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ドラマ「弟の夫」

先月にNHKのBSプレミアムで放送されていたプレミアムドラマ「弟の夫」を見ました。録画をしておいた第1回から第3回(最終回)の物語をようやく見ることができました。

小学生になる娘の夏菜(根本真陽さん)と二人暮らしをしている元会社役員の折口弥一(佐藤隆太さん)には、かつて仲の良かった双子の弟・涼二さんがいました。しかし、中学生の頃に涼二さんからゲイであることを告白されると、気持ちがすれ違うようになって会話も少なくなりました。弥一さんは、留学先のカナダに移住し、絶縁状態になったまま病死した弟に対して複雑な感情を抱えていました。そのようなある日、身体の大きな外国人のマイク・フラナガン(把瑠都さん)が弥一さんの家を訪ねてきました。マイクは、涼二さんの同性婚の相手である「夫」でした。病に倒れ、いつか一緒に日本へ行こうという約束を果たすことができなくなった涼二さんのために、カナダから一人で日本へ来たマイクは、しばらく弥一さんの家に泊まることになりました。小学生3年生の夏菜さんは、父親に弟がいることを聞かされていなかったようだったのですが、外国人のマイクが父親の弟の結婚相手であり、「叔父」であることを教えられると、「サンタクロースみたい」な「叔父さん」のマイクを気に入り、すぐに仲良くなったのですが、弥一さんは、ゲイに対する偏見を拭えず、接し方に戸惑うのでした。

脚本は戸田幸宏さん、演出は吉田照幸さんと戸田幸宏さんでした。原作は、私は未読なのですが、田亀源五郎さんの漫画『弟の夫』です。

ある日突然、長い間絶縁状態となっていた、ゲイだった双子の弟のカナダ人の夫が訪ねてくるという、少し特殊な状況の物語であるようにも思えたのですが、弥一さんの心の中からマイクさんに対する、またはゲイに対する偏見が少しずつ消えていく様子が丁寧に描かれていたこともあり、ドラマを見ているうちにいつの間にか、離れて暮らしたり時々会ったりするごく普通の家族の物語であるようにも思えてきました。

大相撲の力士だったとは思えないほど、と言ってはいけないのかもしれないのですが、把瑠都さんの演技が本当にとても良くて、優しくて誠実で自然な雰囲気のマイクさんを演じる俳優さんがもしも把瑠都さんでなかったなら違う物語になっていたのではないかと思えるほどでした。

弥一さんの中のゲイに対する偏見を取り除くためには、カナダ人のマイクのことも、同性愛のことも、同性婚のことも、普通のこととして素直に受け止める小学3年生の夏菜さんの存在も重要だったのだろうと思います。もしも、弥一さんのそばに娘の夏菜さんがいなかったなら、あのようにマイクさんと家族になることはなかったかもしれません。

夏菜さんの友人のユキちゃん(平尾菜々花さん)の母親や、夏菜さんの担任の横山先生(大倉孝二さん)にあったゲイに対する偏見は、マイクさんのことをよく知らない頃の弥一さんが持っていた偏見と同じようなものなのだろうと思うのですが、ドラマを見ていて、私にも、そのような偏見はどこかにあるような気がしました。特に、第1話の中で描かれていた、弥一さんがマイクさんに出会ってある種の生々しさに動揺する感じは、リアルな感覚の描写であるように思えました。でも、それは、同性愛の場合だけではなく、異性愛の場合にもあるものであるような気がします。

そして、このドラマは、弥一さんが同性愛への偏見を乗り越える話である一方で、弥一さんが同性愛者だった双子の弟へのわだかまりを解いていく話、中学生の頃からあまり話さなくなって絶縁状態のまま死に別れてしまった双子の弟がとても好きだったことをマイクさんを通して改めて気付いていく話でもありました。

生きているとか死んでいるとか、近くで暮らしているとか遠くに暮らしているとか、異性愛者だとか同性愛者だとか、日本人だとかカナダ人だとか、血がつながっているとか血がつながっていないとかに関係なく自分たちは家族なのだ、ということを伝える終わり方が、穏やかで、とても良かったです。家族とは何か、結婚とは何か、愛とは何かを考えることのできるドラマになっていたように思いました。

ドラマには、同性愛の人は、マイクの他に、中学生の一哉(小林喜日さん)や、涼二さんの高校時代の親友のカトやん(野間口徹さん)が登場していたのですが、三者三様でした。自分のことをオープンにしたい人はそうできるような、オープンにしたくない人はそうしないままでもいいような、自由な社会であるといいのだろうと思います。

このドラマ「弟の夫」は、いわゆる「LGBT」(性的少数者)を正面から扱う作品になっていたと思うのですが、例えば今年の冬ドラマだった、NHKの「女子的生活」やフジテレビの「隣の家族は青く見える」も、LGBTを扱うドラマでした。LGBTのことが監修付きで正しく扱われるドラマが増えることはとても良いことだと思います。そのような最近のドラマを見ていて、何となくなのですが(そして、上手く伝えることができないのですが)、明治時代からの、「同性愛」(同性同士の恋愛)が「秘められた愛」、「秘密の恋」とされていた時代はもう終わっているのかもしれないなということも、少し思いました。
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Author:カンナ
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