愛国ソングを知らない

先日、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」の「RADWIMPS、ゆず、椎名林檎・・・J-POPにも登場!?『愛国ソング』~その傾向と対策」を聴きました。

「愛国ソング」や「愛国歌謡」などと呼ばれている歌を私はよく知らないので、面白そうに思って聞いてみたのですが、確かに丁寧な解説付きの「傾向と対策」になっていて、面白かったです。ゲストは、近現代史研究者の辻田真佐憲さんと大阪市立大学教授の増田聡さんでした。

アニメ映画「君の名は。」の主題歌を歌っていたことでも有名な?RADWIMPSの新曲の「HINOMARU」という曲が「愛国ソング」として話題になっているらしい、ということを私は最近知ったのですが、その歌をこの番組の中でようやく聴くことができました。

「愛国」とは何か、というところから本当は考えなくてはいけないのかもしれませんが、この場合の「愛国ソング」というものは、主に右翼的な思想を歌うもののようです。ただ、私は「軍歌」を知りません。昔に右翼の方たちのカーキ色の街宣車から大音量で流れていたのを聴いたことがあるように思うのですが、歌自体は憶えていません(力強い行進曲のような音楽だったような気もします)。

小学校の音楽の教科書に載っているような、例えば「ひのまる」(戦後改訂版)や「ふじの山(富士山)」、「朧月夜」、「花」、「荒城の月」、「さくらさくら」、「椰子の実」のような歌は、日本の風景を歌ったきれいな歌だと思いますが、このようなごく普通の美しい文部省唱歌は「愛国ソング」には入らないのかもしれません。

RADWINPSというバンドの曲事体、私はほとんど知らないのですが、日本テレビのドラマ「フランケンシュタインの恋」(脚本は大森寿美男さん、主演は綾野剛さん)を好きで見ていたので、そのドラマのエンディングに流れていた主題歌の「棒人間」という曲は好きでした。

白地に赤丸の「日の丸」(日章旗)が日本の国旗となったのは、明治時代からだそうです。それまでは徳川幕府が使っていたそうなのですが、日章旗は武田信玄も使っていたようでした。最古のものとされる日章旗が今も残っています。ラジオで紹介されていたそのRADWINPSの「HINOMARU」(ローマ字です)という歌を聴いて気になったのは、一部の右翼の方たちが使いそうな用語が並んでいる曲だなということよりも、現代語と古語が混ざっている歌なのだなということでした。

現代語(口語)と古語(文語)が混ざっている歌詞の歌というと、私は松任谷由実さんの「春よ、来い」という歌を思い出します。今は少し慣れてきているのですが、昔、ニッポン放送のラジオ番組「松任谷由実のオールナイトニッポン」の中で、この「春よ、来い」を新曲として初めて聴いた時、現代語と古語がごちゃ混ぜだなと、私には少し違和感があったのです。その後、いきものがかりの「SAKURA」を初めて聴いた時にも、「春よ、来い」みたいな歌だなと何となく思っていたのですが、今はそのような歌詞の歌は多いですし、以前ほどには気にならなくなってきました。現代語と古語のごちゃ混ぜの手法は、歌詞を“和風”の雰囲気にする際に便利ということなのだろうと思います。

「セッション22」の中で紹介されていた10曲ほどの「愛国ソング」?を聴いた中で、私にも意外と面白く思えた歌は、K DUB SHINEという方の「凶気の桜」と般若という方の「オレ達の大和」(解説でも言われていましたが、私にも反戦の歌に聴こえました。ただ、ラップの曲の歌詞は私には少し聞き取り辛いです)と、最後に流れていた、ピチカート・ファイブの「君が代」でした。普通の「君が代」はゆっくりとした曲ですが、ピチカート・ファイブの「君が代」の曲は、おしゃれでニュートラルな雰囲気にアレンジされていたように思います。

RADWIMPSの「HINOMARU」を作った野田さんという方は、この歌のことで(曲を聴いて「傷ついた人達」へ向けて?)SNSで「謝罪」をしたそうなのですが、歌を聴いた人々の感想が賛否両論の「賛」ばかりではなかったとしても、この歌は例えば人種差別をするようなヘイトスピーチ的な歌ではないようでしたし、自信を持って世に送り出したご自身の作品について「謝罪」をする必要はないのではないかなとも思いました。それに、「特定の思想はない」という作者の方の発言が仮に事実なのだとしても、作者の思想というものは作品の中に表れるものだと思います。例えば近年の自民党を支持する方が右派であるなら、右派は体制的・権力的、左派は反体制的・反権力的ということになるのでしょうか。思想を右派的か左派的かに分けるのが正しいのかどうかもよく分かりませんが、一個人である作者の方が多少右派的でも左派的でも(極右や極左だったら少し怖そうにも思いますが)、別にどちらでもいいのではないかなとも思います。

「愛国」の“反対語”にははっきりとしたものがないようです。「売国」という言葉がありますが、それでしょうか。「非愛国」という言葉もあるようなのですが、「○○ではない」は反対語とは言えません。熟語の「愛憎」から考えると「愛」の反対語は「憎」ですから、「愛国」の反対語は、あるいは「憎国」になるのかもしれません。「愛国」の「愛」が「好む」というくらいの意味であるなら、その反対語の「嫌う」を使った「嫌国」になるのかもしれません。「愛国」に似た熟語としては、「愛人」や「愛猫」や「愛犬」や「愛鳥」などがありますが、いずれにしても、ある個人の国や人や猫や犬や鳥を愛する気持ち、好ましく思う気持ちは、他の誰かによって否定されるものではないと思いますし(ストーカーは嫌だなと思いますが)、他の誰かによって押し付けられるものでもないと思います。他者との「一体感」を得るために、そのように装ったり、振る舞ったりするものでもないと思います。それに、「愛」や「恋」や「好き」は、大々的に公表しなければいけないものではないはずです。ある人の心の奥深くには、他人には全く気付かれないほどに秘められている「愛」があるかもしれません。「神様」への信仰心などもそうかもしれませんが、他人から見て、あの人はそれを愛している、あの人はそれを愛していない、と見分けるのは、意外と難しいことなのではないかなと思います。

先日に見たNHKのBSプレミアムのドキュメンタリー番組「アナザーストーリーズ」の「その時、市民は軍と闘った~韓国の夜明け 光州事件」(自国民に暴力を振るう軍事独裁政権に抵抗し、市街戦で多数の死傷者を出しながらも、7年間かけて民主化を自分たちの手で勝ち取った韓国の人々はすごいなと思いました)の中では、軍と戦う若い人々が歌っていた「ムクゲの花」で始まる歌詞の歌が「愛国歌」だと紹介されていました。ムクゲは、アオイ科フヨウ属のきれいな夏の花だそうです。ハイビスカスにも似ています。

今は、「2018FIFAワールドカップ」がロシアで開催されています。東ヨーロッパでは初めての開催となるそうです。私もいくつかの試合やその報道を何となく見ているのですが、RADWIMPSの「HINOMARU」という歌は、フジテレビ系のサッカー番組のテーマ曲に起用された「カタルシスト」という曲のカップリング曲なのだそうです。その他のサッカー番組のテーマ曲(J-POP)は、NHKはSuchmosの「VOLT-AGE」、日本テレビはNEWSの「BLUE」、TBSはEXILEの「Awakening」だそうです。ただ、以前よりも小さな音で流れているのか、中継を見ていてもどこに流れているのかよく分かりません。過去のワールドカップテーマ曲の中では、私は、2002年の日韓大会の時によく流れていたポルノグラフィティの「Mugen」が好きです。

日曜日の夜だったと思うのですが、元日本代表の宮本恒靖さん(日韓大会の頃、黒く塗ったフェイスガード姿の印象からメディアは宮本さんを「バットマン」と評していたのですが、「バットマン」をよく知らなかった私は、最初にその宮本さんの姿を見た時、映画「マスク・オブ・ゾロ」の「ゾロ」だと勝手に感動していました)と田中マルクス闘莉王さんが解説に来ていたフジテレビの番組を見たのですが、その番組の中でゲストの方の一人が紹介していたスポーツ雑誌『Number』の表紙を見て、「特集 本田圭佑」の「僕は日本人の血を信じている」という言葉を読み、「日本人の血」か、と少し驚きました。「○○の血」という言葉としては、私は、スタジオジブリの宮崎駿監督のアニメ映画「魔女の宅急便」のウルスラの「魔女の血、絵描きの血」という台詞を思い出します。

ラジオ番組で紹介されていたいくつかの「愛国ソング」とは少し違うかもしれませんが、中島みゆきさんの「4.2.3.」という曲も、印象深い曲だと思います。『わたしの子供になりなさい』というオリジナルアルバムの中に入っていた歌で、1997年の4月23日(日本時間)にペルーの軍や警察が日本大使公邸に突入して日本人の人質を解放した、在ペルー日本大使公邸占拠事件の報道をもとにした歌です。その事件が当時「テロ事件」という風に呼ばれていたかどうかを私は憶えていないのですが、日本は橋本龍太郎総理大臣、ペルーはフジモリ大統領の時代でした。

何か海外で事件や事故があった際に、日本人はいませんでした、日本人は無事でした、日本人は救出されました、などと日本人向けに伝える国内の報道は、今でもあると思います。他の国の報道でも、自国民はいなかったということを真っ先に報じるのか、そうする決まりになっているのか、私には分からないのですが、日本人の無事の情報を真っ先に報じるという報道の仕方は本当に正しいのかなと、少し疑問に思います。在ペルー日本大使公邸占拠事件の場合は(事件の詳しい内容は分からないのですが)、人質の救出に向かったペルーの方も亡くなっていたようだったので、ニュースを見ていた当時は余計にそのように思えたのだと思います。
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