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映画「ズートピア」

昨夜、日本テレビの「金曜ロードショー」枠で地上波初放送されていた、2016年公開のディズニーの3Dコンピュータアニメーション映画「ズートピア」を見ました。

世の中を良くしたいという希望を持ってウサギの中で初めて(小型動物の中で初めて)警察学校を卒業し、大都市・ズートピアのライオンのライオンハート市長とヒツジのベルウェザー副市長に祝福されて、にんじん畑の田舎町から草食動物と肉食動物が共存するズートピアに出て来た新米警察官のジュディ・ホップスが、署長の水牛のボゴの命令で14名の肉食動物失踪事件の捜査には参加させてもらえず、仕方なく駐車違反を取り締まる任務を遂行していた時、夢が叶うとは限らないと世の中を冷めた目で見ている地元のキツネの詐欺師のニック・ワイルドと出会い、脱税の証拠となる録音データでニックを脅して捜査に協力させて行方不明になったカワウソのオッタートン夫人の夫のエミットを捜す中、裏社会を仕切るネズミのミスター・ビッグに教えられて訪ねた元タクシー運転手のジャガーのマンチェスが突然野生化するという事態に遭遇し、マンチェスが話していた「夜の遠吠え」について調べを進めるうちに、ズートピアが隠していたある秘密を知り、相棒となったニックと二人でズートピアの平和な社会を守るために奔走する、というような話でした。

脚本はジャレド・ブッシュさんとフィル・ジョンストンさん、監督はバイロン・ハワードさんとリッチ・ムーアさん、共同監督はジャレド・ブッシュさん、音楽はマイケル・ジアッチーノさん、製作はクラーク・スペンサーさん、製作総指揮はジョン・ラセターさんという作品です。

私はこの映画のことを、公開当時に話題になっていたということ以外にはよく知らず、面白そうかなというくらいの気持ちで見始めた映画だったのですが、とても面白かったです。

動物を擬人化したアニメーション映画ということで、映画の公開当時に流れていた「ズートピア」の映像を見た時、私は、昔の東映アニメの「メイプルタウン物語」や、映画「ドラえもん のび太のアニマル惑星(プラネット)」のことを何となく思い出していたのですが、映画「ズートピア」の登場人物(登場動物)たちは、そのような作品の擬人化された動物たちとは異なり、どちらかというと手塚治虫の「ジャングル大帝」の動物たちに近いというか、その動物らしい特性を残して人間化されているという印象でした。

「メイプルタウン物語」や「のび太のアニマル惑星」や「鳥獣人物戯画」などの擬人化された動物たちは、現実の動物の身体の大きさとは関係なく、ほぼ同じ大きさで描かれていますが、「ズートピア」の動物たちは、動物の種類ごとにそれぞれの大きさで描かれていました。

「ズートピア(Zootopia)」は、「zoo(動物園)」と「utopia(理想郷)」を合わせた造語のようです。大都市のズートピアでは、かつては食べられる・食べるの関係にあった草食・肉食の動物たち(哺乳類ばかりだったように思います)がお互いを尊重し合って仲良く共存しているのですが、同じ街中に混ざって住んでいるというよりは、それぞれの動物の大きさや環境に合った地区ごとに分かれて住んでいるようでした。建物や列車のドアの大きさ、駅の出入り口も大きさによって分かれていました。でも、それは、その動物が暮らしやすいようにという配慮の下に設計されているという、バリアフリーの感じでした。差別ではなく区別、ということなのだと思います。

そのように進化した大都市ですが、動物たちの間には、まだ「種類」を気にした差別があり、ジュディがウサギ初(小型動物初)の警察官になったのも、小型草食動物のウサギは警察官にはなれないという、大型動物や肉食動物からの偏見があったためでした。また、ジュディの両親であるウサギ自身も、ウサギが警察官になるのは無理なのではないか、大都会に出るよりも田舎でにんじんを売る仕事をしていたほうが安全なのではないかと心配し、キツネ対策用の防犯グッズを娘のジュディに持たせていました。

この物語は、世界をより良いものにしていくために、自分の中にもある差別や偏見や思い込みや決めつけや古い常識を自覚し、乗り越えていく話だったのだと思います。

現実は厳しいので、みんなが仲良く暮らし、誰でも何にでもなれるという理想通りにはいかないかもしれないけれど、お互いをよく知って理解しようと努めれば、その理想に近付いていくことができる、まずは自分を見つめ、諦めずに自分を変えることから始めようというような内容の、最後のジュディの警察学校での演説の言葉に集約されていたように思います。

「生物学的に」とか「DNAの中に組み込まれている」などの何となくもっともらしく聞こえる説を持ち出して草食動物たちの間に肉食動物への猜疑心や恐怖心を植え付け、平和な社会を恐怖政治で分断しようと目論んでいた“巨悪”に、警察官として立ち向かっていったウサギのジュディとその相棒のキツネのニックがかっこよかったです。

「金曜ロードショー」の映画「ズートピア」の解説には、「友情と冒険」の物語だと書かれていて、確かに「友情と冒険」の話でもあるのですが、それ以上に、「ズートピア」の世界は、現実の人間の今の社会と未来の社会をよく表していたように思います。人間で描いたなら重くなってしまうかもしれない話を、ユーモアのある動物たちの絵とポップな音楽のエンターテインメント性で軽くしていたのだと思います。

ジュディやニックもそうだったように、多様性を認めて生きると言いながら、自分の中にも自覚的・無自覚的な差別や偏見の考えがあって、それが思わぬ時に出て、その不用意な言動で相手を傷つけてしまうということは、やはりあると思います。

ウサギはにんじんが好きとか、キツネはずる賢いとか、ヒツジは眠る時に自分の数を数えるのかとか、動物に対する人間の妙な思い込みも登場動物たちの姿に重ねて描かれていたように思いますが、これもあえてそのように描いたということなのかなと思います。(映画の中の肉食動物または元肉食動物たちは、アイスキャンディやケーキやドーナツなどのお菓子や野菜や果物を食べていたように見えたのですが、「肉」は食べていないということなのでしょうか。草食動物たちは、草食動物らしく?野菜や果物を食べていたのですが、肉食動物だった動物たちだけが「肉」を食べなくても済むように進化したということなのでしょうか。少し気になりました。)

キャラクターの絵もその動きもかわいらしかったですし、正義感の強い新米警察官と意外と優しい詐欺師が協力し合って謎の事件の真相を追う社会派ミステリーとしても、単純に楽しく見ることができたのですが、昨夜のこのアニメーション映画を見ながら、現代の民主主義国家アメリカのディズニー作品らしいよく練られた物語の映画だなと思うと同時に、作品を見る人に自己反省を促す自省の映画だなとも思いました。

ともかく、映画「ズートピア」には、動物を擬人化した映画というだけではない新鮮さがありました。私が見たのは日本テレビの「金曜ロードショー」の日本語吹き替え版ですが、見ることができて良かったです。もう一度見たなら、あるいは吹き替えではないもので見たなら、また違う発見があるのかもしれません。
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Author:カンナ
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