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「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」

NHKのEテレの「ETV特集」の「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」を見ました。何となく気になって、録画をしておいたものです。(Eテレの「ハートネットTV」でも過去に放送されていたようなのですが、私はその特集を未見です。)

番組によると、全国には86校のろう学校があるそうなのですが、東京都の品川区にある、幼稚園生と小学生と中学生が通う明晴学園は、その中で唯一手話だけで学校生活を送ることができる学校なのだそうです。

私は初めて知ったのですが、10年前に開校したろう学校だそうです。全国に唯一ということは、ある種の実験的なモデル校ということなのかもしれません。他のろう学校では、声で言葉を発する訓練をするそうなのですが、明晴学園では、手話しか使わないのだそうです。

通っている子供たちはとても元気で、とても楽しそうな姿が印象的でした。しかも生きることに前向きで、将来の夢(生活の夢)や目標をしっかりと持っているのです。全員がそうなのかどうかは分からないのですが、私の小学生の時と比べて(今の私と比べても)、立派ですごいなと思いました。

耳が聞こえない人は「ろう者」、耳が聞こえる人は「聴者」と呼ばれていました。長年、全国のろう学校では、聴者の世界に適応させるために、声を出して話すという訓練を重視してきたようなのですが、それはとても大変なことであり、子供たちの中には自分の気持ちを上手く伝えることができないというストレスで話さなくなってしまう方も出てきていたようなのですが、明晴学園では、手話だけで会話をするので、そのストレスがないということでした。

できないことをできるように頑張るというよりは、できることをよりできるように伸ばすという教育方針なのかなと思いました。このような学校が東京の品川にしかないために、他の道府県から家族で東京に引っ越した方もいるそうです。

子供たちの手話での会話表現や朗読が、私には、パントマイムや演劇のようにも見えたというか、手だけではなく、顔の表情や前身の動きを使って自分の思いや考えを伝えようとしている感じが、とても豊かに見えました。

私はその学校の子供たちの会話を字幕の文字で見ていたのですが、この番組のタイトルの「静かで、にぎやかな世界」が、とてもよく合っているように思えました。

聴者は相手のほうを見なくても相手の話を聴いたり答えたりすることができますが、ろう者は相手のほうを必ず見ないといけないようです。あの豊かな表情が会話には欠かせないという様子を見ていて、上手く伝えることができないのですが、例えば人を見抜く観察の力は、聴者とろう者のどちらのほうにより多くあるというものではないように思いました。

目が見えない場合は、という風にも考えたのですが、いつか見たドキュメンタリー番組では、目の見えない子供たちが学校の廊下をすごい速さで元気に走り回っていて、それができるのは頭の中に地図のようなものができているからだと説明されていました。

例えば、私には幽霊や妖怪やUFOを見る力や絶対音感、共感覚の文字に色がついて見えるなどの力が全くないのですが、そのような特殊な力を小さい頃から持っている人たちの感じている世界は、私には想像する以上には感じ取ることができないような世界で、その力を持っている人たちにとっては、その力が消えた状態の自分自身を考えることは難しいのではないかなと思います。妖怪を見ることができたら面白そうだなと思うのですが、妖怪が見えない私は特に「かわいそう」というわけではありません。

番組では、スタッフの方が、もしも聴者になる薬があったら飲んでみたいと思いますか、というような質問を子供たちにしていました。飲んでみたいと答える方も、飲まないと答える方もいて、いろいろだったのですが、飲んでみたいと答えた方は、聴者のろう者に対する考え方を知りたいとか、聴者とろう者が一緒に自由に暮らせるための対策を考えたいとか、そのような意識があるようでした。

聴者の通う高校へ進学するのにも、設備がないとかろう学校へ通ったほうがいいのではなどと複数の高校に断られて、大変のようでした。今は桜美林大学に通っている一期生というヒロさんという方は、大学の職員の方に積極的に相談をして、耳が聞こえなくても授業を受けることができるように改善していました。ホワイトボードを使った筆記の会話も、学生同士の会話の役に立っているようでした。耳の聞こえない人が困っていることと、留学生が困っていることには共通点があるというところも、確かにそうなのかもしれないなと、新しい発見のように思えました。

手話という会話手法そのものを知らない方もいるそうで、最後、10年後の社会について訊かれたヒロさんは、10年後には多くの人が手話があるということを知っているようになっていてほしいという趣旨のことを話していました。

私は、小学生の時に少しだけ手話を教えてもらったことがあり、その時には、日本語の手話で挨拶をしたり自己紹介をしたりすることができたのですが、その後手話を使う機会が日常の中で全くなかったということもあり、今はすっかり忘れてしまっています。言葉は、日々使わないと忘れてしまいます。

そのような私が言うことではないかもしれないのですが、もしかしたら、簡単な手話や点字などを、例えば小学校で必ず教えるという風にしたら良いのではないかなと、今回の番組を見ていて思いました。小学生の時に習ったなら、きっと自然に楽しく覚えることができるような気がします。

両親は聴者だったというろうのご夫婦が、生まれた子供がろうの子供で良かったと喜んでいたことも、印象的でした。社会に適応するということは、自分を肯定し、自分らしくあまり無理をせずに楽しく生きるということでもあるのだなということも、番組を見ていて思いました。それは簡単なことではないのかもしれませんが、この番組に出演していた明晴学園の「手話で生きる子どもたち」があまりにも輝いて見えたので、何というか、まだこの世界には希望があるような思いがしました。
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Author:カンナ
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