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「カゲロウの羽」

日曜日のお昼の頃にNHKのBSプレミアムで放送され、録画をしておいた、NHK高知放送局開局80周年記念ドラマ「カゲロウの羽」を見ました。「高知発地域ドラマ」です。

「カゲロウの羽」というタイトルを聞いて、私は最初それが何のことか分からずにいたのですが、高知であることと、主人公の父親の楠木弦之助(石橋蓮司さん)が自宅の隣の工場で和紙を漉いている場面を見て、いつか何かの特集で見た「典具帖紙」のことを思い出しました。

高知県の仁淀川のある街を舞台にした45分ほどの、最近の地域ドラマでは少し短めのドラマだったのですが、さわやかな作品でとても良かったです。昨年の8月の頃に、NHKで「仁淀川 知られざる青の世界」という特集を見て、私は初めてこの清流のことを知りました。仁淀川の水の海へ出るまでを、四季を追って紹介する番組で、写真家の高橋宣之さんが美しい風景を切り取っていました。本当に透明な美しい水の流れている川で、映像を見ていて、とても驚きました。川の青い色は「仁淀ブルー」と呼ばれているそうです。昨日のNHKスペシャルでも「仁淀川 青の神秘」というタイトルで放送されていました。映像は少し違っていた部分もあったように思うのですが、再編集をした番組だったように思います。ドラマの中で三郎さんが持っていた雑誌の水中のカワガラスの写真は、高橋さんの撮影した「ブルーエンジェル」だったのかもしれません。

ドラマの主人公は、小学校で給食指導をしている42歳独身の楠木小夜子(あらいすみれさん)でした。土佐典具帖紙を作る和紙職人の楠木弦之助(石橋蓮司さん)の父親と30年近くの二人暮らしをしていたある日、近所の郵便局の奥さんの村山敏子(角替和枝さん)が持ってきたお見合い写真の相手の香川県の医師で47歳の崎岡直也(槌谷大作さん)に、小学2年生の子供がいると聞いて、最初は断ろうとしていた崎岡さんと会うことにしたのですが、お見合いの途中、急患の連絡を受けた崎岡さんは病院へ戻らなければならなくなり、小夜子さんは、父親から一人で家に帰るよう言われた息子の晴(込江海翔さん)を自宅で預かることにしたのでした。

小夜子さんの父親の弦之助さんは無口な職人さんなのですが、5歳の頃に母親を亡くしたという晴君も無口な子で、その二人の雰囲気が何だかとても良かったです。

ドラマの冒頭で、中学生の頃の小夜子さん(梶原妃菜子さん)が、雨の音のする中、仁淀川の沈下橋という橋の手前で佇んでいて、現在の大人の小夜子さんもその橋を渡ることができずに迂回していたのですが、それは、大雨の日、小夜子さんを迎えに行った母親のゆみこさんが、増水した仁淀川の鉄砲水に流されて亡くなってしまったためでした。

それ以来、小夜子さんは父親と二人で暮らしていたようなのですが、それまで結婚をせずにいたのは、父親を一人にすることを心配しているからということだけではなく、母親の死の原因が自分の嘘にあったことを後悔していたからでもあったようでした。

母親の亡くなった日、小夜子さんは幼馴染みの宮田三郎(荒川良々さん)の家のコウゾを採る仕事を手伝いに行くと母親に言っていたようなのですが、本当は男子生徒と街へ遊びに行っていたようでした。母親が自分の嘘を信じて、三郎さんの家に小夜子さんを迎えに行こうとして沈下橋を渡ろうとし、鉄砲水に流されてしまったということでした。

弦之助さんと一緒に和紙漉きをした晴君が、そのはがきの大きさの和紙に亡くなった母親へ「お誕生日おめでとう」と書いているのを見た小夜子さんは、その日だったらしい晴君の母親のお誕生日のお祝いのケーキや料理を作り、晴君も喜んでいました。

朝、弦之助さんが作って置いてくれたらしい白い和紙の凧を、小夜子さんと晴君が仁淀川の川原のところで揚げていた場面も、さわやかでした。

晴君が帰る日、弦之助さんは工場に掛かっていた、紅や梅の色のような濃く明るいピンク色の、とても薄い典具帖紙を晴君にプレゼントしていました。向こうが透けて見えるほどとても薄い和紙なのですが、簡単に千切れることのないほど丈夫な紙でもあるようで、「カゲロウの羽」と呼ばれているそうです。この羽でどこまでも飛んで行ける、と聞いた晴君は、小夜子さんと道を歩きながら、その和紙を光に透かしながら、風にふわふわとさせていたのですが、強い風が吹いた時に飛ばされてしまい、晴君は舞う和紙を追いかけて走り出し、坂を下って沈下橋の上を走り、晴君を追いかけた小夜子さんも思わず橋を渡り、和紙のために仁淀川へ落ちそうになった晴君を捕まえると、小夜子さんはその場に座り込んでいました。

橋に恐怖心のあった小夜子さんは、最初は晴君に手をつないでもらっていたのですが、少しして、仁淀川の周囲の静かで穏やかな雰囲気に気付いた感じになって、辺りを見渡していました。そして、晴君を迎えに来た崎岡さんに気付いた晴君は父親のところへ走り出し、小夜子さんもごく自然にその後を歩いていて、バードウォッチングと写真が趣味の三郎さんを驚かせていました。

敏子さんの「オーダー」が「通販」だったところも面白かったのですが、盛大な結婚式をしないと決めた小夜子さんのために、敏子さんは白いワンピースを送ったようで、いつも黒い感じの地味な洋服ばかり着ていた小夜子さんは、その半袖の白いワンピースを着て父親に挨拶をしようとしていたのですが、娘からの挨拶の場面のテレビも消していた弦之助さんは、早めに逃げてしまったようで、代わりに玄関に置いてあったのは、とても薄くてきれいな、仁淀川の水色の大きな「カゲロウの羽」でした。

その羽の色は、三郎さんが小夜子さんに話していた、黒いカワガラスが仁淀川に潜った瞬間に見せる青い輝きでもあったようでした。

3ヶ月後の小夜子さんの手紙によると、晴君は、自分のことを「おばちゃん」と言っていた小夜子さんを、お母さんと呼ぶことにしたようでした。良かったです。

脚本は大山淳子さん、演出は堀内裕介さんでした。

仁淀川や典具帖紙という地域ドラマらしい要素も良かったのですが、自分の嘘で母親を死なせてしまったことを誰にも言えずに苦しんでいた小夜子さんが描かれていたことや、娘の嘘と苦しみを知ってからも、川の流れのように、自然に事態を受け留める弦之助さんが描かれていたことも、良かったように思います。

ところで、2008年に放送されていた、池端俊策さんの脚本で、緒形拳さんや田中裕子さん、玉山鉄二さんの出演していたNHK広島放送局の開局80年記念ドラマ「帽子」が、先日、NHKのBSプレミアムで再放送されていました。当時の初回の放送や、先日のこの再放送も含め、もう4回くらいこのドラマを私は見たのではないかと思います。とてもすてきなドラマで、見始めるとつい最後まで見てしまいます。

これからもすてきな地域ドラマが作られるといいなと思います。
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Author:カンナ
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