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「外国人収容者と共にありて」

NHKのEテレで日曜日の早朝に放送されている「こころの時代~宗教・人生~」の「外国人収容者と共にありて」というドキュメンタリー番組を見ました。何となく気になって、録画をしておいたものです。

長崎県の大村入国管理センターという、政府が強制退去を命じた120人ほどの外国人が収容されている法務省の入国管理局の施設で、2005年から13年間、のべ3800人の収容者との面会を続けている牧師の柚之原寛史さんという方の話でした。語りは高橋美鈴アナウンサーでした。

牧師さまということは、柚之原さんはキリスト教のプロテスタントの方なのかもしれません。柚之原さんは、27歳の頃まではキリスト者ではなかったそうです。自衛官の父親と母親と姉との4人家族の中で、キリスト教を信仰していたのは喘息の母親一人だったそうです。自衛官の父親が長崎県大村市に赴任することになり、母親の喘息も治るかもしれないということで家族で大村に移り住んだそうなのですが、しばらくして母親は重い病気になって病院で寝たきりの状態になってしまい、柚之原さんも父親と一緒に母親の介護を行っていたそうです。認知症になった寝たきりの母親が苦しそうに涙を流していて、よく見ると舌を噛んで口から血を流していたということもあったそうです。出口の見えない母親の介護生活の中で、柚之原さんは、キリスト教を信仰していた母親がなぜこのように苦しまなければならないのか、この世には神も仏もないと憤りを感じていたそうです。

柚之原さんは9か月間母親の介護を続けていたそうなのですが、母親の死期が近いということで病院に集まった家族の前で、窓の方を向いて横になっていた母親は、呼びかける家族の声に振り向くように筋力が衰えているはずの身体を動かして、絞り出すような大声を上げて、その直後に息を引き取ったのだそうです。そのお母さまの壮絶な最期に接した時、柚之原さんは、生命を与え奪い去る「神」の存在を感じたということでした。そして、お母さまの信じていた「神」を信じるようになった柚之原さんは、神職の勉強をして、牧師になったそうです。

牧師の柚之原さんは、養護学校の教師をしているという奥さまと一緒に、大村市の長崎インターナショナル教会という小さな部屋の教会でイエス・キリストの教えを訪れた人々に伝えているようでした。

解説によると、入国管理センターに収容されている外国人は、政府から強制退去を命じられたものの、自国で生命の危険を感じて日本に逃れてきたために帰国するとそこにいる政府や組織に殺される恐れがあるということで、難民認定を申請しているそうです。しかし、いつまで収容されるのか、なぜ収容され続けるのか、収容者自身もその家族も教えてもらえないそうです。収容者の中には、6年も収容されている人がいるそうなのですが、その人をいつまで収容するかという収容期間は、裁判所の判断を仰がずに入館管理局の職員が決めていいことになっているのだそうです。

仮放免を申請し、申請が通れば一定期間は外に出ることができるが、不許可になった時には理由なく収容施設に連れ戻されるのだそうです。さらに、柚之原さんによると、理由は分からないそうなのですが、今年の春から仮放免が許可されなくなったということでした。

強制送還を恐れる収容者の方たちは、空も自由に見ることができない部屋に閉じ込められ、防犯カメラで監視され、家族にも会えず、何もすることのない不安な日々を過ごす中で、自殺をするほどに精神を病んでいくようでした。収容施設の中で日本語を勉強しているというある収容者は、日本語で手紙を書いて、面会に訪れた牧師の柚之原さんに、私たちは精神的にいじめられている、もう疲れたと、苦しみや悲しみや不安の思いを訴えていました。入国管理センターという外国人収容施設は、収容されている人たちが刑務所より酷いと思えるほどに、「人権」の重んじられていない場所であるようです。

柚之原さんは、大村入国管理センターのカウンセリングルームに「大村アンテオケ教会」を作り、、先の見えない外国人収容者たちと会って話を聴き、言葉をかけていました。「アンテオケ」は、エルサレムで迫害された人々がたどり着いた外国人の村の名前だそうです。柚之原さんは、週に1日、多い時には3日、大村入国管理センターへ面会に行くそうなのですが、そのきっかけは、13年前のある日、東京の品川の教会の牧師?から、今度知り合いの中国人の女性が大村入国管理センターに移送されることになったので様子を見て来てほしいと頼まれたことだったそうです。そうして、大村入国管理センターの外国人収容者たちのことを知り、大村入国管理センターに通うようになったそうです。礼拝を行っているのは、日本全国にある入国管理センターの中で、大村入国管理センターだけなのだそうです。

家族の存在が唯一の支えという人も多いそうで、柚之原さんは、入管制度のシステム自体に大きな誤りがあるのではないかと思う、自分には法律のことは分からないけれど、少なくとも、苦しんで命を絶とうとしている人が今この瞬間にいるということは間違いないと話していました。

柚之原さんは、大村入管管理センターに通い始めた頃には、自分が彼や彼女たちに何かをしてあげているという「上から目線」の思いが少しあったそうで、お前の仕事は弁護士を探してくることだと相手に怒鳴られたりした時には、怒りの気持ちが出てきたこともあったそうなのですが、自分が気付かされることの方が多いと気付き、思いが変わっていったそうです。

柚之原さんは、収容者たちの話をよく聴いて、寄り添っていたのですが、それだけではなく、実際に、仮放免の許可が下りるようにするために、身元保証人になってくれる人を探したり、自身が代理人になったりして、難民認定の裁判の支援なども行っているということでした。

仏教国のミャンマー(ビルマ)で迫害されて日本に来ているイスラム教徒のロヒンギャの人たちのためにも力を尽くしているそうで、柚之原さんは、群馬県館林市で在日ビルマロヒンギャ教会難民部長の方や10年前に大村入管管理センターに収容されていたという方たちと会っていました。

今はどうなのか分かりませんが、あるいは他の地域の入国管理センターがどうなのかということも分からないのですが、10年前の大村入国管理センターでは、イスラム教徒の収容者のために「ハラル」の食事が用意されることもなかったようでした。食事ができないイスラム教徒の外国人収容者のために、柚之原さんが差し入れをしたこともあったそうです。牧師の柚之原さんは、祈りだけではなく、現実的、物理的にも、外国人収容者の方たちを救おうとしていました。

大村入国管理センターを仮放免で出た9人中の3人は、まだ難民とは認定されていないということでした。仮放免の場合、決められた県内しか移動できず、2か月ごとに延長の手続きをするために入国管理センターへ行かなければならないそうなのですが、その際に理由なく拘束されることもあるそうです。ある方は、2か月に一度検査へ行かなくてはいけないのだが、部屋に入るよう促された時に部屋に入ったらもう出られないと話していました。

また、仮放免中は「労働の禁止」の規定によってアルバイトをすることもできないため、家族や知り合いに生活を頼るしかないのだそうです。働いていないかどうかを確認するための職員が1か月に2度も自宅を訪ねてくると証言している方もいました。

入国管理センターに収容されていた外国人は、出ても生活が苦しく、盗んだり、薬物に手を出したりして、犯罪者になって再び入管される人もいるそうです。誰かとつながりを持つことができずに孤立してしまう人に特にその心配があるということでした。ただ、それは、最初から日本に暮らす日本人であっても同じことかもしれません。

柚之原さんは、私が「隣人(となりびと)」となって寄り添っていきたいと話していました。柚之原さんは、佐賀県の介護施設(グループホーム)では、認知症の方々の不安とも向き合っているそうです。柚之原さんは、立場の弱い人、もっとも小さき者の心の中にイエス・キリストはおられると考えていました。

乗り越えられそうにもない困難、苦難、艱難(かんなん)を経験している人たちはみんな、ある意味では「難民」なのであり、苦しみを追った人は日本の中にもいる、目の前にそういう人たちがいる限りは面会を続けたいと話していました。

私は、「入国管理センター」という施設があることさえ最近まで知らなかったのですが、茨城県牛久市にある東日本入国管理センターに収容されていたインド人の方が収容生活に絶望して自殺をしたということや、入国管理センターにはほとんど人権がなく、その入国管理行政のことで国連の人権委員会も日本政府に是正勧告しているというようなことを報道で聞いて、今の日本ではそのようなことが起きているのかと驚きました。

日本政府は東京オリンピック・パラリンピックを2020年に開催する予定(昨夜の報道によると、両大会経費の合計試算は1兆3500億円で、そのうち組織委員会と東京都が6000億円ずつ、国が1500億円を負担するとされていたものの、会計検査院が調べたところ、すでに国は8011億円も支出していていて、今後も増えそうだということでした。何に税金を使っているのでしょうか。招致の時に述べていた“コンパクト五輪”や“復興五輪”はやはり無理だったようです)ですし、日本に来る外国人旅行者や単身の?外国人労働者をさらに増やそうという政策を行っているようですが、大手メディアというか、NHKや民放の地上波の情報番組や報道番組では、法務省の入国管理局の外国人収容施設で「基本的人権」が軽んじられているかもしれない問題について、なぜかほとんど取り上げていないので、私もNHKのEテレのドキュメンタリーやラジオの報道で知るくらいにしか知ってはいないのですが、今回の「こころの時代」の番組を見て、日本政府には「苦しんで命を絶とうとしている人が今この瞬間にもいる」ということをもっと真剣に考えてほしいということを改めて思いました。

先日の報道によると、政府が「人手不足の解消」として進める外国人労働者の受け入れ拡大に対応するために、法務省は、来年の4月から入国管理局を「格上げ」し、「入国在留管理庁(仮)」を設置する方針を固めたのだそうです(外国人の受け入れ拡大の政策は、移民を受け入れる政策とほとんど同じだと思いますが、安倍政権を右派や保守派などと考えて支持する“右派”の方々も賛同しているのでしょうか)。

政府は防災省や防災庁の創設には消極的なのに入国管理局は入国管理庁にするのかと、少し不思議な感じもしたのですが、もしも来春に入国管理局が入国管理庁になったなら、入国管理センターで外国人収容者の人権が無視されているというような問題は、改善されることになるのでしょうか。それとも、今よりももっと厳しくするということなのでしょうか。

例えば、もしも自分や自分の家族や友人が、突然外国で逮捕されて、収容施設に送られて、理由も告げられずに長期収容されることになったらと思うと、とても嫌な気持ちになります。イスラム教徒の収容者にイスラム教の教えの中で食べてもいいとされているハラル(ハラール)の食事を出すことなどについて、外国人犯罪者になぜ気を使わなければいけないのかと考える日本人もいるそうなのですが、日本政府(法務省)の管轄の施設として、そのような点には絶対に気を使うべきだと思います。先日、NHKのニュース番組で昆虫食を取り上げていて驚いたのですが、昆虫を食べない人に昆虫食を出さないほうがいいのと同じくらい、気を使うべきだと思います。

牧師の柚之原さんのような方がいるということも、私は初めて知ったのですが、すごいなと思いました。小さな教会を作って礼拝を行っているのは全国で長崎県の大村入国管理センターだけだということですが、他の入国管理センターでも、礼拝やそれに近い、長期収容者の心が多少なりとも救われるような対話のある何かが、刑務所に教誨師がいるように、信頼できる方によって行われるといいのではないかと思いました。

牧師の柚之原さんは、大事な箇所に赤線の引いてあるお母さまの聖書を大切に読んでいるようでした。

先日のNHKの「歴史秘話ヒストリア」の「世界遺産 長崎・天草 キリシタン不屈の物語」では、潜伏キリシタン(かつてはキリシタンで、禁教令の時代には隠れキリシタンだった信徒)の方が、「苦難に耐える」ことを話していて、それを信徒としての誇りとしているようだったのですが、生き抜くためには耐えることが大事だとしても、私としては、耐え続けるよりは、早く救われてほしいと思います。もしかしたらこのように言ってはいけないのかもしれませんが、当時のキリスト教の宣教師の方たちには、命の危険を感じたらいつでもこの信仰を捨てて構わない、嵐が過ぎ去った時にまた信じてくれればいい、私たちの神はあなたたちが生きることを願っていると、そのようなことを、神を信じて命を落とす信徒の方たちに対して言ってほしかったようにも思うのです。

イスラム教徒の外国人収容者の中には、柚之原さんに出会って、自国に強制送還されたら殺されるということを考えながらも、救いを求めてキリスト教に改宗した方もいるようでした。救われるといいなと思います。そして、日本全国にあるという入国管理センターなる収容施設内での人権や人道の問題、収容理由が秘密にされるという問題などは、ある宗教の「神」ではなく、日本政府や法務省によって改善できることなので、すぐに改善してほしいと思いました。

「こころの時代~宗教・人生~」(日曜日の早朝、または土曜日のお昼頃に放送されています)を私は毎回見ることができているわけではないのですが、何となく気になって見ることにした今回の「外国人収容者と共にありて」は、「NHKスペシャル」や「ETV特集」で放送されていても良い内容にも思えました。見ることができて良かったです。
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Author:カンナ
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