(脚本は大森寿美男さん、主演は内野聖陽さん)を、録画をしつつ、再び見ていました。先週の日曜日の再放送で最終回を迎えたのですが、全50話、やはり今改めて見ても、とても良かったです。毎回面白かったです。公正に思えるような歴史上の登場人物の生き方の描き方も良かったですし、最終回の最後の「紀行」が後日談になっていたというところも、感動的でした。このような、政治的な要素の多い、合戦場面をしっかりと実写で描くような大河ドラマは、戦国時代を舞台にしたものでも、これからはあまり作られないのかもしれません。「風林火山」以降の大河ドラマの中では、私としては2016年の「真田丸」(主演は堺雅人さん)が面白かったです。昨年の「おんな城主 直虎」(主演は柴咲コウさん)も面白かったのですが、今年の「西郷どん」(主演は鈴木亮平さん)の最近の話は、西郷吉之助さん(後の西郷隆盛)の物語であるはずなのに、なぜか篤姫の場面が多いということが、私には少し残念であるようにも思えています。
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