「越路吹雪物語」最終週(第12週)の最終回

テレビ朝日の「帯ドラマ劇場」の「越路吹雪物語」の最終週(第12週)の最終話(第59話)までを見ました。

第5週以降の感想を書くことはできなかったのですが、録画をしつつ、毎回の物語を楽しみにして見ていました。第8週の第39話から、「越路吹雪」の河野美保子さん(通称・コーちゃん)は、瀧本美織さんから大地真央さんに交代になっていました。宝塚歌劇団の機関紙「歌劇」の編集部員からコーちゃんのマネージャーになった岩谷時子(通称・お時さん)も、木南晴夏さんから市毛良枝さんに交代し、コーちゃんの夫となるピアニストの内藤法美(つねみ)さんも、長谷川純さんから吉田栄作さんに交代していました。

最終週は、舞台人の越路吹雪として「劇団四季」の代表の浅利慶太(近江谷太朗さん)や「劇団民藝」の代表の宇野重吉(山本學さん)の演出する歌やお芝居の舞台で活躍していた美保子さんが、父親の友孝(尾美としのりさん)や母親の益代(濱田マリさん)も癌で亡くなったように、末期の胃癌(糸十二指腸の間の腹膜の癌)に倒れてしまう、という話でした。

美保子さんの主治医の杉尾祐介(羽場裕一さん)から余命3か月の末期癌であることを教えてもらった時子さんは、嘘が嫌いな美保子さんに本当のことを言おうか迷っていたのですが、美保子さんには本当のことを話したくないという法美さんと相談して、美保子さんには癌だと告げないことにしました。そして、お手伝いの田畑和子(三倉佳奈さん)と3人で、何でもないように、これまでと同じようにごく普通に、美保子さんに接していました。

最終回では、入退院を繰り返していたらしい美保子さんは、やりたいことはみんなやってきたからこの世に悔いはないと時子さんに話していました。もしかしたら自分が癌であることに気付いていたかもしれないのですが、そのことを時子さんにも法美さんにも言いませんでした。病室のベッドの上で、会いに来た時子さんに、ありがとう、良い子ねと小さく言い、ずっとそばに付いていた法美さんに、コーヒーを入れると言いかけてた美保子さんが、すっと起き上がって、ドレス姿で病室のドアを開けると、そこは誰もいない舞台の上でした。ドアが天井に引き上げられ、誰もいない観客席に向かって堂々と「愛の讃歌」を歌い始めたコーちゃんの歌声を客席でじっと聴いていたのは、昔のコーちゃん自身(岩淵心咲さん、瀧本美織さん)でした。

その舞台の歌の場面は、過去の回想の場面とも重なっていたのですが、とても良かったです。歌が終わった、となりそうな直前に画面は暗転し、病室のベッドの上のコーちゃんが息を引き取っていました。最後の「愛の讃歌」は、コーちゃんの魂の歌声でした。

宝塚歌劇団出身の越路吹雪として輝いていた河野美穂子さんは、1980年の11月7日に56歳で亡くなったそうです。

脚本は龍居由佳里さん、音楽は森英治さん、演出は藤田明二さんでした(演出は他に今井和久さん、大塚徹さん、鎌田敏明さんでした)。ナレーションは、真矢ミキさんでした。

私は越路吹雪さんと結婚したピアニストの内藤法美さんのことも知らなかったのですが、5歳年下の法美さんは美保子さんが亡くなった8年後に58歳で亡くなったのだそうです。美保子さんの8歳年上の詩人の岩谷時子さんは、2013年に97歳で亡くなったそうです。時子さんは、ドラマの中でも健康だと言われていましたが、本当に健康な方だったのかもしれません。

前半は宝塚歌劇のコーちゃん、後半は宝塚歌劇を離れて一人の舞台人になったコーちゃんの物語だったのですが、最初に言われていた通りに、盟友のお時さんとの友情と人生が丁寧に描かれていたように思います。

有名な越路吹雪さんのことを少ししか知らなかった私は、このドラマを見るまでコーちゃんのマネージャーだったという詩人で作詞家の岩谷時子さんのこともよく知らなかったので、ドラマを見ながら、この歌も、この歌も、この歌もお時さんの作った歌だったのかと、驚くことも多かったです。

コーちゃんの新潟時代の親友で、戦前の貧しい生活の中、家族を支えるために「大陸の花嫁」として満州へ渡った片桐八重子(市川由衣さん)は、敗戦後の満州から引き揚げる船の中で亡くなったということでした。八重子さんと結婚した人は良い人だったようで、第9週で、舞台終わりの越路吹雪のコーちゃんに、八重子さんの写真を届けに来ていました。この話自体は良かったのですが、ドラマを見ていた私としては、生きて日本に戻ることができなかった写真の中の親友の八重子さんに再会するのは、大地真央さんの演じるコーちゃんではなく、まだ瀧本美織さんの演じるコーちゃんであってほしかったようにも思いました。でも、戦争終結から時が経った、ということを表していたのかもしれません。

越路吹雪さんはマネージャーの岩谷時子さんがいなければ「越路吹雪」ではいられなかったというか、「越路吹雪」は、河野美穂子さんと岩谷時子さんとの、後半生にはさらに内藤法美さんとの合作のユニット名のようなものであったのかもしれないなとも思いました。スター性と行動力で周囲を引っ張っていく美保子さんと、徹底的に支える時子さんは、「越路吹雪」の表と裏でした。

この「越路吹雪物語」には、宝塚出身の女優さんや、芸能界の歴史上のたくさんの有名な人物も登場していたのですが、いつかどこかに登場するのかなと何となく思っていた、阪神急行電鉄や宝塚歌劇団を作った阪急東宝グループの創業者の小林一三さんは、具体的には登場しませんでした(美保子さんの父親の勤める会社の偉い人、という風に話の中には出ていたように思います)。越路吹雪の美保子さんの人生を描く物語に徹していました。

龍居由佳里さんの脚本と藤田明二さんの演出は、2008年の年末のテレビ朝日のスペシャルドラマ「男装の麗人~川島芳子の生涯~」(主演は黒木メイサさんと真矢みきさん)と同じだったようでした。私もそのドラマを見ていました。中学生の頃に劇団四季の浅利慶太さん演出の「ミュージカル李香蘭」を見て、“二人のヨシコ”である李香蘭(山口淑子さん)と愛新覚羅家の川島芳子さんのことを知りました。戦後に漢奸(スパイ)として捕まった清朝の王女の川島芳子さんが中国軍に銃殺される場面が、本当に怖かったですし、悲しかったです。

「越路吹雪物語」を放送していた、テレビ朝日の「帯ドラマ劇場」の放送時間は約20分なのですが、本編は15分なので、その点ではNHKの朝の「連続テレビ小説」と同じです。私は今日最終回を迎えたNHKの連続テレビ小説「わろてんか」の物語をあまり面白く思うことができず(第1週は楽しく見ることができました)、途中から見続けることができなくなってしまったので、私にはこちらの「越路吹雪物語」が連続テレビ小説に代わるものになっていたのだと思います。

ドラマ「わろてんか」は、吉本興業の創業者の吉本せいさんをモデルにした物語でした。その物語の中で、主人公の藤岡てん(葵わかなさん)を助ける人物として登場していた、高橋一生さんの演じていた実業家の伊能栞さんについて、そのモデルは小林一三さんなのではないかという説もあるそうなのですが、私にはそのようには見えませんでした。

2015年の秋の頃にNHKで「放送90年ドラマ」として放送されていた「経世済民の男」(三部作)がとても面白かったのですが、その第二部の主人公が小林一三さんで、阿部サダヲさんが演じていた小林一三さんがとても楽しくて良かったという印象があります。(第一部の「高橋是清」の主演はオダギリジョーさん、第三部の“電力の鬼”の「松永安左エ門」の主演は吉田鋼太郎さんでした。「小林一三」のドラマでは、第2次近衛文麿内閣で商工大臣を務めていた資本主義の財界人の小林一三さんが、統制経済や計画経済を推進する革新官僚だった商工省次官の岸信介(今の総理大臣の安倍晋三さんの祖父)と激しく対立するというところも、少しですが、それとなく、ちゃんと描かれていました。)

全59話という少し中途半端に思える話数で終わった「越路吹雪物語」でしたが、よく出来た良いドラマだったように思います。コーちゃんを演じる瀧本美織さんと大地真央さんが交互に担当していた主題歌の変化も良かったですし、真矢ミキさんの意外と淡々とした、感情の入り過ぎない感じのナレーションも、さっぱりとしていて良かったのだと思います。常に色とりどりの花束に囲まれていたコーちゃんが大切に思っていたピンク色や白色のコスモスも印象的でした。これから越路吹雪さんの映像などをどこかで見た時には、きっとコスモスの花を一緒に思い出すのかもしれないなと思います。
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